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風吹side
「風吹っ!!」
「っはい!」
氷空くんの項を噛んだ海莉さんは、氷空くんに寄り掛かるように倒れてしまった。とりあえず、氷空くんの部屋にあるソファに寝かせるが、意識がなく、とてつもなく顔色が悪い。
「氷空は、問題なさそうだ。これと言って変化は見られない。」
「こちらは顔面蒼白もいいところですよ。海莉さんのほうが危険度が高そうです。」
医療機器が完璧に揃っている部屋が、氷空くんの、この部屋だけのため、お手伝いさんたちに頼んで、ベッドを一つ運んできてもらい、氷空くんの寝ているベッドを少しずらして、二つ並べる形で新しく持ってきたベッドに海莉さんを寝かせる。
父さんが、海莉さんの身体を見ていると、すぐに原因が分かった。採血した血液型が以前と変化していて、そう、氷空くんと同じ血液型になっているようだった。
「…『番の奇跡』か。人間の血液型を変えるほどの効果があるとは…。」
「海莉は、大丈夫なの?」
「おそらく、体内で血液の総入れ替えとは言葉の綾だが、それと同等の変化が起こっているんじゃないかな。
しばらく寝込むかもしれないね。様子をよく見ていないといけない。」
「風吹と灯くんは、まだ少し学校でしょう?私も和都も昼間は病院で外に出てしまうし…。」
「いや、俺たちの仕事は、最悪リモートでどうにかなる。しばらくはその方向で動こう。そのほうが、風吹も灯くんも安心して卒業まで学校に行けるだろう。」
父さんが言ったとおりと、海莉さんはしばらく眠ったまま起きることがなく、逆に氷空くんは今まで通り少しの時間だが目を覚ますため、隣に眠る海莉さんを見るたびに悲しそうな顔をしていた。
「…氷空くん、大丈夫ですよ。海莉さんは今、身体に慣れている最中ですから、慣れたら目を覚ましますよ。」
「…うん、番になったら兄さんが喜ぶと思ったんだけど、ずっと寝たままだから、…このまま起きなかったらどうしよう。」
「……ん、」
「海莉さんっ!」
「…そら、は?」
「大丈夫ですよ。この通り生きています。今父さんを呼んできます。氷空くん、海莉さんが眠らないように話しかけててあげてください!」
「うん、待ってるね。」
少し小走りで、父さんが仕事をしている部屋まで行き、小さめに扉を叩く。中から返事が帰ってきたのを確認してから、海莉さんが目を覚ましたことを伝えれば、リモート会議中ではなかったようですぐに出てきた。
二人で急いで部屋に戻れば、氷空くんも海莉さんも涙をこぼしながら話し合っていた。
「…番に、なったら、兄さんが、喜ぶと思ってたのに…。」
「…ご、めん、ね。」
「…俺みたいにずっと寝てるし、…寂しかった。」
「…ご、めん。」
「お話中、ごめんね。海莉、氷空、おはよう。」
「「おはよう、ございます。」」
「はは、そっくりだ。…さて、大事な話がある。
海莉がたくさん寝ていたのは、体内の血液型が氷空と同じものに変化していたからだ。おそらく、変換し終えたから目を覚ましたのだろう。
海莉、体調は?」
「…ええ、と、多分、そんなには、悪くないです。」
「そうか、海莉の血液型が氷空と同じになったことで、氷空に輸血が可能になる。海外から取り寄せておいたあの機械が役に立ちそうで良かったよ。」
「…氷空に、輸血できたら、氷空が元気になるってことですか…?」
「簡単に言えばそうだが、代わりに海莉が氷空と同じ状態になりかねないことだ。そうならないために、海莉には、今まで以上に健康第一に食事もしっかりとるようにしなければならない。」
「…それで、氷空が長く生きれるなら、なんでもやります。」
「よく言った、一応4人で暮らすだろう。風吹たちにも説明をしておこう。」
父さんは、俺と灯に、複数の注意点と採血と輸血、血液の保管等の複数個の機器の使い方、日常の生活について教えてくれた。
まず、氷空くんは、今まで通り食べれる分だけ食べ、眠いときには寝る。身体の回復第一で生活するようにと、
海莉さんは、氷空くんに輸血するために、週一回、必ず規定の量のみ採血して、それを教えてもらった機器で色々すると、氷空くんにも週一回、輸血をする流れになった。週一回採血するために、普段の食生活、運動、その他いろいろを注意するように言われている。
「海莉は、もう30手前だからね、いいか?少しでも油断すると、すぐ具合が悪くなると思うから、気をつけるんだぞ。今までもやってなかったと思うから大丈夫だと思うけど、お酒タバコは絶対禁止だからな。それから貧血気味になるかもしれない。運動するときも自分の体調を気にしなさい。氷空のためにも。」
「はい。」
「氷空を早く回復させようとして無理に採血輸血をしてはいけないよ。本末転倒だ。風吹と灯くんは、その辺の管理を頼むよ。本来は学会の認定資格がないとだめだが、そこは医者の家系ということで内緒で頼むよ。」
「「はい。」」
「その代わり、大学進学と同時に4人で暮らすのだろう?それまでに血管と刺す部分とかについて完璧にマスターしてもらうから、覚悟しなさい。」
「「はいっ!!!」」
そこから月日が経つのは早かった。毎日、父さんと母さんに人体の構造、血管の構造や血の流れ、注射針を刺す位置の探し方、痛くない刺し方抜き方、などなど、灯と共にみっちりしごかれた。
灯と早めの医学部の授業だと思って必死に勉強して覚えた。
大学の入学式が近づく頃には、父さんにも母さんにもOKを貰えるレベルで採血と輸血は完璧になった。
氷空くんも、父さんと母さんが輸血をしていたからか、少しずつ成長もして、食べる量も増えてきている。
海莉さんは、以前のようには無理をすることはなくなった。氷空くんと一緒の時間に寝るようにしているらしい。
依然として、氷空くんは身体が弱いままだが、血液が増えたことで気力があるのか、よく笑ったりしていて、俺も灯も海莉さんもその顔見るとこちらも笑顔になる。
このまま、少しでも長い時をこの二人には過ごしてほしいと思った。
「風吹っ!!」
「っはい!」
氷空くんの項を噛んだ海莉さんは、氷空くんに寄り掛かるように倒れてしまった。とりあえず、氷空くんの部屋にあるソファに寝かせるが、意識がなく、とてつもなく顔色が悪い。
「氷空は、問題なさそうだ。これと言って変化は見られない。」
「こちらは顔面蒼白もいいところですよ。海莉さんのほうが危険度が高そうです。」
医療機器が完璧に揃っている部屋が、氷空くんの、この部屋だけのため、お手伝いさんたちに頼んで、ベッドを一つ運んできてもらい、氷空くんの寝ているベッドを少しずらして、二つ並べる形で新しく持ってきたベッドに海莉さんを寝かせる。
父さんが、海莉さんの身体を見ていると、すぐに原因が分かった。採血した血液型が以前と変化していて、そう、氷空くんと同じ血液型になっているようだった。
「…『番の奇跡』か。人間の血液型を変えるほどの効果があるとは…。」
「海莉は、大丈夫なの?」
「おそらく、体内で血液の総入れ替えとは言葉の綾だが、それと同等の変化が起こっているんじゃないかな。
しばらく寝込むかもしれないね。様子をよく見ていないといけない。」
「風吹と灯くんは、まだ少し学校でしょう?私も和都も昼間は病院で外に出てしまうし…。」
「いや、俺たちの仕事は、最悪リモートでどうにかなる。しばらくはその方向で動こう。そのほうが、風吹も灯くんも安心して卒業まで学校に行けるだろう。」
父さんが言ったとおりと、海莉さんはしばらく眠ったまま起きることがなく、逆に氷空くんは今まで通り少しの時間だが目を覚ますため、隣に眠る海莉さんを見るたびに悲しそうな顔をしていた。
「…氷空くん、大丈夫ですよ。海莉さんは今、身体に慣れている最中ですから、慣れたら目を覚ましますよ。」
「…うん、番になったら兄さんが喜ぶと思ったんだけど、ずっと寝たままだから、…このまま起きなかったらどうしよう。」
「……ん、」
「海莉さんっ!」
「…そら、は?」
「大丈夫ですよ。この通り生きています。今父さんを呼んできます。氷空くん、海莉さんが眠らないように話しかけててあげてください!」
「うん、待ってるね。」
少し小走りで、父さんが仕事をしている部屋まで行き、小さめに扉を叩く。中から返事が帰ってきたのを確認してから、海莉さんが目を覚ましたことを伝えれば、リモート会議中ではなかったようですぐに出てきた。
二人で急いで部屋に戻れば、氷空くんも海莉さんも涙をこぼしながら話し合っていた。
「…番に、なったら、兄さんが、喜ぶと思ってたのに…。」
「…ご、めん、ね。」
「…俺みたいにずっと寝てるし、…寂しかった。」
「…ご、めん。」
「お話中、ごめんね。海莉、氷空、おはよう。」
「「おはよう、ございます。」」
「はは、そっくりだ。…さて、大事な話がある。
海莉がたくさん寝ていたのは、体内の血液型が氷空と同じものに変化していたからだ。おそらく、変換し終えたから目を覚ましたのだろう。
海莉、体調は?」
「…ええ、と、多分、そんなには、悪くないです。」
「そうか、海莉の血液型が氷空と同じになったことで、氷空に輸血が可能になる。海外から取り寄せておいたあの機械が役に立ちそうで良かったよ。」
「…氷空に、輸血できたら、氷空が元気になるってことですか…?」
「簡単に言えばそうだが、代わりに海莉が氷空と同じ状態になりかねないことだ。そうならないために、海莉には、今まで以上に健康第一に食事もしっかりとるようにしなければならない。」
「…それで、氷空が長く生きれるなら、なんでもやります。」
「よく言った、一応4人で暮らすだろう。風吹たちにも説明をしておこう。」
父さんは、俺と灯に、複数の注意点と採血と輸血、血液の保管等の複数個の機器の使い方、日常の生活について教えてくれた。
まず、氷空くんは、今まで通り食べれる分だけ食べ、眠いときには寝る。身体の回復第一で生活するようにと、
海莉さんは、氷空くんに輸血するために、週一回、必ず規定の量のみ採血して、それを教えてもらった機器で色々すると、氷空くんにも週一回、輸血をする流れになった。週一回採血するために、普段の食生活、運動、その他いろいろを注意するように言われている。
「海莉は、もう30手前だからね、いいか?少しでも油断すると、すぐ具合が悪くなると思うから、気をつけるんだぞ。今までもやってなかったと思うから大丈夫だと思うけど、お酒タバコは絶対禁止だからな。それから貧血気味になるかもしれない。運動するときも自分の体調を気にしなさい。氷空のためにも。」
「はい。」
「氷空を早く回復させようとして無理に採血輸血をしてはいけないよ。本末転倒だ。風吹と灯くんは、その辺の管理を頼むよ。本来は学会の認定資格がないとだめだが、そこは医者の家系ということで内緒で頼むよ。」
「「はい。」」
「その代わり、大学進学と同時に4人で暮らすのだろう?それまでに血管と刺す部分とかについて完璧にマスターしてもらうから、覚悟しなさい。」
「「はいっ!!!」」
そこから月日が経つのは早かった。毎日、父さんと母さんに人体の構造、血管の構造や血の流れ、注射針を刺す位置の探し方、痛くない刺し方抜き方、などなど、灯と共にみっちりしごかれた。
灯と早めの医学部の授業だと思って必死に勉強して覚えた。
大学の入学式が近づく頃には、父さんにも母さんにもOKを貰えるレベルで採血と輸血は完璧になった。
氷空くんも、父さんと母さんが輸血をしていたからか、少しずつ成長もして、食べる量も増えてきている。
海莉さんは、以前のようには無理をすることはなくなった。氷空くんと一緒の時間に寝るようにしているらしい。
依然として、氷空くんは身体が弱いままだが、血液が増えたことで気力があるのか、よく笑ったりしていて、俺も灯も海莉さんもその顔見るとこちらも笑顔になる。
このまま、少しでも長い時をこの二人には過ごしてほしいと思った。
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