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リリィ王女という台風が去り、私たちのバカンスにもようやく平穏が訪れた。
「ミオナ。今夜、下の村で夏祭りがあるそうだ。行ってみないか?」
夕食の席で、シリウス様が提案した。
「夏祭り……ですの?」
「ああ。海辺の花火大会もあるらしい。浴衣……のような、この地方の民族衣装も用意させたよ」
「あら、素敵。たまには庶民の娯楽を視察するのも悪くありませんわね」
私はグラスを傾け、了承した。
もちろん、ただ遊ぶだけではない。
領主の娘として、領民たちがどのようにお金を落としているか、経済活動をチェックする義務がある。(建前)
***
夜。
私たちは着付けを済ませ、村の広場へと降り立った。
私が身につけているのは、深い藍色に白百合の柄が入った浴衣風の衣装。
帯は真紅で引き締め、髪はアップにしてかんざしを挿している。
シリウス様は、シンプルな灰色の流し着だが、それがかえって彼の銀髪と色気を引き立てていた。
「……似合っているよ、ミオナ。夜の闇に咲く花のようだ」
「貴方も、いつもの堅苦しい礼服より素敵ですわ。……歩くたびに村娘たちの視線を根こそぎ奪っていくのが少し癪ですけれど」
すれ違う村人たちが、シリウス様を見ては「はわわ……」と顔を赤らめている。
リリィ王女の時といい、この男のフェロモンは広範囲攻撃すぎる。
「さあ、行こうか。まずはあそこなんてどうだい?」
彼が指差した先には、色とりどりの屋台が並んでいた。
焼きとうもろこし、りんご飴、イカ焼き……。
香ばしい匂いが漂ってくる。
しかし、私の目は「美味しそう」よりも先に「採算」に向いた。
「……シリウス様。あの焼きそば屋を見てください」
「ん? 美味しそうじゃないか」
「いいえ。鉄板の温度管理が甘いですわ。あれでは麺がベチャついて回転率が落ちます。それに、具材のキャベツの芯を捨てすぎです。フードロス削減の観点から指導が必要ですわね」
「……バカンスに来てまでコンサルティングかい?」
私は扇子で口元を隠した。
「職業病ですわ。……あら、あちらの『金魚すくい』も気になります」
私たちは金魚すくい屋の前で足を止めた。
水槽の中を、赤や黒の金魚が泳いでいる。
「いらっしゃい! 一回銅貨一枚だよ!」
店主の威勢のいい声。
私はポイ(紙が貼られた枠)を受け取り、水面を見つめた。
「ミオナ、やったことは?」
「初めてですわ。ですが……理屈は分かります」
私はポイを水に対し斜め45度で侵入させた。
水の抵抗を最小限に抑えつつ、金魚の進行方向を予測し、死角からスッと掬い上げる。
チャプン。
「一匹」
チャプン。
「二匹」
チャプン。
「……十匹」
私のポイは全く破れない。
水流を読み、金魚の重さを枠の淵に乗せる技術。
それはもはや「すくい」ではなく「漁」だった。
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!? もう勘弁して!」
店主が泣きついた頃には、私の桶には三十匹以上の金魚がひしめいていた。
「……ふぅ。簡単すぎて飽きましたわ」
「すごいな。店主の顔が青ざめているよ」
「全部リリースしますわ。キャッチ&リリース。これぞ強者の余裕です」
私が金魚を水槽に戻すと、店主は「あ、ありがとうございますぅ!」と拝んだ。
次に向かったのは『射的』の屋台。
棚にはお菓子やおもちゃが並んでいるが、一番上の特等席には――。
「あ、あれは……!」
私が目を見開いた。
そこにあったのは、巨大な『黒猫のぬいぐるみ』だった。
ブサ可愛くて、なんとも言えない愛嬌がある。
「欲しいのかい?」
「……べ、別に。ただ、あの猫の目が『私を連れて帰って』と訴えている気がしただけですわ」
「素直じゃないな」
シリウス様が笑い、店主に銀貨を渡してコルク銃を受け取った。
「見ていてくれ。君のために獲物を仕留めてみせよう」
彼は銃を構えた。
その姿は、まるで獲物を狙うスナイパーのように様になっている。
コルク銃がおもちゃに見えない。
バン!
コルク弾が一直線に飛び、黒猫のぬいぐるみに命中した。
……が。
ボヨン。
ぬいぐるみは少し揺れただけで、倒れなかった。
「……なんだって?」
シリウス様の眉がピクリと動く。
店主がニヤニヤしながら言った。
「残念だねぇお兄さん! あの大物は重心が下にあるから、コルクの威力じゃ倒れないよ~」
詐欺だ。
重心を細工して倒れないようにしているのだ。
「……貸してください、シリウス様」
私は彼の銃を奪い取った。
「ミオナ?」
「私の愛する共犯者に恥をかかせるとは……いい度胸ですわね」
私は扇子で風向きを確認し、銃口をぬいぐるみではなく、その『足元の台座』に向けた。
「重心が下にあるなら、足元を崩せばいいだけの話」
バン!
弾が台座の隙間に吸い込まれる。
すると、微妙なバランスで立っていたぬいぐるみがグラリと傾き――。
ドサッ。
重力に従って落下した。
「な、なにぃぃぃ!?」
店主が絶叫する。
「景品は『落とせば勝ち』。……違いますか?」
私が冷ややかな視線を送ると、店主は震えながら黒猫のぬいぐるみを差し出した。
「は、はいぃぃ! どうぞぉぉ!」
「ありがとうございます」
私はぬいぐるみを抱きしめた。
うん、フカフカだ。
「……君には敵わないな」
シリウス様が苦笑する。
「物理法則は嘘をつきませんもの。……はい、これは貴方に」
私はぬいぐるみをシリウス様に押し付けた。
「えっ?」
「私が持つには大きすぎて邪魔ですわ。……貴方が持ってくださる?」
「……荷物持ちか。光栄だよ」
彼は嬉しそうに黒猫を抱えた。
「氷の公爵」がブサ可愛い黒猫を持っている図は、なんともシュールで、そして愛おしかった。
***
祭りの最後は、海岸での花火大会だ。
私たちは人混みを離れ、静かな岩場に腰を下ろしていた。
ドォォォン……!
夜空に大輪の花が咲く。
赤、青、緑。
海面に光が反射して、幻想的な世界を作り出している。
「綺麗だね……」
「ええ。……儚いですけれど」
「儚いからこそ美しい。……まるで、君が演じていた『清純派令嬢』のようだよ」
「嫌味ですか?」
「賛辞さ」
シリウス様が私の肩を引き寄せた。
黒猫のぬいぐるみが、二人の間で少し潰れている。
「ミオナ。王都に戻ったら、忙しくなるぞ」
「……ええ。クラーク様たちの残した借金返済事業の仕上げに、私の実家のビジネス拡大……」
「それと、結婚式の準備」
「――え?」
私が顔を上げると、彼は真剣な眼差しで私を見つめていた。
「言っただろう? 『運命の相手』だと」
彼はポケットから、小さな小箱を取り出した。
パカッ。
中に入っていたのは、指輪だった。
ただし、普通のダイヤモンドではない。
漆黒のオニキスを中心に、周りを真紅のルビーが取り囲んでいる。
まるで、私の今日のドレス(そして私の本性)をそのまま結晶化したような指輪。
「普通の男なら『純白のダイヤ』を贈るだろう。でも、僕は知っている。君にはこの色が一番似合うと」
「……」
「僕の隣で、一生悪巧みをしてくれないか? 世界一愛しい共犯者殿」
花火が上がり、彼の顔を照らす。
その表情は、いつもの余裕のある笑みではなく、少しだけ緊張しているように見えた。
……ずるい。
こんなシチュエーションで、こんな私好みの指輪を渡されて。
断れるわけがないじゃない。
私はため息をつき、左手を差し出した。
「……サイズが合わなかったら、返品させていただきますわよ?」
「自信はあるさ。君の手の大きさは、ダンスの時に何度も確認したからね」
彼が私の薬指に指輪を滑らせる。
誂えたようにピッタリだった。
「……合格ですわ」
「ありがとう」
シリウス様が、私の指に口づけを落とす。
ドォォォン!!
一番大きな花火が上がり、私たちの婚約成立を祝福した。
「さて、ミオナ。戻ったら盛大な結婚式を挙げよう。……クラークたちが監獄で悔し泣きするくらいの、国一番の式をね」
「ふふ。招待状は監獄にも送ってあげましょうか。『差し入れ』として、ウェディングケーキの写真付きで」
「性格が悪いね」
「貴方が選んだ妻ですもの」
私たちは夜風の中で笑い合い、キスをした。
黒猫のぬいぐるみが、つぶらな瞳でそれを見守っている。
夏が終わる。
けれど、私たちの物語(悪巧み)は、ここからが本番だ。
最強の悪役夫婦の誕生。
この国が……いいえ、世界が私たちの遊び場になる日は近い。
「ミオナ。今夜、下の村で夏祭りがあるそうだ。行ってみないか?」
夕食の席で、シリウス様が提案した。
「夏祭り……ですの?」
「ああ。海辺の花火大会もあるらしい。浴衣……のような、この地方の民族衣装も用意させたよ」
「あら、素敵。たまには庶民の娯楽を視察するのも悪くありませんわね」
私はグラスを傾け、了承した。
もちろん、ただ遊ぶだけではない。
領主の娘として、領民たちがどのようにお金を落としているか、経済活動をチェックする義務がある。(建前)
***
夜。
私たちは着付けを済ませ、村の広場へと降り立った。
私が身につけているのは、深い藍色に白百合の柄が入った浴衣風の衣装。
帯は真紅で引き締め、髪はアップにしてかんざしを挿している。
シリウス様は、シンプルな灰色の流し着だが、それがかえって彼の銀髪と色気を引き立てていた。
「……似合っているよ、ミオナ。夜の闇に咲く花のようだ」
「貴方も、いつもの堅苦しい礼服より素敵ですわ。……歩くたびに村娘たちの視線を根こそぎ奪っていくのが少し癪ですけれど」
すれ違う村人たちが、シリウス様を見ては「はわわ……」と顔を赤らめている。
リリィ王女の時といい、この男のフェロモンは広範囲攻撃すぎる。
「さあ、行こうか。まずはあそこなんてどうだい?」
彼が指差した先には、色とりどりの屋台が並んでいた。
焼きとうもろこし、りんご飴、イカ焼き……。
香ばしい匂いが漂ってくる。
しかし、私の目は「美味しそう」よりも先に「採算」に向いた。
「……シリウス様。あの焼きそば屋を見てください」
「ん? 美味しそうじゃないか」
「いいえ。鉄板の温度管理が甘いですわ。あれでは麺がベチャついて回転率が落ちます。それに、具材のキャベツの芯を捨てすぎです。フードロス削減の観点から指導が必要ですわね」
「……バカンスに来てまでコンサルティングかい?」
私は扇子で口元を隠した。
「職業病ですわ。……あら、あちらの『金魚すくい』も気になります」
私たちは金魚すくい屋の前で足を止めた。
水槽の中を、赤や黒の金魚が泳いでいる。
「いらっしゃい! 一回銅貨一枚だよ!」
店主の威勢のいい声。
私はポイ(紙が貼られた枠)を受け取り、水面を見つめた。
「ミオナ、やったことは?」
「初めてですわ。ですが……理屈は分かります」
私はポイを水に対し斜め45度で侵入させた。
水の抵抗を最小限に抑えつつ、金魚の進行方向を予測し、死角からスッと掬い上げる。
チャプン。
「一匹」
チャプン。
「二匹」
チャプン。
「……十匹」
私のポイは全く破れない。
水流を読み、金魚の重さを枠の淵に乗せる技術。
それはもはや「すくい」ではなく「漁」だった。
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!? もう勘弁して!」
店主が泣きついた頃には、私の桶には三十匹以上の金魚がひしめいていた。
「……ふぅ。簡単すぎて飽きましたわ」
「すごいな。店主の顔が青ざめているよ」
「全部リリースしますわ。キャッチ&リリース。これぞ強者の余裕です」
私が金魚を水槽に戻すと、店主は「あ、ありがとうございますぅ!」と拝んだ。
次に向かったのは『射的』の屋台。
棚にはお菓子やおもちゃが並んでいるが、一番上の特等席には――。
「あ、あれは……!」
私が目を見開いた。
そこにあったのは、巨大な『黒猫のぬいぐるみ』だった。
ブサ可愛くて、なんとも言えない愛嬌がある。
「欲しいのかい?」
「……べ、別に。ただ、あの猫の目が『私を連れて帰って』と訴えている気がしただけですわ」
「素直じゃないな」
シリウス様が笑い、店主に銀貨を渡してコルク銃を受け取った。
「見ていてくれ。君のために獲物を仕留めてみせよう」
彼は銃を構えた。
その姿は、まるで獲物を狙うスナイパーのように様になっている。
コルク銃がおもちゃに見えない。
バン!
コルク弾が一直線に飛び、黒猫のぬいぐるみに命中した。
……が。
ボヨン。
ぬいぐるみは少し揺れただけで、倒れなかった。
「……なんだって?」
シリウス様の眉がピクリと動く。
店主がニヤニヤしながら言った。
「残念だねぇお兄さん! あの大物は重心が下にあるから、コルクの威力じゃ倒れないよ~」
詐欺だ。
重心を細工して倒れないようにしているのだ。
「……貸してください、シリウス様」
私は彼の銃を奪い取った。
「ミオナ?」
「私の愛する共犯者に恥をかかせるとは……いい度胸ですわね」
私は扇子で風向きを確認し、銃口をぬいぐるみではなく、その『足元の台座』に向けた。
「重心が下にあるなら、足元を崩せばいいだけの話」
バン!
弾が台座の隙間に吸い込まれる。
すると、微妙なバランスで立っていたぬいぐるみがグラリと傾き――。
ドサッ。
重力に従って落下した。
「な、なにぃぃぃ!?」
店主が絶叫する。
「景品は『落とせば勝ち』。……違いますか?」
私が冷ややかな視線を送ると、店主は震えながら黒猫のぬいぐるみを差し出した。
「は、はいぃぃ! どうぞぉぉ!」
「ありがとうございます」
私はぬいぐるみを抱きしめた。
うん、フカフカだ。
「……君には敵わないな」
シリウス様が苦笑する。
「物理法則は嘘をつきませんもの。……はい、これは貴方に」
私はぬいぐるみをシリウス様に押し付けた。
「えっ?」
「私が持つには大きすぎて邪魔ですわ。……貴方が持ってくださる?」
「……荷物持ちか。光栄だよ」
彼は嬉しそうに黒猫を抱えた。
「氷の公爵」がブサ可愛い黒猫を持っている図は、なんともシュールで、そして愛おしかった。
***
祭りの最後は、海岸での花火大会だ。
私たちは人混みを離れ、静かな岩場に腰を下ろしていた。
ドォォォン……!
夜空に大輪の花が咲く。
赤、青、緑。
海面に光が反射して、幻想的な世界を作り出している。
「綺麗だね……」
「ええ。……儚いですけれど」
「儚いからこそ美しい。……まるで、君が演じていた『清純派令嬢』のようだよ」
「嫌味ですか?」
「賛辞さ」
シリウス様が私の肩を引き寄せた。
黒猫のぬいぐるみが、二人の間で少し潰れている。
「ミオナ。王都に戻ったら、忙しくなるぞ」
「……ええ。クラーク様たちの残した借金返済事業の仕上げに、私の実家のビジネス拡大……」
「それと、結婚式の準備」
「――え?」
私が顔を上げると、彼は真剣な眼差しで私を見つめていた。
「言っただろう? 『運命の相手』だと」
彼はポケットから、小さな小箱を取り出した。
パカッ。
中に入っていたのは、指輪だった。
ただし、普通のダイヤモンドではない。
漆黒のオニキスを中心に、周りを真紅のルビーが取り囲んでいる。
まるで、私の今日のドレス(そして私の本性)をそのまま結晶化したような指輪。
「普通の男なら『純白のダイヤ』を贈るだろう。でも、僕は知っている。君にはこの色が一番似合うと」
「……」
「僕の隣で、一生悪巧みをしてくれないか? 世界一愛しい共犯者殿」
花火が上がり、彼の顔を照らす。
その表情は、いつもの余裕のある笑みではなく、少しだけ緊張しているように見えた。
……ずるい。
こんなシチュエーションで、こんな私好みの指輪を渡されて。
断れるわけがないじゃない。
私はため息をつき、左手を差し出した。
「……サイズが合わなかったら、返品させていただきますわよ?」
「自信はあるさ。君の手の大きさは、ダンスの時に何度も確認したからね」
彼が私の薬指に指輪を滑らせる。
誂えたようにピッタリだった。
「……合格ですわ」
「ありがとう」
シリウス様が、私の指に口づけを落とす。
ドォォォン!!
一番大きな花火が上がり、私たちの婚約成立を祝福した。
「さて、ミオナ。戻ったら盛大な結婚式を挙げよう。……クラークたちが監獄で悔し泣きするくらいの、国一番の式をね」
「ふふ。招待状は監獄にも送ってあげましょうか。『差し入れ』として、ウェディングケーキの写真付きで」
「性格が悪いね」
「貴方が選んだ妻ですもの」
私たちは夜風の中で笑い合い、キスをした。
黒猫のぬいぐるみが、つぶらな瞳でそれを見守っている。
夏が終わる。
けれど、私たちの物語(悪巧み)は、ここからが本番だ。
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