18 / 28
18
しおりを挟む
「ミリオネ様ぁ! ずるいです! 不公平です! 憲法違反ですぅ!」
翌朝。
私が優雅に朝のクロワッサンを(三つ目を)手に取ろうとした瞬間、ダイニングルームの扉がバーンと開かれた。
飛び込んできたのは、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした聖女リリィだ。
彼女の後ろでは、衛兵たちが「す、すみません! 『トイレに行きたい』と泣き叫ぶので出したら、猛ダッシュで……!」と息を切らしている。
「……朝から騒々しいわね」
私はクロワッサンを置き、ナプキンで口を拭った。
「何が不公平なの? 囚人食のスープ、具が入ってなかった?」
「違いますぅ! お部屋です、お部屋!」
リリィが地団駄を踏む。
「昨日の夜、鉄格子の隙間から見えたんです! ミリオネ様のお部屋に、天蓋付きのベッドと、山のようなお菓子と、最新式の魔導マッサージチェアがあるのを!」
「……視力いいわね、あなた。野生動物並み?」
「ひどいです! 私とカイル様のお部屋は石造りで、ベッドは藁(わら)ですよ!? 背中がチクチクして眠れませんでしたぁ!」
リリィは私のテーブルににじり寄ってきた。
「交換してください! 私もフカフカのベッドで寝たいです! あと、その美味しそうなパンも食べたいです!」
彼女の手が、私のクロワッサンに伸びる。
ピシッ。
私は持っていたフォークで、テーブルの縁を軽く叩いて威嚇した。
「……お手」
「きゃっ!」
リリィが手を引っ込める。
「いい? リリィちゃん。よく聞きなさい」
私は彼女を諭すように言った。
「私はね、この国の『財務顧問』として働いているの。対価としてこの生活があるの。あなたたちは何? 『国を傾けた不法入国者』でしょう? 石の部屋があるだけ感謝してほしいわね」
「でもぉ……私、聖女ですよ?」
リリィが首を傾げる。
出た。伝家の宝刀「私、聖女ですよ」。
ロゼリア王国では、この一言で全ての理不尽がまかり通っていたらしい。
「聖女だから何? ここでは『聖女割引』は適用されないわよ」
「割引じゃなくてぇ、敬ってほしいんですぅ! チヤホヤして、美味しいものを貢いで、困ったことがあったら助けてくれる……それが聖女の扱いじゃないんですかぁ?」
「それは聖女じゃなくて『ペット』よ」
私は呆れてため息をついた。
「この国でご飯を食べたいなら、労働しなさい。あるいは対価を払いなさい。それがルールよ」
「労働……?」
リリィが嫌そうな顔をする。
「私、か弱いから力仕事は無理ですぅ。計算も苦手だしぃ……あ、そうだ!」
彼女がパッと顔を輝かせた。
「歌なら歌えます! お花に水をあげるのも得意です! これでどうですか!?」
「……市場価値ゼロね」
「ガーン!」
「歌はプロの歌手がいるし、水やりは庭師の仕事よ。あなたの素人芸にお金を払う物好きはいないわ」
私がバッサリ切り捨てると、リリィは「ううぅ……」と涙目になった。
しかし、この女はここからが強かった。
「……じゃあ、ミリオネ様のお世話係をやります!」
「は?」
「私、ミリオネ様のメイドになります! そうすれば、このお城にいられますよね!? ご飯も食べられますよね!?」
予想外の提案に、私は眉をひそめた。
「あなたにメイドが務まるとは思えないけど」
「できますぅ! 私、カイル様の靴下を履かせるのだけは得意なんです!」
「……どんな特技よ」
まあいい。
少し懲らしめるつもりで、私は意地悪く笑った。
「わかったわ。じゃあ、採用試験をしてあげる」
「本当ですか!?」
「ええ。とりあえず、そこのティーポットからお茶を注いでみなさい。一滴もこぼさずにね」
「任せてください!」
リリィは自信満々にティーポットを持ち上げた。
しかし。
「えいっ!」
ドバァッ!
「……」
「……あ」
カップに注がれるはずの紅茶は、見事な放物線を描いてテーブルクロスの上に湖を作った。
「……こぼしたわね」
「ち、違います! ポットが重かったんです! 私のせいじゃありません!」
「道具のせいにするな。不採用」
「もう一回! もう一回だけチャンスをください!」
リリィが泣きつく。
そこへ、背後から楽しそうな声がかかった。
「騒がしいと思ったら、新しいメイドの面接か?」
アレクシスだ。
彼は朝の公務を終えたのか、軍服姿で現れた。
「アレクシス様ぁ~!」
リリィがターゲットを変え、彼に駆け寄る。
「聞いてくださいぃ! ミリオネ様がいじめるんですぅ! 私、ただ美味しいパンが食べたいだけなのにぃ!」
彼女は上目遣いで、アレクシスの腕にすがりつこうとした。
しかし、アレクシスはヒラリと身をかわした。
「おっと。私の半径一メートル以内はミリオネ専用エリアだ。立ち入り禁止だぞ」
「えぇ~? ケチぃ~!」
「リリィ嬢。君がこの城に住みたい理由は分かった。要するに『贅沢がしたい』ということだな?」
「はい! 正直に言えばそうです!」
なんて正直な欲望だ。ある意味清々しい。
アレクシスはニヤリと笑い、私を見た。
「どうする? ミリオネ。彼女を飼うか?」
「お断りよ。餌代の無駄だわ」
私は即答した。
「でも、地下牢に置いておくのも五月蝿(うるさ)そうだし……」
私は少し考え、名案を思いついた。
「そうだわ。リリィちゃん、あなた『お花畑』が好きよね?」
「はい! 大好きですぅ!」
「この城の裏に、広大な土地があるの。そこをあなたにあげるわ」
「えっ! 土地を!? すごぉい!」
リリィが飛び跳ねて喜ぶ。
「そこで好きにお花を育てていいわよ。あ、ついでに野菜も育てなさい。自給自足よ。自分が食べる分は自分で作る。これなら文句ないでしょ?」
「わぁ……! 私だけの農園……! スローライフですねぇ!」
リリィは目を輝かせている。
彼女は気づいていない。
そこがただの「荒れ地」であり、これから開墾しなければならないという過酷な現実を。
「よし、決まりね。衛兵! この子を裏の『第三農場予定地』へ連れて行って! 鍬(くわ)と種を渡してあげて!」
「はっ!」
「やったぁ! ミリオネ様、ありがとうございますぅ! 私、立派なトマトを作って見返してやりますからねぇ!」
リリィは衛兵に連れられ、スキップしながらダイニングを出て行った。
嵐が去り、静寂が戻る。
「……たくましいな、あの子は」
アレクシスがポツリと言った。
「ええ。馬鹿と天才は紙一重って言うけど、彼女の場合は『馬鹿とポジティブ』が融合してるわね」
私は冷めた紅茶を飲み干した。
「でも、これで少しは静かになるでしょ。土いじりは精神安定に良いらしいし」
「……君は鬼だな」
「教育的指導よ。……さ、カイル王子の分も残さず食べて、午後からの仕事に備えましょうか」
「カイルはどうする?」
「彼は別メニューよ。リリィが作ったトマトができるまで、断食でもしてればいいわ」
私は新たなクロワッサンを手に取り、悪役令嬢らしい高笑い(心の中で)を上げた。
しかし数日後。
私たちは驚愕することになる。
リリィが、その謎の「聖女パワー(?)」を使って、荒れ地を一晩でジャングルのような豊作地帯に変えてしまうことを。
そして、大量のトマトを持って「見てくださいぃ! トマト祭りですぅ!」と城に雪崩れ込んでくることを、まだ知る由もなかった。
翌朝。
私が優雅に朝のクロワッサンを(三つ目を)手に取ろうとした瞬間、ダイニングルームの扉がバーンと開かれた。
飛び込んできたのは、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした聖女リリィだ。
彼女の後ろでは、衛兵たちが「す、すみません! 『トイレに行きたい』と泣き叫ぶので出したら、猛ダッシュで……!」と息を切らしている。
「……朝から騒々しいわね」
私はクロワッサンを置き、ナプキンで口を拭った。
「何が不公平なの? 囚人食のスープ、具が入ってなかった?」
「違いますぅ! お部屋です、お部屋!」
リリィが地団駄を踏む。
「昨日の夜、鉄格子の隙間から見えたんです! ミリオネ様のお部屋に、天蓋付きのベッドと、山のようなお菓子と、最新式の魔導マッサージチェアがあるのを!」
「……視力いいわね、あなた。野生動物並み?」
「ひどいです! 私とカイル様のお部屋は石造りで、ベッドは藁(わら)ですよ!? 背中がチクチクして眠れませんでしたぁ!」
リリィは私のテーブルににじり寄ってきた。
「交換してください! 私もフカフカのベッドで寝たいです! あと、その美味しそうなパンも食べたいです!」
彼女の手が、私のクロワッサンに伸びる。
ピシッ。
私は持っていたフォークで、テーブルの縁を軽く叩いて威嚇した。
「……お手」
「きゃっ!」
リリィが手を引っ込める。
「いい? リリィちゃん。よく聞きなさい」
私は彼女を諭すように言った。
「私はね、この国の『財務顧問』として働いているの。対価としてこの生活があるの。あなたたちは何? 『国を傾けた不法入国者』でしょう? 石の部屋があるだけ感謝してほしいわね」
「でもぉ……私、聖女ですよ?」
リリィが首を傾げる。
出た。伝家の宝刀「私、聖女ですよ」。
ロゼリア王国では、この一言で全ての理不尽がまかり通っていたらしい。
「聖女だから何? ここでは『聖女割引』は適用されないわよ」
「割引じゃなくてぇ、敬ってほしいんですぅ! チヤホヤして、美味しいものを貢いで、困ったことがあったら助けてくれる……それが聖女の扱いじゃないんですかぁ?」
「それは聖女じゃなくて『ペット』よ」
私は呆れてため息をついた。
「この国でご飯を食べたいなら、労働しなさい。あるいは対価を払いなさい。それがルールよ」
「労働……?」
リリィが嫌そうな顔をする。
「私、か弱いから力仕事は無理ですぅ。計算も苦手だしぃ……あ、そうだ!」
彼女がパッと顔を輝かせた。
「歌なら歌えます! お花に水をあげるのも得意です! これでどうですか!?」
「……市場価値ゼロね」
「ガーン!」
「歌はプロの歌手がいるし、水やりは庭師の仕事よ。あなたの素人芸にお金を払う物好きはいないわ」
私がバッサリ切り捨てると、リリィは「ううぅ……」と涙目になった。
しかし、この女はここからが強かった。
「……じゃあ、ミリオネ様のお世話係をやります!」
「は?」
「私、ミリオネ様のメイドになります! そうすれば、このお城にいられますよね!? ご飯も食べられますよね!?」
予想外の提案に、私は眉をひそめた。
「あなたにメイドが務まるとは思えないけど」
「できますぅ! 私、カイル様の靴下を履かせるのだけは得意なんです!」
「……どんな特技よ」
まあいい。
少し懲らしめるつもりで、私は意地悪く笑った。
「わかったわ。じゃあ、採用試験をしてあげる」
「本当ですか!?」
「ええ。とりあえず、そこのティーポットからお茶を注いでみなさい。一滴もこぼさずにね」
「任せてください!」
リリィは自信満々にティーポットを持ち上げた。
しかし。
「えいっ!」
ドバァッ!
「……」
「……あ」
カップに注がれるはずの紅茶は、見事な放物線を描いてテーブルクロスの上に湖を作った。
「……こぼしたわね」
「ち、違います! ポットが重かったんです! 私のせいじゃありません!」
「道具のせいにするな。不採用」
「もう一回! もう一回だけチャンスをください!」
リリィが泣きつく。
そこへ、背後から楽しそうな声がかかった。
「騒がしいと思ったら、新しいメイドの面接か?」
アレクシスだ。
彼は朝の公務を終えたのか、軍服姿で現れた。
「アレクシス様ぁ~!」
リリィがターゲットを変え、彼に駆け寄る。
「聞いてくださいぃ! ミリオネ様がいじめるんですぅ! 私、ただ美味しいパンが食べたいだけなのにぃ!」
彼女は上目遣いで、アレクシスの腕にすがりつこうとした。
しかし、アレクシスはヒラリと身をかわした。
「おっと。私の半径一メートル以内はミリオネ専用エリアだ。立ち入り禁止だぞ」
「えぇ~? ケチぃ~!」
「リリィ嬢。君がこの城に住みたい理由は分かった。要するに『贅沢がしたい』ということだな?」
「はい! 正直に言えばそうです!」
なんて正直な欲望だ。ある意味清々しい。
アレクシスはニヤリと笑い、私を見た。
「どうする? ミリオネ。彼女を飼うか?」
「お断りよ。餌代の無駄だわ」
私は即答した。
「でも、地下牢に置いておくのも五月蝿(うるさ)そうだし……」
私は少し考え、名案を思いついた。
「そうだわ。リリィちゃん、あなた『お花畑』が好きよね?」
「はい! 大好きですぅ!」
「この城の裏に、広大な土地があるの。そこをあなたにあげるわ」
「えっ! 土地を!? すごぉい!」
リリィが飛び跳ねて喜ぶ。
「そこで好きにお花を育てていいわよ。あ、ついでに野菜も育てなさい。自給自足よ。自分が食べる分は自分で作る。これなら文句ないでしょ?」
「わぁ……! 私だけの農園……! スローライフですねぇ!」
リリィは目を輝かせている。
彼女は気づいていない。
そこがただの「荒れ地」であり、これから開墾しなければならないという過酷な現実を。
「よし、決まりね。衛兵! この子を裏の『第三農場予定地』へ連れて行って! 鍬(くわ)と種を渡してあげて!」
「はっ!」
「やったぁ! ミリオネ様、ありがとうございますぅ! 私、立派なトマトを作って見返してやりますからねぇ!」
リリィは衛兵に連れられ、スキップしながらダイニングを出て行った。
嵐が去り、静寂が戻る。
「……たくましいな、あの子は」
アレクシスがポツリと言った。
「ええ。馬鹿と天才は紙一重って言うけど、彼女の場合は『馬鹿とポジティブ』が融合してるわね」
私は冷めた紅茶を飲み干した。
「でも、これで少しは静かになるでしょ。土いじりは精神安定に良いらしいし」
「……君は鬼だな」
「教育的指導よ。……さ、カイル王子の分も残さず食べて、午後からの仕事に備えましょうか」
「カイルはどうする?」
「彼は別メニューよ。リリィが作ったトマトができるまで、断食でもしてればいいわ」
私は新たなクロワッサンを手に取り、悪役令嬢らしい高笑い(心の中で)を上げた。
しかし数日後。
私たちは驚愕することになる。
リリィが、その謎の「聖女パワー(?)」を使って、荒れ地を一晩でジャングルのような豊作地帯に変えてしまうことを。
そして、大量のトマトを持って「見てくださいぃ! トマト祭りですぅ!」と城に雪崩れ込んでくることを、まだ知る由もなかった。
0
あなたにおすすめの小説
これで、私も自由になれます
たくわん
恋愛
社交界で「地味で会話がつまらない」と評判のエリザベート・フォン・リヒテンシュタイン。婚約者である公爵家の長男アレクサンダーから、舞踏会の場で突然婚約破棄を告げられる。理由は「華やかで魅力的な」子爵令嬢ソフィアとの恋。エリザベートは静かに受け入れ、社交界の噂話の的になる。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係
紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。
顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。
※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
やり直し令嬢は本当にやり直す
お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる