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「元第二王子ギデオン。前へ」
翌日、王城の「審判の間」。
重苦しい空気の中、国王の声が響いた。
玉座に座る国王の前に、一人の男が立っている。
かつてのギデオン王子だ。
だが、その姿は王族の装束ではない。
飾り気のない麻の服に、短く刈り込んだ髪(アフロになった焦げた部分を切り落としたため)。
そして何より、猫背でヒョロヒョロだった以前とは違い、背筋が槍のように伸び、太ももはスクワット一万回の成果でパンパンに張り詰めている。
「……はっ」
ギデオンは短く答え、一礼した。
その動作のキレの良さに、並び立つ大臣たちが「おお……」とどよめく。
ネリネとシリウス、そしてミモザは、証人席からその様子を見守っていた。
「ギデオンよ。そなたの罪は重い。国宝『紅蓮の魔石』の無断持ち出し、および破損。さらに、辺境伯領への不当な侵略行為……。これらは国家反逆罪に相当する」
国王は沈痛な面持ちで告げる。
「よって、本日をもってそなたの王位継承権を剥奪し、王籍から除名とする。……異存はあるか?」
通常なら、ここで泣き叫んで命乞いをする場面だ。
「パパ、嘘だろ!?」「僕は悪くない!」と。
だが、新生ギデオンは違った。
彼は真っ直ぐに国王を見据え、ハキハキと答えた。
「異存ありません! 私の犯した愚行(ミス)、弁明の余地もありません。全ての責任は、無能な現場指揮官であった私にあります!」
「現場指揮官……?」
国王が首を傾げるが、ギデオンは続ける。
「辺境での『研修』を経て、私は痛感しました。汗を流さずして得られるパンなどないこと。そして、自分で靴下も探せない人間に、国など守れるはずがないことを!」
ギデオンの目から、一筋の涙が流れる。
それは悔し涙ではなく、自分の弱さを認めた男の清々しい涙だった。
「父上……いえ、陛下。今までご迷惑をおかけしました。この処分、甘んじて受け入れます」
シーン……。
広間に静寂が落ちる。
あのアホ王子が、まともなことを言っている。
ネリネは扇子で口元を隠し、シリウスに耳打ちした。
「……予想以上の成長率(グロース)ですわ。やはり『筋肉』は嘘をつきませんね」
「お前の教育、スパルタすぎたんじゃないか?」
国王は咳払いをして、涙を誤魔化した。
「う、うむ……。殊勝な心がけだ。では、追放後の身の振り方だが……北の修道院へ入るが良い。そこで一生、祈りを捧げて暮らすのだ」
これは国王なりの温情だった。
衣食住は保証され、静かに余生を送れる道だ。
しかし。
「お断りします!!」
ギデオンが大声で却下した。
「な、なんだと? 不満か?」
「不満です! 祈っているだけで飯が食えるなど、生産性が低すぎます! 私は働きたいのです!」
ギデオンは握り拳を作った。
「私の体には今、ネリネ教官に叩き込まれた『労働への渇望』が渦巻いています! じっとしているとスクワットをしたくて体が疼くのです! どうか、私に仕事を! 肉体を酷使するブラックな職場を与えてください!」
「……狂ったか」
大臣たちがヒソヒソと囁く。
ネリネはスッと立ち上がった。
「陛下。彼がそう望むのであれば、適切な再就職先を斡旋いたします」
「ネリネ、当てがあるのか?」
「ええ。王都の下町にある大衆食堂『満腹亭』。あそこの店主が『皿洗いのバイトが逃げて困っている』と言っていました。体力と根性があり、かつ低賃金で働く人材を求めています」
「おお! 素晴らしい!」
ギデオンが目を輝かせる。
「皿洗い! なんて魅力的な響きだ! 汚れを落とし、次なる料理のために皿を再生させる……まさに循環(サイクル)の番人!」
国王は頭を抱えた。
王族が皿洗い。前代未聞だ。
だが、息子の目がこれほど生き生きとしているのを見るのは初めてだった。
「……好きにせよ。ただし、二度と王城の敷居は跨ぐなよ」
「はい! 今までお世話になりました!」
ギデオンは深々と頭を下げ、そしてネリネの方を向いた。
「ネリネ……いや、グラン夫人。君には感謝してもしきれない。君が僕を捨ててくれなかったら、僕は一生、靴下の場所も分からないゴミのままだった」
「ゴミではありません。リサイクル可能な資源です」
ネリネは淡々と訂正する。
「その筋肉を維持し、社会の歯車として貢献なさい。それが貴方に課せられた、終身刑(ライフワーク)です」
「イエッサー! 教官!」
ギデオンはビシッと敬礼し、晴れやかな顔で審判の間を去っていった。
その背中は、王族の豪華なマントを羽織っていた頃よりも、ずっと大きく、頼もしく見えた。
***
数日後。
王都の下町、活気あふれる大衆食堂『満腹亭』。
昼時ともなれば、肉体労働者や商人たちでごった返す戦場のような店だ。
「おい新入り! A定食三つ! あとビール追加!」
「はいよぉぉッ! A定食三丁! ビールは冷え冷えで直ちに提供します!」
厨房の奥から、元気の良い声が響いてくる。
頭に手ぬぐいを巻き、前掛けをしたギデオン――今はただの「ギル」と呼ばれている男だ。
彼は山のような皿を、驚異的なスピードで洗っていた。
「ふんッ! ふんッ! この皿の油汚れ……洗剤の希釈率は一〇倍が最適解!」
ネリネ仕込みの効率化理論が、なぜか皿洗いに応用されている。
そこへ、店の入り口から「カランカラン」とベルが鳴った。
「いらっしゃいませぇぇッ!」
ギルが顔を上げると、そこには見覚えのある栗色の髪の少女が立っていた。
「……よう、働いてる?」
ミモザだ。
彼女は辺境へ帰る前に、少しだけ様子を見に来たのだ。
「ミ、ミモザ……様」
ギルは慌てて泡だらけの手を拭く。
「様なんていらないわよ。アンタ、もう平民なんだから」
ミモザはカウンター席に座り、メニューを広げた。
「一番高いやつ、ちょうだい。特上ステーキ定食」
「……へい。金はあるんだろうな?」
「失礼ね! ネリネ様からボーナスもらったばかりよ!」
ミモザはニッと笑い、厨房の中で汗を流す元婚約者を見た。
「……似合ってるじゃない、その格好」
「そうか? ……まあ、悪くない気分だ」
ギルは照れくさそうに鼻の下を擦る。
「ここでは誰も僕を王子とは呼ばない。皿を割れば殴られるし、注文を間違えれば怒鳴られる。……でも、客が『美味い』って言って笑ってくれると、なんかこう……胸が熱くなるんだ」
「ふーん。ま、人間らしくなったってことね」
ミモザは頬杖をつく。
かつて、この男に人生を狂わされかけた。
恨みがないわけではない。
でも、今の彼を見ていると、毒気が抜けていくのを感じた。
「頑張りなさいよ。ネリネ様も気にしてたわよ。『彼が潰れたら、私の教育プログラムに傷がつく』って」
「ははっ、厳しいなぁあいつは」
ステーキが運ばれてくる。
ギルが運んできたそれは、少し肉汁が皿の縁に飛んでいたが、熱々で美味しそうだった。
「はい、お待たせ」
「……ありがと」
ミモザは一口食べ、呟いた。
「……アンタが運んできたのに、イラっとしないなんて。奇跡ね」
「うるさいな。食ったらとっとと帰れ。回転率が下がる」
「言うようになったじゃない」
二人は笑い合った。
恋人には戻れない。
友人というのも少し違う。
だが、同じ「ネリネ被害者の会」出身の戦友として、不思議な絆が生まれていた。
「じゃあね、ギル。達者で」
「ああ。お前もな。……ネリネによろしく伝えてくれ」
「分かったわ」
ミモザは代金(チップ多め)を置き、店を出た。
ギルはそれをポケットにねじ込み、再び厨房へと叫んだ。
「っしゃあぁ! 洗い物再開だ! スクワットしながら洗うぞ!」
「店が揺れるからやめろ新入り!」
店主の怒鳴り声と、ギルの笑い声が下町に溶けていく。
***
その頃。
王都を出発する豪華な馬車の中で、ネリネは手帳に一本の線を引いていた。
『案件:元婚約者の再就職支援 → 完了(コンプリート)』
「……ふふっ」
「どうした、ネリネ。何かいいことでもあったか?」
隣でシリウスが不思議そうに聞く。
ネリネは窓の外、遠ざかる王都の街並みを眺めながら答えた。
「いいえ。ただ、不良債権だと思っていた株が、意外と優良な『底値株』だったかもしれないと思いまして」
「株? よく分からんが、お前が楽しそうならそれでいい」
シリウスは優しくネリネの肩を抱く。
「さあ、帰ろうか。俺たちの家に」
「ええ。帰りましょう」
ネリネはシリウスの胸に頭を預けた。
王都での騒動はこれにて閉幕。
元悪役令嬢と元王子、それぞれの新しい人生が、ここからまた動き出す。
だが、ネリネにはまだ休む暇はない。
北の辺境には、さらなるビジネスチャンス(とトラブル)が待っているのだから。
「閣下。帰ったら早速、温泉リゾート計画の第二期工事に着手しますわよ」
「……少しは休ませてくれ」
「却下します。幸せになるのに、休み時間はありませんわ!」
馬車は北へ。
二人の愛と野望を乗せて、力強く走り去っていった。
翌日、王城の「審判の間」。
重苦しい空気の中、国王の声が響いた。
玉座に座る国王の前に、一人の男が立っている。
かつてのギデオン王子だ。
だが、その姿は王族の装束ではない。
飾り気のない麻の服に、短く刈り込んだ髪(アフロになった焦げた部分を切り落としたため)。
そして何より、猫背でヒョロヒョロだった以前とは違い、背筋が槍のように伸び、太ももはスクワット一万回の成果でパンパンに張り詰めている。
「……はっ」
ギデオンは短く答え、一礼した。
その動作のキレの良さに、並び立つ大臣たちが「おお……」とどよめく。
ネリネとシリウス、そしてミモザは、証人席からその様子を見守っていた。
「ギデオンよ。そなたの罪は重い。国宝『紅蓮の魔石』の無断持ち出し、および破損。さらに、辺境伯領への不当な侵略行為……。これらは国家反逆罪に相当する」
国王は沈痛な面持ちで告げる。
「よって、本日をもってそなたの王位継承権を剥奪し、王籍から除名とする。……異存はあるか?」
通常なら、ここで泣き叫んで命乞いをする場面だ。
「パパ、嘘だろ!?」「僕は悪くない!」と。
だが、新生ギデオンは違った。
彼は真っ直ぐに国王を見据え、ハキハキと答えた。
「異存ありません! 私の犯した愚行(ミス)、弁明の余地もありません。全ての責任は、無能な現場指揮官であった私にあります!」
「現場指揮官……?」
国王が首を傾げるが、ギデオンは続ける。
「辺境での『研修』を経て、私は痛感しました。汗を流さずして得られるパンなどないこと。そして、自分で靴下も探せない人間に、国など守れるはずがないことを!」
ギデオンの目から、一筋の涙が流れる。
それは悔し涙ではなく、自分の弱さを認めた男の清々しい涙だった。
「父上……いえ、陛下。今までご迷惑をおかけしました。この処分、甘んじて受け入れます」
シーン……。
広間に静寂が落ちる。
あのアホ王子が、まともなことを言っている。
ネリネは扇子で口元を隠し、シリウスに耳打ちした。
「……予想以上の成長率(グロース)ですわ。やはり『筋肉』は嘘をつきませんね」
「お前の教育、スパルタすぎたんじゃないか?」
国王は咳払いをして、涙を誤魔化した。
「う、うむ……。殊勝な心がけだ。では、追放後の身の振り方だが……北の修道院へ入るが良い。そこで一生、祈りを捧げて暮らすのだ」
これは国王なりの温情だった。
衣食住は保証され、静かに余生を送れる道だ。
しかし。
「お断りします!!」
ギデオンが大声で却下した。
「な、なんだと? 不満か?」
「不満です! 祈っているだけで飯が食えるなど、生産性が低すぎます! 私は働きたいのです!」
ギデオンは握り拳を作った。
「私の体には今、ネリネ教官に叩き込まれた『労働への渇望』が渦巻いています! じっとしているとスクワットをしたくて体が疼くのです! どうか、私に仕事を! 肉体を酷使するブラックな職場を与えてください!」
「……狂ったか」
大臣たちがヒソヒソと囁く。
ネリネはスッと立ち上がった。
「陛下。彼がそう望むのであれば、適切な再就職先を斡旋いたします」
「ネリネ、当てがあるのか?」
「ええ。王都の下町にある大衆食堂『満腹亭』。あそこの店主が『皿洗いのバイトが逃げて困っている』と言っていました。体力と根性があり、かつ低賃金で働く人材を求めています」
「おお! 素晴らしい!」
ギデオンが目を輝かせる。
「皿洗い! なんて魅力的な響きだ! 汚れを落とし、次なる料理のために皿を再生させる……まさに循環(サイクル)の番人!」
国王は頭を抱えた。
王族が皿洗い。前代未聞だ。
だが、息子の目がこれほど生き生きとしているのを見るのは初めてだった。
「……好きにせよ。ただし、二度と王城の敷居は跨ぐなよ」
「はい! 今までお世話になりました!」
ギデオンは深々と頭を下げ、そしてネリネの方を向いた。
「ネリネ……いや、グラン夫人。君には感謝してもしきれない。君が僕を捨ててくれなかったら、僕は一生、靴下の場所も分からないゴミのままだった」
「ゴミではありません。リサイクル可能な資源です」
ネリネは淡々と訂正する。
「その筋肉を維持し、社会の歯車として貢献なさい。それが貴方に課せられた、終身刑(ライフワーク)です」
「イエッサー! 教官!」
ギデオンはビシッと敬礼し、晴れやかな顔で審判の間を去っていった。
その背中は、王族の豪華なマントを羽織っていた頃よりも、ずっと大きく、頼もしく見えた。
***
数日後。
王都の下町、活気あふれる大衆食堂『満腹亭』。
昼時ともなれば、肉体労働者や商人たちでごった返す戦場のような店だ。
「おい新入り! A定食三つ! あとビール追加!」
「はいよぉぉッ! A定食三丁! ビールは冷え冷えで直ちに提供します!」
厨房の奥から、元気の良い声が響いてくる。
頭に手ぬぐいを巻き、前掛けをしたギデオン――今はただの「ギル」と呼ばれている男だ。
彼は山のような皿を、驚異的なスピードで洗っていた。
「ふんッ! ふんッ! この皿の油汚れ……洗剤の希釈率は一〇倍が最適解!」
ネリネ仕込みの効率化理論が、なぜか皿洗いに応用されている。
そこへ、店の入り口から「カランカラン」とベルが鳴った。
「いらっしゃいませぇぇッ!」
ギルが顔を上げると、そこには見覚えのある栗色の髪の少女が立っていた。
「……よう、働いてる?」
ミモザだ。
彼女は辺境へ帰る前に、少しだけ様子を見に来たのだ。
「ミ、ミモザ……様」
ギルは慌てて泡だらけの手を拭く。
「様なんていらないわよ。アンタ、もう平民なんだから」
ミモザはカウンター席に座り、メニューを広げた。
「一番高いやつ、ちょうだい。特上ステーキ定食」
「……へい。金はあるんだろうな?」
「失礼ね! ネリネ様からボーナスもらったばかりよ!」
ミモザはニッと笑い、厨房の中で汗を流す元婚約者を見た。
「……似合ってるじゃない、その格好」
「そうか? ……まあ、悪くない気分だ」
ギルは照れくさそうに鼻の下を擦る。
「ここでは誰も僕を王子とは呼ばない。皿を割れば殴られるし、注文を間違えれば怒鳴られる。……でも、客が『美味い』って言って笑ってくれると、なんかこう……胸が熱くなるんだ」
「ふーん。ま、人間らしくなったってことね」
ミモザは頬杖をつく。
かつて、この男に人生を狂わされかけた。
恨みがないわけではない。
でも、今の彼を見ていると、毒気が抜けていくのを感じた。
「頑張りなさいよ。ネリネ様も気にしてたわよ。『彼が潰れたら、私の教育プログラムに傷がつく』って」
「ははっ、厳しいなぁあいつは」
ステーキが運ばれてくる。
ギルが運んできたそれは、少し肉汁が皿の縁に飛んでいたが、熱々で美味しそうだった。
「はい、お待たせ」
「……ありがと」
ミモザは一口食べ、呟いた。
「……アンタが運んできたのに、イラっとしないなんて。奇跡ね」
「うるさいな。食ったらとっとと帰れ。回転率が下がる」
「言うようになったじゃない」
二人は笑い合った。
恋人には戻れない。
友人というのも少し違う。
だが、同じ「ネリネ被害者の会」出身の戦友として、不思議な絆が生まれていた。
「じゃあね、ギル。達者で」
「ああ。お前もな。……ネリネによろしく伝えてくれ」
「分かったわ」
ミモザは代金(チップ多め)を置き、店を出た。
ギルはそれをポケットにねじ込み、再び厨房へと叫んだ。
「っしゃあぁ! 洗い物再開だ! スクワットしながら洗うぞ!」
「店が揺れるからやめろ新入り!」
店主の怒鳴り声と、ギルの笑い声が下町に溶けていく。
***
その頃。
王都を出発する豪華な馬車の中で、ネリネは手帳に一本の線を引いていた。
『案件:元婚約者の再就職支援 → 完了(コンプリート)』
「……ふふっ」
「どうした、ネリネ。何かいいことでもあったか?」
隣でシリウスが不思議そうに聞く。
ネリネは窓の外、遠ざかる王都の街並みを眺めながら答えた。
「いいえ。ただ、不良債権だと思っていた株が、意外と優良な『底値株』だったかもしれないと思いまして」
「株? よく分からんが、お前が楽しそうならそれでいい」
シリウスは優しくネリネの肩を抱く。
「さあ、帰ろうか。俺たちの家に」
「ええ。帰りましょう」
ネリネはシリウスの胸に頭を預けた。
王都での騒動はこれにて閉幕。
元悪役令嬢と元王子、それぞれの新しい人生が、ここからまた動き出す。
だが、ネリネにはまだ休む暇はない。
北の辺境には、さらなるビジネスチャンス(とトラブル)が待っているのだから。
「閣下。帰ったら早速、温泉リゾート計画の第二期工事に着手しますわよ」
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