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「……嘘」
朝の光が差し込む更衣室。
私は鏡の前で、信じられない事態に直面していた。
手には、今日着る予定だったお気に入りのモスグリーンのドレス。
しかし、その背中のファスナーが――。
「あ、上がらない……?」
途中まではスムーズにいく。
しかし、腰のくびれ(だった部分)から少し上のあたりで、ファスナーの金具が頑として動かなくなるのだ。
「んんっ! ぬぐぐ……っ!」
私は息を止め、お腹を極限まで引っ込めて再挑戦した。
ギリ……ギリギリ……ッ!
『ブチッ』
不吉な音がした。
私は即座に手を離した。
「……」
見なかったことにしよう。
私はそのドレスをそっとクローゼットの奥に戻した。
そして、ゴム紐で調整可能なゆったりとしたスカートと、体型を隠せるニットを選んだ。
(太った……)
認めざるを得ない。
ここ数日、熊肉のシチュー、朝食のフルコース、別腹のデザート攻勢に晒され続けた結果だ。
しかも昨日は「討伐祝い」と称して、深夜にバターたっぷりの焼き菓子まで食べてしまった。
「農作業で消費しているはずなのに……摂取カロリーが消費を上回っている……!」
これはまずい。
非常にまずい。
『氷の閣下』のペットとして肥育されるのはいいが(良くない)、物理的に服が着られなくなっては公爵令嬢としての死だ。
「……今日からダイエットよ」
私は固く決意した。
心を鬼にして、アレクセイ様の餌付けから逃げ回るのだ。
◇
その日の私は、徹底した「逃走劇」を繰り広げた。
朝食時。
「お腹の調子が少し……」と仮病を使い、フルーツヨーグルトだけで逃げ切った。
アレクセイ様は「医者を呼ぶか!?」と大騒ぎしたが、なんとか制した。
昼食時。
畑仕事に没頭するフリをして、食堂へは行かず、持参したキュウリを一本かじって済ませた。
使用人たちが「姐さんが霞(かすみ)を食べて生きようとしている……仙人か?」とざわついていたが無視だ。
そして、夜。
「ふぅ……」
私は大浴場(女性専用タイム)で長湯をし、汗を流していた。
これで少しは代謝が上がっただろうか。
湯上がりの火照った体を冷ますため、薄手のガウンを羽織り、廊下を歩く。
もう夜も遅い。
アレクセイ様も寝室に引き上げているはずだ。
このまま部屋に戻り、水を飲んで寝てしまえば、今日のダイエット作戦は成功する。
そう思った時だった。
「……カトレア」
曲がり角から、ぬっと黒い影が現れた。
「ひゃっ!?」
心臓が飛び跳ねる。
そこにいたのは、風呂上がりなのか、髪を濡らし、ラフなシャツ姿のアレクセイ様だった。
ボタンが二つほど開いており、逞しい胸筋がチラ見えしている。
無駄にセクシーだ。
しかし、私の目は彼の色気よりも、彼が手に持っている『お盆』に釘付けになった。
そこには、湯気を立てるホットミルクと、厚切りのハニートースト(バニラアイス添え)が乗っていた。
「……探したぞ」
アレクセイ様が、獲物を追い詰めた肉食獣のような目で近づいてくる。
「朝も昼も、ほとんど食べていないと聞いた。……体調が悪いのか?」
「い、いえ! もう治りました! ただ、少し食欲がないだけで……」
「嘘だ」
彼はズイズイと距離を詰めてくる。
「君の胃袋が、キュウリ一本で満たされるはずがない。……遠慮しているのだろう?」
「違います! 本当に……!」
「さあ、これを食え。蜂蜜をたっぷりかけた。疲れた体には糖分が必要だ」
甘い香りが鼻をくすぐる。
ハニートースト。
しかもアイス添え。
悪魔の食べ物だ。
深夜にこんなものを食べたら、ファスナーどころかドレスが爆散してしまう。
(だめ! ここで負けたら、私は一生モンペとちゃんちゃんこで過ごすことになる!)
私は後ずさった。
背中が壁に当たる。
逃げ場がない。
「……口を開けろ」
アレクセイ様が、トーストをちぎり、私の口元へ運んでくる。
その顔は、慈愛に満ちた(強制給餌モードの)笑顔だ。
「い、いりません……!」
「遠慮するな」
「太るんです!!」
私が叫ぶと、アレクセイ様の手が止まった。
彼はきょとんとして、私の体を上から下まで眺めた。
「……太る? どこがだ?」
「全体的にです! ドレスがきついんです!」
「……そうか」
彼は納得したように頷き、そして爆弾発言をした。
「なら、新しいドレスを作ればいい。今の十倍のサイズまでなら許容範囲だ」
「十倍って何ですか!? 熊ですか私は!」
「熊でもいい。……君なら可愛い」
だめだ、会話が通じない。
この人の愛(重い)は、私の乙女心を粉砕しようとしている。
もう、実力行使に出るしかない。
私は意を決して、彼の持つお盆を押し返そうとした。
「食べません! 今日は絶対に食べませんから!」
「カトレア、一口でいい」
「いやです!」
問答を繰り返しながら、私たちは廊下で揉み合いになった。
アレクセイ様は力が強い。
壁際に追い詰められ、逃げ場を失った私は、焦りと空腹と羞恥でパニックになった。
(どうにかして、彼を止めなきゃ……!)
止める。
動きを封じる。
実家の母が言っていた護身術。
『相手の不意を突いて、壁に押し付けろ』。
私は無我夢中で、右手を振り上げた。
狙うはアレクセイ様の顔の横、壁!
漫画でよく見る『壁ドン』をして、彼を驚かせ、その隙に逃げるのだ!
「お断りですッ!!」
気合一閃。
私は渾身の力で、掌を壁に叩きつけた。
ズドンッ!!!!
……え?
私の予想では、「バンッ」という乾いた音がして、彼が「おっ?」と驚くはずだった。
しかし、響いたのは、工事現場の解体作業のような重低音。
そして、私の掌からは、パラパラと白い粉が舞い落ちてきた。
「……」
「……」
恐る恐る、手の下を見る。
石造りの頑丈な壁に、見事な『蜘蛛の巣状の亀裂』が入り、中心部が拳の形に陥没していた。
(……あれ?)
そういえば、ここ数日。
私は『魔導鍬(マジック・ホー)』を使い、毎日岩盤を砕いていた。
あの鍬は、使用者の筋力を魔法で補助し、増強する効果がある。
そして、連日の熊肉摂取による高タンパクな食事。
私の体は、知らず知らずのうちに『ゴリラ化』……いえ、アスリート化していたのだ。
「あ……」
やってしまった。
辺境伯城の壁を破壊してしまった。
しかも、家主にむかって壁ドン(物理破壊)で威嚇してしまった。
私はサーッと血の気が引いた。
「も、申し訳ありま……」
謝ろうとして、顔を上げた。
しかし、目の前のアレクセイ様の反応は、予想外のものだった。
「…………」
彼は、陥没した壁と、私の顔を交互に見ていた。
そして、その頬が、見る見るうちに赤く染まっていく。
瞳孔が開き、熱っぽい吐息が漏れる。
「……すごい」
「へ?」
「なんて……力強い壁ドンだ……」
うっとりしていた。
恐怖ではなく、恍惚としていた。
「王都の貴族令嬢など、扇子一つ持つのも嫌がるような軟弱な者ばかりだ。……だが、君は違う」
彼はトーストのお盆をサイドテーブルに置き(手は震えている)、私の肩をガシッと掴んだ。
「壁を砕くほどの情熱……! それほどまでに、私に『NO』と言いたかったのか? いや、これは私への『挑発』か?」
「え、あ、違……」
「ゾクゾクしたぞ、カトレア。……私の目の前で、これほどの『力(パワー)』を見せつけられるとは」
彼との距離がゼロになる。
近い。
顔が近い。
「君はやはり、私の運命の相手だ。……この強さ、この破壊力。辺境伯夫人にふさわしい」
「あの、壁が……」
「壁などどうでもいい! 修理すれば済む!」
彼は私の手を取り、そのひび割れた壁に自分の手を重ねた。
いわゆる『壁ドン返し』の体勢だが、背景が破壊された壁なので、完全にアクション映画のワンシーンだ。
「カトレア。……好きだ」
「はい!?」
突然の告白。
しかも、シチュエーションが『壁を粉砕した後』。
「その凶悪な目つきも、健啖な胃袋も、そして壁を砕く腕力も……全て愛おしい」
アレクセイ様が、私の額にコツンと自分の額を当てた。
「だから……お願いだ。痩せないでくれ」
「そこに戻るんですか!?」
「そのパワーを維持するには、カロリーが必要だ。……さあ、トーストを食え」
「……」
結局、私は彼の熱意(と狂気)に押し切られ、ハニートーストを半分食べる羽目になった。
壁の修理代は請求されなかったが、代償として『私の腕力はゴリラ並み』という新たな事実が発覚してしまった。
翌日。
破壊された壁を見た使用人たちが、
「姐さん……ついに城の破壊に乗り出したか……」
「夫婦喧嘩で壁が砕けたらしいぞ」
「物理壁ドンで閣下を黙らせたってマジ?」
と噂し、私への畏怖レベルがまた一つ上がったのは言うまでもない。
ダイエット計画、失敗。
しかし、なぜかアレクセイ様との絆(?)は、より強固なもの(物理的に)となったのであった。
朝の光が差し込む更衣室。
私は鏡の前で、信じられない事態に直面していた。
手には、今日着る予定だったお気に入りのモスグリーンのドレス。
しかし、その背中のファスナーが――。
「あ、上がらない……?」
途中まではスムーズにいく。
しかし、腰のくびれ(だった部分)から少し上のあたりで、ファスナーの金具が頑として動かなくなるのだ。
「んんっ! ぬぐぐ……っ!」
私は息を止め、お腹を極限まで引っ込めて再挑戦した。
ギリ……ギリギリ……ッ!
『ブチッ』
不吉な音がした。
私は即座に手を離した。
「……」
見なかったことにしよう。
私はそのドレスをそっとクローゼットの奥に戻した。
そして、ゴム紐で調整可能なゆったりとしたスカートと、体型を隠せるニットを選んだ。
(太った……)
認めざるを得ない。
ここ数日、熊肉のシチュー、朝食のフルコース、別腹のデザート攻勢に晒され続けた結果だ。
しかも昨日は「討伐祝い」と称して、深夜にバターたっぷりの焼き菓子まで食べてしまった。
「農作業で消費しているはずなのに……摂取カロリーが消費を上回っている……!」
これはまずい。
非常にまずい。
『氷の閣下』のペットとして肥育されるのはいいが(良くない)、物理的に服が着られなくなっては公爵令嬢としての死だ。
「……今日からダイエットよ」
私は固く決意した。
心を鬼にして、アレクセイ様の餌付けから逃げ回るのだ。
◇
その日の私は、徹底した「逃走劇」を繰り広げた。
朝食時。
「お腹の調子が少し……」と仮病を使い、フルーツヨーグルトだけで逃げ切った。
アレクセイ様は「医者を呼ぶか!?」と大騒ぎしたが、なんとか制した。
昼食時。
畑仕事に没頭するフリをして、食堂へは行かず、持参したキュウリを一本かじって済ませた。
使用人たちが「姐さんが霞(かすみ)を食べて生きようとしている……仙人か?」とざわついていたが無視だ。
そして、夜。
「ふぅ……」
私は大浴場(女性専用タイム)で長湯をし、汗を流していた。
これで少しは代謝が上がっただろうか。
湯上がりの火照った体を冷ますため、薄手のガウンを羽織り、廊下を歩く。
もう夜も遅い。
アレクセイ様も寝室に引き上げているはずだ。
このまま部屋に戻り、水を飲んで寝てしまえば、今日のダイエット作戦は成功する。
そう思った時だった。
「……カトレア」
曲がり角から、ぬっと黒い影が現れた。
「ひゃっ!?」
心臓が飛び跳ねる。
そこにいたのは、風呂上がりなのか、髪を濡らし、ラフなシャツ姿のアレクセイ様だった。
ボタンが二つほど開いており、逞しい胸筋がチラ見えしている。
無駄にセクシーだ。
しかし、私の目は彼の色気よりも、彼が手に持っている『お盆』に釘付けになった。
そこには、湯気を立てるホットミルクと、厚切りのハニートースト(バニラアイス添え)が乗っていた。
「……探したぞ」
アレクセイ様が、獲物を追い詰めた肉食獣のような目で近づいてくる。
「朝も昼も、ほとんど食べていないと聞いた。……体調が悪いのか?」
「い、いえ! もう治りました! ただ、少し食欲がないだけで……」
「嘘だ」
彼はズイズイと距離を詰めてくる。
「君の胃袋が、キュウリ一本で満たされるはずがない。……遠慮しているのだろう?」
「違います! 本当に……!」
「さあ、これを食え。蜂蜜をたっぷりかけた。疲れた体には糖分が必要だ」
甘い香りが鼻をくすぐる。
ハニートースト。
しかもアイス添え。
悪魔の食べ物だ。
深夜にこんなものを食べたら、ファスナーどころかドレスが爆散してしまう。
(だめ! ここで負けたら、私は一生モンペとちゃんちゃんこで過ごすことになる!)
私は後ずさった。
背中が壁に当たる。
逃げ場がない。
「……口を開けろ」
アレクセイ様が、トーストをちぎり、私の口元へ運んでくる。
その顔は、慈愛に満ちた(強制給餌モードの)笑顔だ。
「い、いりません……!」
「遠慮するな」
「太るんです!!」
私が叫ぶと、アレクセイ様の手が止まった。
彼はきょとんとして、私の体を上から下まで眺めた。
「……太る? どこがだ?」
「全体的にです! ドレスがきついんです!」
「……そうか」
彼は納得したように頷き、そして爆弾発言をした。
「なら、新しいドレスを作ればいい。今の十倍のサイズまでなら許容範囲だ」
「十倍って何ですか!? 熊ですか私は!」
「熊でもいい。……君なら可愛い」
だめだ、会話が通じない。
この人の愛(重い)は、私の乙女心を粉砕しようとしている。
もう、実力行使に出るしかない。
私は意を決して、彼の持つお盆を押し返そうとした。
「食べません! 今日は絶対に食べませんから!」
「カトレア、一口でいい」
「いやです!」
問答を繰り返しながら、私たちは廊下で揉み合いになった。
アレクセイ様は力が強い。
壁際に追い詰められ、逃げ場を失った私は、焦りと空腹と羞恥でパニックになった。
(どうにかして、彼を止めなきゃ……!)
止める。
動きを封じる。
実家の母が言っていた護身術。
『相手の不意を突いて、壁に押し付けろ』。
私は無我夢中で、右手を振り上げた。
狙うはアレクセイ様の顔の横、壁!
漫画でよく見る『壁ドン』をして、彼を驚かせ、その隙に逃げるのだ!
「お断りですッ!!」
気合一閃。
私は渾身の力で、掌を壁に叩きつけた。
ズドンッ!!!!
……え?
私の予想では、「バンッ」という乾いた音がして、彼が「おっ?」と驚くはずだった。
しかし、響いたのは、工事現場の解体作業のような重低音。
そして、私の掌からは、パラパラと白い粉が舞い落ちてきた。
「……」
「……」
恐る恐る、手の下を見る。
石造りの頑丈な壁に、見事な『蜘蛛の巣状の亀裂』が入り、中心部が拳の形に陥没していた。
(……あれ?)
そういえば、ここ数日。
私は『魔導鍬(マジック・ホー)』を使い、毎日岩盤を砕いていた。
あの鍬は、使用者の筋力を魔法で補助し、増強する効果がある。
そして、連日の熊肉摂取による高タンパクな食事。
私の体は、知らず知らずのうちに『ゴリラ化』……いえ、アスリート化していたのだ。
「あ……」
やってしまった。
辺境伯城の壁を破壊してしまった。
しかも、家主にむかって壁ドン(物理破壊)で威嚇してしまった。
私はサーッと血の気が引いた。
「も、申し訳ありま……」
謝ろうとして、顔を上げた。
しかし、目の前のアレクセイ様の反応は、予想外のものだった。
「…………」
彼は、陥没した壁と、私の顔を交互に見ていた。
そして、その頬が、見る見るうちに赤く染まっていく。
瞳孔が開き、熱っぽい吐息が漏れる。
「……すごい」
「へ?」
「なんて……力強い壁ドンだ……」
うっとりしていた。
恐怖ではなく、恍惚としていた。
「王都の貴族令嬢など、扇子一つ持つのも嫌がるような軟弱な者ばかりだ。……だが、君は違う」
彼はトーストのお盆をサイドテーブルに置き(手は震えている)、私の肩をガシッと掴んだ。
「壁を砕くほどの情熱……! それほどまでに、私に『NO』と言いたかったのか? いや、これは私への『挑発』か?」
「え、あ、違……」
「ゾクゾクしたぞ、カトレア。……私の目の前で、これほどの『力(パワー)』を見せつけられるとは」
彼との距離がゼロになる。
近い。
顔が近い。
「君はやはり、私の運命の相手だ。……この強さ、この破壊力。辺境伯夫人にふさわしい」
「あの、壁が……」
「壁などどうでもいい! 修理すれば済む!」
彼は私の手を取り、そのひび割れた壁に自分の手を重ねた。
いわゆる『壁ドン返し』の体勢だが、背景が破壊された壁なので、完全にアクション映画のワンシーンだ。
「カトレア。……好きだ」
「はい!?」
突然の告白。
しかも、シチュエーションが『壁を粉砕した後』。
「その凶悪な目つきも、健啖な胃袋も、そして壁を砕く腕力も……全て愛おしい」
アレクセイ様が、私の額にコツンと自分の額を当てた。
「だから……お願いだ。痩せないでくれ」
「そこに戻るんですか!?」
「そのパワーを維持するには、カロリーが必要だ。……さあ、トーストを食え」
「……」
結局、私は彼の熱意(と狂気)に押し切られ、ハニートーストを半分食べる羽目になった。
壁の修理代は請求されなかったが、代償として『私の腕力はゴリラ並み』という新たな事実が発覚してしまった。
翌日。
破壊された壁を見た使用人たちが、
「姐さん……ついに城の破壊に乗り出したか……」
「夫婦喧嘩で壁が砕けたらしいぞ」
「物理壁ドンで閣下を黙らせたってマジ?」
と噂し、私への畏怖レベルがまた一つ上がったのは言うまでもない。
ダイエット計画、失敗。
しかし、なぜかアレクセイ様との絆(?)は、より強固なもの(物理的に)となったのであった。
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