Chaka

宮成 亜枇

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Chapter4

5

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 大輔と真澄は、彼らの間に何があったのか、即座に理解した。言葉では、想いを伝えていないことも。
 それでも構わないと、彼らは思う。

 出会い、好意を持ち、惹かれ。
 想いが繋がり、共に歩む。
 彼らは、酸いも甘いも知った大人だ。
 そんな、セオリー通りに行かないことも、十分知り尽くしている。
『今』を生きる以上。そして。世間的に認められない関係である以上。
『メメント・モリ』
 それで良いのではないかと。

『死を想え』
『いつか必ず死ぬことを忘れるな』
 そこからの警句。

 生きるために、死を想う。
 いつか、そのときが訪れるときに、後悔のないように。
 もちろん、全く後悔なく、というのは無理な話だが。
 せめて、一人を想い、想われる。その事実には素直であって欲しいと願っているのだ。

 営業終了間際やってきた間宮は、綾瀬が作ったカクテルを飲みながら、談笑している。
 その様子を微笑ましく見つめつつも、先程彼らに告げた言葉を反芻する。

 間宮が、芸能人である事。
 綾瀬が、濱田のことを引きずり、いまだに想いを心に残していること。

 それもあるが、
『難しい』
 は、ほかの事柄にも原因がある。

 あくまで、『女』の勘。当たらぬ事を願っているが。
(陸ちゃん。……あなたはもしもの時、すべてを捨ててでも、ナオちゃんを選び、歩むことができる?)
 心のみで、彼に問う。
 蒼き炎は、見た目よりも遥かに高い熱を持ち、焼き尽くす。いくら優秀な人物が側にいたからとは言え、起業し、短期間で会社をあそこまでの規模にした濱田は、その才に恵まれていると言っても過言ではない。彼は、まさに蒼き炎の持ち主だ。
 そして、綾瀬に嫌がらせと見受けられてもしかたがない行動ばかりとっているが。あの男、おそらくは。

 そんな男に勝つためには。
『灼熱の太陽』よりも、更に、熱く。
 一瞬で、豊かな大地を焦土に変えるほどの炎が必要。
 しかし、間宮は優しき男だ。周りの迷惑を顧みず、そのようなことができるとは想像つかない。そしてまた、綾瀬も。間宮や真澄に危害が及ぶようであれば、守るために、身を危険にさらすことを何とも思わない性格。濱田の行動いかんによっては、二人がどのような行動をとるのかが容易に思い浮かび、ため息が漏れる。

 それ故の、『難しい』。

「ねぇ。ダーリン」
 真澄が問う。なにを言いたいのか理解した大輔は、静かに頷いた。
 いったいどこまでできるかわからないが、向かってくるものが強大であるのなら、壁は多い方がいい。
 二人は、それになることを決めた。


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