女神の箱庭は私が救う

神月いろは

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召喚

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「ヒューイ様…女神の乙女とは⁈」
説明プリーズ⁉︎
ヒューイ様は(重い私を抱え)ソードリーフの草原を軽やかに下って行く。
『丘の上だったんた…』

「この世界を簡単に説明します。
この世界は5人の女神によって作られ、女神それぞれが大陸をつくりそこへ生命を誕生させたといわれています。
この大陸は第三女神リリスがつくりました。我がアルディア王国の他にレックロット帝国、モーブル王国と妖精の国があります。
他の女神もそうですが、女神がこの世界の生命に手をかせるのは自然に関わる事のみ。人同士の問題や病気や文明の発展には手をかせないのです。
しかし人間は欲深く必ず揉め事が生じます。問題が続くとこの世界は人間によって破壊されてしまう。悩んだ女神はこの世界より文明が発達した異世界人を召喚する事にしたのです」

『あ…どこでも揉め事はあるんだ』

「女神リリスによって召喚された異世界人が男性なら”聖人”女性なら”乙女”と呼ばれる様になりました。
この召喚は女神の神力をかなり消耗するらしく、簡単には行われません。前回の召喚は300年前と記録されています。
そして召喚された乙女(聖人)は先程の丘の上、女神の台座にお出ましになります。」

「他にも沢山人がいましたが私が来るの分かってたんですか⁈」

ヒューイ様は左手上を見上げて「あそこに櫓が見えますか⁈」っと私の視線を誘導する。
確かに物見櫓らしきものがある。

「あそこから女神の台座がよく見えます。騎士か交代で常駐し台座を監視しています。前触れは乙女(聖人)の召喚される7日前に台座にドアが出現します」

『ドア⁈ 私が開けたドア?』

「ドアは4枚。
 黒いドアはレックロット帝国
 黄いドアはモーブル王国
 緑のドアは精霊の国で
 我がアルディア王国は青いドア。
 ドアノブが金色だと聖人(男性)で、銀色だと乙女(女性)とされてます。
私も歴史書で読んだだけで、実際目にするまで半信半疑でした」

「今回の召喚は歴史書に書かれてる手順と異なる事ばかりで、かなり困惑しました」

『ふーん。人同士の問題って戦争とか?かなぁ…そー言えばヒューイさんが言っていた召喚ルールって何かなぁ?聞いちゃえ!』

「召喚について教えて下さい」

ヒューイさんは説明をしてくれた。

「女神の台座に乙女(聖人)が異世界から召喚されるとドアは台座から離れて上昇します。そして乙女(聖人)がドアを選ぶと選ばれてなかったドアは消失します。歴史書では選ばれるドアは1枚。
ですが今回は2枚残りました。」

『あ…私が欲張って2枚同時に持ったからだ…』

「1枚になる事なくそのまま降下を始めました。召喚ルールではドアが台座まで下り乙女(聖人)が自らドアを開けお出ましになるまで、ドアに触れてはならないと記述されています。
しかし、オーランド殿下はドアの降下中にドアに触れたのです。触れた瞬間ドアは消失しました」

『黒いドアが外から引っ張られたのは彼が触れたからなんだ…』

「それに…」

『ぇ!まだあんの?』また私何がやっちゃってる⁈』

「本来台座に下ったドアから乙女(聖人)がお出ましになるのに、降下の途中に貴女がドアから飛び出して来ました。
台座のすぐ側に居たのでお助け出来ましたが、危うくソードリーフの上に落ちケガを負うところでした。」

『あ~ドア消えちゃうって慌てて飛び出しちゃたからかぁ… 
あっあぶな!危うく血まみれだった。ヒューイさんありがとう』

「レックロット帝国の内情を聞き及んでいます。なんとしても乙女を得たかったのでしょう。それにしてもオーランド殿下は若すぎる…」

『オーランドさんって王子だったんだ。ドアを引っ張っられなかったら黒いドア選んでたかも…』

「しかし、召喚は神聖な儀式だ。許される事ではない… 多恵様が気にされる事ではありません」

「って、言われても気になりますよ」

「多恵様はお優しいのですね…」

と笑顔を向けられる。
『やめて~イケメンの微笑みは凶器だ』
私が1人静かに悶えていると少し先に白馬が見えてきた。
じっとこっちを見ている。大きい…元の世界の馬より一回り大きい?感じ。

「愛馬”ヴォルフ”です」ヴォルフは嘶くと鼻先を私の顔を近付けてきた。

元々動物苦手な私は強張ってしまう。

「大丈夫ですよ。ヴォルフは雄にしては大人しい性格です。どうやら多恵様を気に入った様だ」

恐る恐るヴォルフを見ると優しい瞳と目が合う。優しい…なんか安心する。

「ヴォルフ…重くて申し訳ないけど乗せてね」
ヴォルフは私の頬に顔を寄せてきた。
これってOKって事よね!
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