女神の箱庭は私が救う

神月いろは

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謁見

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目覚めはよかった。
首を振り左右を見る。無駄にデカイベットだなぁ。ウチの家族3人で寝ても余裕だ。ぼーとしていると天蓋越しにメイドさんが声をかけてくる。

「多恵様。お目覚めですか⁈お茶ご用意して宜しいですか⁈」

お願いするとメイドさんは天蓋を開けてティーカップに柑橘のいい匂いがするお茶を入れてくれる。

彼女は確か馬車にいた人だ。
「あの…馬車にいた方ですよね?」するとメイドさんは微笑んでくれた。

「はい。本日よりお仕えいたしますサリナと申します。誠心誠意お仕えさせていただきます」

暖かい目を向けられる。あーこの暖かい視線は…この人に私号泣してるとこ見られてる。は…恥ずかしい。

「あのサリナさん。馬車ではご迷惑おかけしました」と言うと

「多恵様。私に敬称は必要ございません。サリナとお呼び下さい。この後の予定お伝えしてよろしいですか?」

と様呼びされ恐縮する。

「あのですね~多分私の方が年下なので、様付けはやめて下さい」

「そうゆう訳にはいきませんわ」

「ではサリナさんとお呼びするので、私の事はさん呼びでお願いします。その方が落ち着くので…」

「仰せのとおりに…」納得してもらえたみたい。


「ではこれから湯浴みとお着替えいただき、陛下に謁見していただきます。ではまず湯浴みから」

サリナさんにバスルームに連れていかれ、身体を洗われて今ドレッサーの前に座らされている。私の希望どおり薄化粧にシンプルなドレスを用意してくれた。流石!侍女さんだ。少しは見栄えよくなった。

準備が出来た頃にドアがノックされ、答えると騎士さんが入ってきた。
アッシュグレーの長髪を後ろで一つにまとめたガッチリ系の美丈夫。この世界は男前しかいないのか⁈


「多恵様。謁見の間までご案内いたします。第1騎士団デューク・ブライスと申します。よろしくお願いいたします。準備がよろしければ参りましょう」

と手を差し出された。
えっと…これはエスコートってやつ?
どうしたらいいの?手を出して重ねたらいいの?ダメだ!恥ずかしくて無理。

「すみません。私の世界ではエスコートされる事とか無くて、恥ずかしいです。歩くの遅いですがしっかりついて行くので… あの…手は無しでもいいですか⁈」

あーはずかしぬ…絶対…今顔赤いよ…

デューク様は目を見開きビックリした表情をしてから「多恵様が望まれるなら、仰せのとおりに」と言ってくれた。

ふ…う… なんとかエスコートは回避した。

デューク様に先導され城内を歩いていく。10分近く歩いてるけど着かない。広いなぁ…なんて考えてたら少し先に大きなドアが現れた。ドア前まで来るとドアの前に立っていた髭をたくわえた中年男性がドアを開けてくれた。

さぁ!王様とご対面!
リリスのお使いちゃんとできるかなぁ…
緊張してきた。

デュークさんに先導され部屋の中央付近まで進むと
「こちらでお待ちを」とデュークさんに指示される。デュークさんは左手後方に下がっていった。

5メートルほど先の数段上の立派な椅子に王様と王妃様が座っている。
王様から少し下がった右手に男性が3人並んで座っている。3人の真ん中は女神の丘で会ったヒューイさんだ。

私がキョロキョロしていると王様が
「女神の乙女よ。よく我が王国へ参られた。歓迎するぞ。我が名はルーク・カイ・アルディア。女神の乙女よ名を聞かせてはくれぬか⁈」

貫禄あるまさに昔話に出てくる王様だ。

「はい。川原多恵といいます。川原が家名で多恵が名です。よろしくお願いします」

とお辞儀をする。中世ぽいからカーテシーとかの方がいいのかなぁ…

「他の者も乙女に挨拶を」王様が言うと

「多恵さん。私は王妃のルルーシュよ。こんな愛らしい娘さんなら大歓迎ですわ。仲良くして下さいね」めっちゃ美人さん銀髪に翡翠色の瞳が印象的だ。


次に挨拶してくれたのが、右手前の男性。
「第1王子、アーサーと申します。お見知りおきを」ざっ王子って感じ。少し癖毛の金髪にオレンジ色の瞳。目元の黒子がセクシーだ。

『??ん??』アーサー王子の並びに居るということは…

「第2王子ヒューイです。多恵様ゆっくり休めましたか⁈」あー!やっぱし王子だ!
王子のお胸借りちゃったよ。
顔が熱くなり口を開けたままフリーズする。

「ヒューイ様。申し訳ありません。王子とは知らずに失礼しました」背中に嫌な汗が出る。

「そんな事ありましたか⁈」
とウィンクされる。もー恥ずかしい。部屋に帰りたい…

「兄上!私も自己紹介させて下さい。
私は第3王子のトーイと申します。年も近いようなので気兼ね無くお話し下さい」

「トーイ様ありがとうございます」

最後に王様の横に立つ男性。多分宰相さんらしき人が挨拶してくれた。

「この国の宰相を務めますイザーク・ゴルティアと申します。多恵様は我が国の大切なお方。何がございましたら何なりとお申し付け下さい」

多分宰相さんは元の私と同じ年代くらいだなぁ…艶やかな黒髪に白いものが混じってるから。

これで皆んなの挨拶が終わった。
よし!リリスのお使いしないと!

「陛下。発言をお許しいただけますか?」

「よい。許そう」

「女神リリスから召喚された際に伝言を預かって参りました。”召喚について話したい事があり。他3国に連絡を取り代表(乙女の相手)となる者を女神の台座に集めて欲しい”そうです」

王様は目を細め私を見つめて真意を探る。宰相は眉間に皺をせている。 
確かに怪しいよね。”国の代表”って言ったら王族になる。いくら他国と今戦は無くとも何が起これば、幼稚園児みたいに「ごめんね・いいよ」では済まない。最悪戦になる。

王様が「いくら乙女が”女神リリスの言葉”と言えども、信ずるものがない」あからさまに疑ってる。ですよねー。いくら召喚で来たとはいえまだよく分からん小娘を信用出来ないよね…

よし!”ロナウドのリーフ” 発動だ!
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