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最後の夏休み
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幼い頃からタケルとユウは
いつも一緒だった。
家が隣で、小中学校も同じ
夏休みの宿題さえ一緒にやった。
けれど二人が高校生になった頃から
少しずつ距離が離れた。
ユウは部活で忙しくなり
タケルは勉強に追われていた。
話す機会が減っても、タケルにとって
ユウは“安心する場所”みたいな存在だった。
――好きなんだろうな。
タケルは自分の気持ちに気付いていたけれど、関係が壊れるのが怖くて何も言えなかった。
夏休みの終わり。
町の花火大会の日、タケルはひとりで会場へ向かった。
ユウと一緒に来るはずだったが、彼は「用事がある」とだけ伝え、詳しくは言わなかった。
(最後にユウと花火見たかったな)
胸の奥がチクリと痛くなり
人混みから離れた河川敷に座り込んだ。
そのとき――背後から名前を呼ぶ声がした。
「……タケル!」
振り向くと、汗をにじませたユウが急ぎ足でやって来る。
「間に合った…!」
ユウは息を整えると、紙袋を差し出した。
中には小さなキーホルダー。
タケルが昔、河原で拾ってユウにあげた
青いガラス石に似ていた。
「タケルが受験とか色々でさ……最近ずっと会えてなかったから。
これ、前に好きって言ってたろ?
作ってもらってたんだ。
遅くなってごめん」
タケルの胸がじんわりと熱くなる。
その瞬間、空に大きな花火が開いた。
光に照らされて、ユウが少し照れたように笑う。
「タケル。俺さ……」
鼓動が一気に跳ね上がる。
「高校を卒業したら、ここを離れるかもしれない。けど――」
一度言葉を切り、ユウは真っ直ぐ目を見つめて続けた。
「離れても、お前のこと手放す気はない。
俺……ずっとタケルが好きだった」
胸が苦しいほど嬉しくて、泣きたくなるほど寂しかった。
タケルは震える声で答える。
「……俺も。
ずっと、ユウが好きだったよ」
花火が夜空で散っていく。
二人の未来は同じとは限らない。
離れる日が来るかもしれない。
――それでも。
ユウの手がタケルの手をそっと握った。
そのぬくもりだけで、どんな距離も越えられる気がした。
「来年も、一緒に花火見ような」
「うん」
夜風に流れた花火の匂いが、二人の胸の奥に残った。
これは、幼馴染から恋人に変わる2人の物語
いつも一緒だった。
家が隣で、小中学校も同じ
夏休みの宿題さえ一緒にやった。
けれど二人が高校生になった頃から
少しずつ距離が離れた。
ユウは部活で忙しくなり
タケルは勉強に追われていた。
話す機会が減っても、タケルにとって
ユウは“安心する場所”みたいな存在だった。
――好きなんだろうな。
タケルは自分の気持ちに気付いていたけれど、関係が壊れるのが怖くて何も言えなかった。
夏休みの終わり。
町の花火大会の日、タケルはひとりで会場へ向かった。
ユウと一緒に来るはずだったが、彼は「用事がある」とだけ伝え、詳しくは言わなかった。
(最後にユウと花火見たかったな)
胸の奥がチクリと痛くなり
人混みから離れた河川敷に座り込んだ。
そのとき――背後から名前を呼ぶ声がした。
「……タケル!」
振り向くと、汗をにじませたユウが急ぎ足でやって来る。
「間に合った…!」
ユウは息を整えると、紙袋を差し出した。
中には小さなキーホルダー。
タケルが昔、河原で拾ってユウにあげた
青いガラス石に似ていた。
「タケルが受験とか色々でさ……最近ずっと会えてなかったから。
これ、前に好きって言ってたろ?
作ってもらってたんだ。
遅くなってごめん」
タケルの胸がじんわりと熱くなる。
その瞬間、空に大きな花火が開いた。
光に照らされて、ユウが少し照れたように笑う。
「タケル。俺さ……」
鼓動が一気に跳ね上がる。
「高校を卒業したら、ここを離れるかもしれない。けど――」
一度言葉を切り、ユウは真っ直ぐ目を見つめて続けた。
「離れても、お前のこと手放す気はない。
俺……ずっとタケルが好きだった」
胸が苦しいほど嬉しくて、泣きたくなるほど寂しかった。
タケルは震える声で答える。
「……俺も。
ずっと、ユウが好きだったよ」
花火が夜空で散っていく。
二人の未来は同じとは限らない。
離れる日が来るかもしれない。
――それでも。
ユウの手がタケルの手をそっと握った。
そのぬくもりだけで、どんな距離も越えられる気がした。
「来年も、一緒に花火見ような」
「うん」
夜風に流れた花火の匂いが、二人の胸の奥に残った。
これは、幼馴染から恋人に変わる2人の物語
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