近未来判事「タクヤ」

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事件簿004 『小間物屋』その13

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A実、実は笑いを堪えるのに必死だった。
探偵を玄関で見送ると、堰を切ったように笑い転げた。
「離婚さえできればよかったのに、慰謝料までむしり取れるわ!」

全てA美とD哉の思惑通りに事が進む・・・はずだった。
しかし、二人の脳みそを足してもサエの高性能頭脳には及ばなかった。

『帰ってこない夫が本当に心配なら警察に捜索願いを出すはず。なぜ探偵社に依頼したのか?』

A美を厳しく問い詰めてみると、元々離婚してD哉と結婚できればという程度、あっさりと事実を明かした。
サエによれば気付かないほうがバカだそうだが・・・。

結局、このまま夫婦生活を続けるのは現実的に無理ということで、A実とB太は協議離婚した。当然ながら慰謝料は無し。

「あ、そうだ。」

「ん?」

「あのイケメン医者ね。」

「うん。」

「医師法違反で医師免許剥奪だって。

「へっ!当然だろ!!」

「タクヤ、まだ結婚したいと思ってる?」

「とんでもねぇ!当分結婚なんてしねぇよ。」

「あ、それと、B太さんね」

「証券会社辞めたんだろ?」

「今は200人の社員と5千頭の牛がいる北海道の大牧場の跡継ぎだって。」

「!!!」

ニヤニヤしながらサエが続ける。

「D子さん、いつも居酒屋で飲んでいたB太さんに好意を持ってたんだって。でも、自分は北海道の牧場を継いでくれる結婚相手を探してたから、奥さんがいるB太さんのことを諦めるつもりだったんだけど、珍しく泥酔したB太さんをほっとけなくてD子さんが自分の部屋に抱えてったってわけ。」

「俺は面食いだからなぁ。まず見た目で無理だな。」

「実は、D子さんは男性不信気味で、人前では男が寄ってこないように特殊メイクしてたのよね。メイク取ったらビックリ!とんでもないグラマラス美女だったわよ。」

その日の夜、いつものバーでボクは孔明じぃさんにしみじみと言った。
「ボクの理想の奥さんは・・・ボクを騙さない人です。」

孔明さんは微笑んだまま、ボクのグラスにカチンと乾杯をした。
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