近未来判事「タクヤ」

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事件簿005 『帯久』その3

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営業不振の菓子製造販売会社をめぐって、ほぼ同時に二つの殺人事件が起こり、二人の命が失われた。
同じ日に、別々の場所で、親と子がそれぞれ殺人の罪を犯してしまうという不幸な事件だった。

被疑者の一人は開業300年の歴史を誇る老舗『菓子舗南風』の工場長、佐藤蜜朗。
そしてもう一人の被疑者は同じ工場に勤める蜜朗の長男アツシ。
その経緯は・・・

宮崎から九州全域に店舗展開した『菓子舗南風』。
ところが、おりしも天候不順が続く国内では、国産原料価格が数倍に高騰。
しかも、東南アジアで製造され始めた安い和菓子のネット直販と競争しなくてはならないため、価格も上げられない。
地元銀行からの緊急融資でなんとか凌いでいたが、それもほぼ限界。
社長の南甘男は、知人の裏金物産社長、北名井蔵を頼り、5千万円の融資を受けた。
しかし、状況は一向に好転せず、南社長は北名に返済を待ってもらうよう頼みこんだ。

「いいですよ。待ちましょう。ところで南さん。娘さん、ヒトミさんでしたっけ?まだ結婚されてないんですよね。」

「ええ。まだ25歳ですからね。」

「実はワシには息子がいましてね。36歳になるんだが、社長を継がせる前に結婚させようと思ってましてね~。」

「う・・・。」
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