近未来判事「タクヤ」

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事件簿007 『名人長二』その11

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木槌でも壊れない家具以上に頑丈な身体を持つ長二だったが、一つだけ悩みを抱えていた。
雨が降ると、背中が疼くように痛むのだ。
長二の背中には手のひら大の星型の大きな傷があった。
養い親の話では赤ん坊の頃、竹藪に転がり落ちた時についた傷らしい。

「おい、長二!親方のお許しが出たぞ。明日から湯河原の温泉で湯治だ。」

兄弟子の兼松が嬉しそうに声をかけた。

「雪が降り始める前にゆっくり休んで来いってさ。」
「ありがたい。兄さんも一緒に行きませんか?」
「あたぼうよ。温泉浸かって酒が飲めるってのに、おめえ一人で行かせるもんか。」

湯河原に着いた二人は、宿を取るとさっそく露天の温泉に入った。
長二は満天の星空を見上げて呟いた。

「懐かしいな。子供の頃と何も変わってない。明日は、ひさしぶりに和尚のところに顔を出そう。」

実は、長二はここ湯河原で、子供の頃を過ごしていた。
捨て子だった長二を育ててくれたのは、湯河原天竜院の和尚だった。
将来独り立ちできるように、何か手に職を、と今の親方に頼んで預けてくれたのも和尚だったのだ。

「あれま?あんた、昔天竜院に預けられてた赤ん坊かね?」

同じ宿に湯治に来ているらしい老婆が長二に話しかけてきた。
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