近未来判事「タクヤ」

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事件簿008 『白波看板』その10

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角右衛門は、お幸の口から語られた身の上話を聞いて大きなショックを受けた。

40歳の自分より年上に見えたお幸が、実はまだ25歳であること。
そして、なにより右腕を失ったその理由。

「私は9年前、その頃は16歳でしたが、府中の紙問屋、大和屋に奉公していました。ご主人のお子さんがまだ幼いので子守りをしていたのです。」

「ある夜、その大和屋に盗賊たちが押し入りました。逃げ遅れた私はお子さんを庇おうとして右腕を切り落とされました。命は取り留めましたが片腕になってしまい、子守も出来なくなった私はお暇を出されてしまいました。」

「働き口も無く、元々身寄りも無かった私は、人様のお情けにすがってこのような生き恥を晒すしかなかったのです。」

角右衛門は深い悲しみと、激しい怒りを感じながらお幸の話を聞いていた。
自分がお幸の腕と人生を奪ったような、身の置き所の無い思いに襲われ、ただ黙ってお幸の言葉を聞くしかなかった。

その夜、隠れ家に戻った角右衛門は妻のおように一部始終を話し聞かせた。

「お前さん・・・」

「うん?」

「お幸さん、そのまま帰しちゃったのかい?」

「あ・・・う、・・・うむ。」

「なっちゃいないねぇ。白浪の二つ名が聞いて呆れるよ。鰻食わせただけでおサラバかい?同業者の仕業で苦労させちまったんだろ?お前さんが代わりに償えばいいじゃないか。」

「おぉ!そうだなっ!!」

次の朝、角右衛門は、手下がお幸を見つけたという下谷の乞食溜りに向かった。
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