近未来判事「タクヤ」

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事件簿009 『鹿政談』その16

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松平甲斐守は眉をしかめた。
そして開いた扇子で顔を覆ってしまった。

「さすがのお奉行も、これ以上どうしようもあるまい。」

役人たちも、みな諦めてしまった。
そのお奉行、なにやら横にある屏風の裏をチラチラ見ながらつぶやいている。

「え?鬼?違う?わからんっ!い・・・く?いぬ?・・・あ、なるほど。」

パチン!
扇子を勢いよく閉じると奉行はお白州を見渡して言い放った。

「ここに横たわっておるのは犬である!!」

「え???」

お白州にいる誰もが奉行の言葉を理解できず、顔を見合わせた。

「鹿には角があるものじゃ。しかし、ここにある死骸には角が無い。つまりこれは鹿ではない。おそらく野良犬であろう。」

馬と鹿ではない役人たち、お奉行の言葉をすぐ理解した。

「そういえば、わたしもこれは犬に見えてきました。」
「そうだ!これは野良犬の死骸だ!」

与兵衛が何か言いかけたが、それよりも早く異議を唱えた者がいた。
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