近未来判事「タクヤ」

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事件簿009 『鹿政談』その17

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「皆さん、昼間から寝惚けておられるのか?ここにあるのは間違いなく鹿の死骸。犬に見えるなど何を呆けたことを!」

声の主は、与兵衛を捕縛してきた興福寺の良尊だった。
松平甲斐守は、苦虫を噛み潰した顔で反論した。

「しかし、鹿ならば角が生えているであろう。」

すかさず鹿の守役、塚原仙兵衛がしたり顔で答えた。

「この季節、青葉を食して弱った鹿は角を落とします。まさか博識で知られるお奉行が、そんなこともご存じないとは・・・。」

奉行のコメカミに青筋が立ってきている。

「そんなことは知っておる!!だが、これは鹿では無いだろうと言っておるのだ!」

塚原仙兵衛の口には冷笑が浮かんでいた。

「いやはや。この奉行所では馬も鹿もみな犬と呼ぶらしい。」

プツンッ!

元々、鹿のしっぽなみに気が短いことで有名な松平甲斐守。
とうとうキレてしまった。

「てめぇら!!ちったぁ空気読まんかぃ!!」
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