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事件簿012 『火事息子』その16
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伊勢屋が、藤三郎の刺青を見ながら言った。
「うちの息子には常々、『身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始なり』と教えておりました。」
藤三郎は苦笑いするしかなかった。確かに何度も聞いた言葉だった。
「貴方のご両親も、顔に泥を塗られたようなもの。さぞ悔しい思いをしておられることでしょうな。」
横で話を聞いていた丁稚の定吉が、空気が読めずチャチャを入れた。
「さっきは番頭さんも顔に泥を塗ってました。」
ボコッ!
佐兵衛に叩かれた定吉の頭を撫でながら、居たたまれなくなった藤三郎は帰ろうとした。
すると、騒ぎを聞きつけて走ってきた女将さんが、伊勢屋にすがりついた。
「これから寒くなります。蔵にしまってある結城の着物を持たせてやりませんか?」
「だめだ!こんなヤクザもんに着物など持たせて何になる!」
「そうじゃな、そんな奴にやるくらいなら、捨ててしまうがよかろう。」
伊勢屋がぎょっとして声のしたほうを見ると、そこには大岡越前守が立っていた。
「うちの息子には常々、『身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始なり』と教えておりました。」
藤三郎は苦笑いするしかなかった。確かに何度も聞いた言葉だった。
「貴方のご両親も、顔に泥を塗られたようなもの。さぞ悔しい思いをしておられることでしょうな。」
横で話を聞いていた丁稚の定吉が、空気が読めずチャチャを入れた。
「さっきは番頭さんも顔に泥を塗ってました。」
ボコッ!
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