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事件簿012 『火事息子』その17
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「捨てればいいではないか、捨てれば誰かが拾って行くだろうよ。」
女将さんは、大岡越前守の言葉を理解した。
「そうですね!捨てましょう。着物が入った箪笥ごと捨てましょう!」
「待て待て!もうわかった。着物を渡せばいい。」
伊勢屋も、本心では息子と会えたことを喜んでいたのだ。
「それと、佐兵衛、まだこの方にちゃんと御礼が出来ておらん。良ければ一緒に晩飯でもいかがかと聞いてくれないかね?」
佐兵衛は笑いをこらえながら、藤三郎に話しかけた。
「ということですが、いかがでしょうか?」
「ご迷惑でなければ、とお伝えください。」
やりとりを見ていた大岡越前守、女将さんに向かってこう言った。
「藤三郎に、黒羽二重の紋付の着物、仙台平の袴をはかしなさい。」
伊勢屋は驚いた。
「大岡様、何を突然。息子にそんな恰好をさせて、どうするんですか?」
「やっと息子と認めたか。こうして家族が揃ったのも火事のおかげ。火元に礼に行かねばなるまい。失礼のない恰好でな。」
ここがお白州なら『これにて一件落着』
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