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第一章
05.孤児になったリュカ
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母は街一番の娼婦だった。だから、父親は客の誰かなんだろうと思っている。母が父のことを教えてくれなかったのは、父には既に家庭があったからなんだろうと、幼いながらに理解していた。
「お前の瞳の色は父親そっくりだ」と酔った母はよく言っていた。深い海の色だと母は形容したけれど、僕は海なんて見たことがない。森の近くの街から出たことがなかった。だから、僕の瞳の色は、暑い日差しから影を作り出してくれる葉っぱの色だと思うことにした。
森に《瘴気の霧》が現れたのは、一人で山菜採りに出かけたときだ。森の奥から悲鳴を上げながら出てきた街の人に連れられて、僕は一緒に街へ逃げた。けれど、僕がまだ森の中にいると勘違いした母は、僕を探しに森へ入り、《瘴気の霧》を吸って死んでしまった。
勇者様が現れたのは、《瘴気の霧》が街へ入り込んでから十日がたった頃だ。彼が《瘴気の霧》に手をかざすと、あれだけ街の人を傷つけ、命を奪っていた《瘴気の霧》が徐々に晴れていった。勇者様が到着してから一日で《瘴気の霧》は完全に消えてしまったんだ。
「到着が遅れてごめんね」と、勇者様は僕の頭を撫でながら謝っていた。彼が頭を下げる必要なんてないのに、彼は街の人たちに間に合わなかったことを詫びていた。
勇者の仕事は、《瘴気の霧》が発生した場所までいかに速く移動できるか、にかかっている。世界中で発生する《瘴気の霧》を晴らすことができるのは、彼だけ。《瘴気の霧》が発生する原因はわかっていない。だから勇者様は、一つの村や街に留まることなく、ずっと移動しているんだという。
街の人たちが準備した宴会を断り、勇者様は早々に旅立った。彼の瞳の色は、優しい大地の色だった。勇者らしい色だと僕は思った。
母を失い、僕は孤児となった。母の友人たちが引き取りたいと言ってはくれたけれど、娼婦が子どもを育てるのは難しい。それは母を見ていたからよくわかる。だから、残念だけれど、彼女たちの厚意は断った。彼女たちのおかげで女の扱い方には詳しくなったので、大変感謝している。
街の教会で過ごすことになった僕を引き取りたい――養子に迎えたいという人はいなかった。いや、何人かの貴族と顔を合わせたことはある。けれど、皆、難色を示した。
なぜなのか、街の教会で一番偉い主教様に聞いたことがある。その年老いた主教様は端的に答えてくれた。「お前の目の色が、ある高貴な方に似ているためだ」と。だから、萎縮してしまうのだと。
そんな馬鹿な話があるか。それが率直な感想だ。ロイクだってヤンだって、同じ緑色じゃないか。どこが違うんだ。
納得できずにふてくされる僕に、主教様は王都の聖教会本部へ行ってみてはどうかと提案してくれた。「ジャスミーヌがお前を生む前にいた土地へ行ってみるといい」なんて言われたら、行くしかないと思うだろ。
半年前、僕は推薦状を持って、王都の聖教会本部へやってきたんだ。
本部と街の教会では孤児の扱いが異なる。街の教会では勉学や剣術に励み、世間の常識を学んだけれど、本部では未成人の子どもは「世話職」という仕事を割り当てられる。本部内で働く聖職者の雑用係みたいなものだ。
聖教会には孤児だけでなく、貴族の子どもが奉公していることもある。貴族というだけで威張っている輩が何人もいた。
僕は最初、大主教ラプラード様の世話係となった。気さくなおじさんのように見えるけれど、高名な地方貴族らしく、彼のもとにはよく書簡が届いていた。それらを整理したり、必要な資料を運んだり、食事の準備をしたり、様々な雑用をこなす日々が続いた。
ラプラード様の「お使い」は率先して引き受けた。本部から外に出て、城下町を歩き、母が暮らしたという街を見て回るのが好きだったんだ。
母は、王都でもやはり娼婦をしていたようだ。花街にいた女の人に「ジャスミーヌって知ってる?」と聞いて回ったら、何の警戒もせずに母のことを教えてくれたんだ。
母は、王都でも一、二を争うほどの娼婦だった。客は多く、高貴な人――貴族も母のもとに通っていたらしい。その中の誰かが僕の父親なんだろう。
父に会いたいなんて思っていない。探すつもりもない。その男は、僕が生まれたことすら知らないだろうし、下手に名乗って相続などの問題に巻き込まれたくなかったからだ。だから、誰にも母が懇意にしていた男の名前は聞かなかった。
ただ、母と同じ空気を吸っている、というだけで、僕は満たされていた。
満たされていたんだ。
あの日、聖教会の神殿で、王族や貴族、聖職者が出席する大きな行事――国王陛下の誕生祝いがあった。列席者の中の一人を見た瞬間に、僕はすべてを知ったんだ。
僕の父親の顔と、名前。
母が父と一緒にならず、田舎の街で僕を生んだ理由。
すぐに、わかった。
僕の予想通り、父の隣には美しい妻がいて、子どもがいた。僕と同じ深い緑色をした目の男には、家族があった。母はそれを壊すことをせず、身を引いたのだ。
母が父を愛していたのかはわからない。また、父が母を愛していたのかもわからない。聞いてみたいとは思うけれど、そんな機会が訪れることがないことくらいはわかる。
だから、僕は、父の様子を注視することにした。
彼らが神殿を使う機会は多い。その間に、父の人となりを見極めたかった。世話職らしく世話を願い出て、少しでも近づいてみたかった。
その機会は、意外と早く訪れたのだから、願ってみるもんだ。
「あの塔は何に使うものですか?」
何の気なしにラプラード様にそう尋ねると、珍しく答えが返ってこなかった。本部の窓から見える塔は、小さな森に囲まれている。聖教会の神殿からは見えない位置にあるため、本部で働く人しか目にしないものだ。昼間、誰かが近づいていくのは見たことがない。隔離されている、と感じていた。
似たようなものは街の自警団本部で見たことがある。牢屋だ。聖教会内に牢があるとは思えなくて、ふと疑問に思ったのだ。
「備蓄用の倉庫か何かですか?」
「……あそこには近づくんじゃないよ、リュカ。あの周辺は王族の許しがないと近づいてはいけない場所なんだ」
「王族……あぁ、王城と繋がっている、秘密の抜け道なんですね」
ラプラード様は、曖昧な笑みを浮かべていた。だから、僕は勝手に抜け道だと納得した。王城は小高い丘の上、本部はその中腹に位置するため、本部と王城を繋ぐ抜け道があっても不思議ではない。何かあったときのためのものなのだろう、だから、秘密なんだと。
毎日目にはするけれど、特別注意を払うわけではない、森の中の塔。王族、のためのもの。王族、の。
けれど、真実は、僕の想像以上に、残酷なものだった。
街で「勇者様の姉君はどちらにいらっしゃいますか?」と尋ね回っても、誰も知らないはずだ。勇者様は「姉が王都にいる」と言っていたのに、探しても見つからないはずだ。
「はじめまして、リュカ。今日からよろしくね」
あちこちに赤い痣が残る、白くて細い体。ふくらはぎの傷跡が痛々しい、不自由な左足。無造作にまとめられた栗色の髪。
立ち入り禁止の塔のてっぺんに、探し続けていた彼女が、いた。
勇者様と同じ大地の色の瞳が、僕を映して優しく微笑んだ瞬間に、僕は不覚にも、泣いてしまったのだ。
「お前の瞳の色は父親そっくりだ」と酔った母はよく言っていた。深い海の色だと母は形容したけれど、僕は海なんて見たことがない。森の近くの街から出たことがなかった。だから、僕の瞳の色は、暑い日差しから影を作り出してくれる葉っぱの色だと思うことにした。
森に《瘴気の霧》が現れたのは、一人で山菜採りに出かけたときだ。森の奥から悲鳴を上げながら出てきた街の人に連れられて、僕は一緒に街へ逃げた。けれど、僕がまだ森の中にいると勘違いした母は、僕を探しに森へ入り、《瘴気の霧》を吸って死んでしまった。
勇者様が現れたのは、《瘴気の霧》が街へ入り込んでから十日がたった頃だ。彼が《瘴気の霧》に手をかざすと、あれだけ街の人を傷つけ、命を奪っていた《瘴気の霧》が徐々に晴れていった。勇者様が到着してから一日で《瘴気の霧》は完全に消えてしまったんだ。
「到着が遅れてごめんね」と、勇者様は僕の頭を撫でながら謝っていた。彼が頭を下げる必要なんてないのに、彼は街の人たちに間に合わなかったことを詫びていた。
勇者の仕事は、《瘴気の霧》が発生した場所までいかに速く移動できるか、にかかっている。世界中で発生する《瘴気の霧》を晴らすことができるのは、彼だけ。《瘴気の霧》が発生する原因はわかっていない。だから勇者様は、一つの村や街に留まることなく、ずっと移動しているんだという。
街の人たちが準備した宴会を断り、勇者様は早々に旅立った。彼の瞳の色は、優しい大地の色だった。勇者らしい色だと僕は思った。
母を失い、僕は孤児となった。母の友人たちが引き取りたいと言ってはくれたけれど、娼婦が子どもを育てるのは難しい。それは母を見ていたからよくわかる。だから、残念だけれど、彼女たちの厚意は断った。彼女たちのおかげで女の扱い方には詳しくなったので、大変感謝している。
街の教会で過ごすことになった僕を引き取りたい――養子に迎えたいという人はいなかった。いや、何人かの貴族と顔を合わせたことはある。けれど、皆、難色を示した。
なぜなのか、街の教会で一番偉い主教様に聞いたことがある。その年老いた主教様は端的に答えてくれた。「お前の目の色が、ある高貴な方に似ているためだ」と。だから、萎縮してしまうのだと。
そんな馬鹿な話があるか。それが率直な感想だ。ロイクだってヤンだって、同じ緑色じゃないか。どこが違うんだ。
納得できずにふてくされる僕に、主教様は王都の聖教会本部へ行ってみてはどうかと提案してくれた。「ジャスミーヌがお前を生む前にいた土地へ行ってみるといい」なんて言われたら、行くしかないと思うだろ。
半年前、僕は推薦状を持って、王都の聖教会本部へやってきたんだ。
本部と街の教会では孤児の扱いが異なる。街の教会では勉学や剣術に励み、世間の常識を学んだけれど、本部では未成人の子どもは「世話職」という仕事を割り当てられる。本部内で働く聖職者の雑用係みたいなものだ。
聖教会には孤児だけでなく、貴族の子どもが奉公していることもある。貴族というだけで威張っている輩が何人もいた。
僕は最初、大主教ラプラード様の世話係となった。気さくなおじさんのように見えるけれど、高名な地方貴族らしく、彼のもとにはよく書簡が届いていた。それらを整理したり、必要な資料を運んだり、食事の準備をしたり、様々な雑用をこなす日々が続いた。
ラプラード様の「お使い」は率先して引き受けた。本部から外に出て、城下町を歩き、母が暮らしたという街を見て回るのが好きだったんだ。
母は、王都でもやはり娼婦をしていたようだ。花街にいた女の人に「ジャスミーヌって知ってる?」と聞いて回ったら、何の警戒もせずに母のことを教えてくれたんだ。
母は、王都でも一、二を争うほどの娼婦だった。客は多く、高貴な人――貴族も母のもとに通っていたらしい。その中の誰かが僕の父親なんだろう。
父に会いたいなんて思っていない。探すつもりもない。その男は、僕が生まれたことすら知らないだろうし、下手に名乗って相続などの問題に巻き込まれたくなかったからだ。だから、誰にも母が懇意にしていた男の名前は聞かなかった。
ただ、母と同じ空気を吸っている、というだけで、僕は満たされていた。
満たされていたんだ。
あの日、聖教会の神殿で、王族や貴族、聖職者が出席する大きな行事――国王陛下の誕生祝いがあった。列席者の中の一人を見た瞬間に、僕はすべてを知ったんだ。
僕の父親の顔と、名前。
母が父と一緒にならず、田舎の街で僕を生んだ理由。
すぐに、わかった。
僕の予想通り、父の隣には美しい妻がいて、子どもがいた。僕と同じ深い緑色をした目の男には、家族があった。母はそれを壊すことをせず、身を引いたのだ。
母が父を愛していたのかはわからない。また、父が母を愛していたのかもわからない。聞いてみたいとは思うけれど、そんな機会が訪れることがないことくらいはわかる。
だから、僕は、父の様子を注視することにした。
彼らが神殿を使う機会は多い。その間に、父の人となりを見極めたかった。世話職らしく世話を願い出て、少しでも近づいてみたかった。
その機会は、意外と早く訪れたのだから、願ってみるもんだ。
「あの塔は何に使うものですか?」
何の気なしにラプラード様にそう尋ねると、珍しく答えが返ってこなかった。本部の窓から見える塔は、小さな森に囲まれている。聖教会の神殿からは見えない位置にあるため、本部で働く人しか目にしないものだ。昼間、誰かが近づいていくのは見たことがない。隔離されている、と感じていた。
似たようなものは街の自警団本部で見たことがある。牢屋だ。聖教会内に牢があるとは思えなくて、ふと疑問に思ったのだ。
「備蓄用の倉庫か何かですか?」
「……あそこには近づくんじゃないよ、リュカ。あの周辺は王族の許しがないと近づいてはいけない場所なんだ」
「王族……あぁ、王城と繋がっている、秘密の抜け道なんですね」
ラプラード様は、曖昧な笑みを浮かべていた。だから、僕は勝手に抜け道だと納得した。王城は小高い丘の上、本部はその中腹に位置するため、本部と王城を繋ぐ抜け道があっても不思議ではない。何かあったときのためのものなのだろう、だから、秘密なんだと。
毎日目にはするけれど、特別注意を払うわけではない、森の中の塔。王族、のためのもの。王族、の。
けれど、真実は、僕の想像以上に、残酷なものだった。
街で「勇者様の姉君はどちらにいらっしゃいますか?」と尋ね回っても、誰も知らないはずだ。勇者様は「姉が王都にいる」と言っていたのに、探しても見つからないはずだ。
「はじめまして、リュカ。今日からよろしくね」
あちこちに赤い痣が残る、白くて細い体。ふくらはぎの傷跡が痛々しい、不自由な左足。無造作にまとめられた栗色の髪。
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