【R18】肉食聖女と七人のワケあり夫たち

千咲

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第一夜

036.紫の君との初夜(三)

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紫の君の境遇が悲惨(性的虐待児)です。苦手な方は読み飛ばし推奨です。

◆◇◆◇◆

 はっきり言うと、あんまりやったことがないんだよね、シックスナイン。前戯の中ではすることがなかった体位だもんなぁ。
 横に寝転んだまま、ウィルフレドの肉棒を口に含む。夫はわたしの花弁で舌を往復させている。杭を口の奥まで招き入れることができるし、下は下で気持ちがいいし、割と悪くない。舐めることに集中できるのもいいのかも。
 ウィルフレドのモノはそこまで大きくはない。その代わり、太い。カリも大きめ。コレを挿れてもらったら、どうなるんだろう? 膣壁を往復するだけでイッちゃうかも。あぁ、涎出てきた。ちょうどいいや。ベタベタにしちゃえ。

「イズミ様、指を挿れてもいいですか?」
「ん、いいよ」

 蜜口から、ゆっくり指が挿入ってくる。細くて長い指一本だと圧迫感はない。もちろん、奥までも届かない。

「柔らかい……っ、ふ……あぁ、気持ちいいです」
「んー」

 お互い、ゆっくり高め合うだけだ。わたしはウィルフレドを今すぐイカせるつもりはないし、夫は初めての女体に戸惑っている感じ。いちゃいちゃの延長だ。
 亀頭を舌でいじめると、ウィルフレドが腰を引く。刺激が強いのだろう。舌の上を滑らせて熱杭を口の奥へと招き入れると、「あぁ」と夫は喘ぐ。気持ち良さそうで何より。
 さて、この夫をどうしよう? 美味しそうだから咥えたかっただけで、このあとのことなんて何も考えてなかった。困ったわぁ。

 全身を舐めて「綺麗になったね、これで大丈夫だよ」で終わるようなものではないだろう。劣等感や自己肯定感の低さを改善させるには、どうすればいいんだろう? 成功体験? 性交体験じゃないことだけは確かだよねぇ。
 そんなことを考えていると、ウィルフレドが肉芽を唇で食み、舌で転がし始める。わ、教えてないのにっ! 舐められることに慣れていないから、わたしには刺激が強すぎる。

「っあ、ウィル、そこ、いいっ」
「ふふ、良かった。腰が動くし、指を締めつけるので、イズミ様は気持ちがいいのですね、これ」
「うん、気持ちい」

 指を動かすのにも慣れたのか、膣壁を擦りながら、少しずつわたしの気持ちいいところを探している。飲み込みが早くて助かるなぁ。
 ……って、ウィルフレド、わたしをイカせるつもり? でも、この体勢じゃちょっと難しいかも。わたしはイケなくてもいいから、先にイカせてあげるかなぁ。

「ウィル、我慢しないでね」
「え? あ、はい」

 我慢せずに出してもいいよ、って意味だったんだけど、まぁわかんないよね。唾液でベタベタになった肉杭を何とか奥まで飲み込み、少しずつ往復のペースを上げていく。同時に、ウィルフレドの嬌声が聞こえ始める。夫の舌と指が疎かになっていく。

「あっ、あ、きもち、い、イズミ、様っ!」

 ごめんね、今は何も言えないんだ。口があなたのでいっぱいだから。もっと気持ち良くなっていいんだよ、ウィルフレド。

「ダメ、きたな、っあ、あ、んんっう」

 歯を立てないように気をつけながら、口内で熱杭を扱く。ちょっと当たっちゃってるけど、まぁちょっとだし、いいでしょ。
 皮がピンと張って丸々とした可愛らしい袋を指で揉みしだき、音を立てながらウィルフレドを高めていく。

「あ、あぁ、イズ、さまぁ」

 びくんと夫の腰が跳ねた瞬間、喉の奥に熱い粘液が吐き出される。何度も震えながら、ウィルフレドはわたしの口内に精を放つ。苦いそれを、何とか飲み込む。

「イズミ様、すみません、イズミ様……あぁ、本当に」
「ん、気持ち良かったねー」

 さっさと起き上がり、「水取ってくるね」とウィルフレドに伝えてテーブルのほうに向かう。テーブル近くの棚に置いてあった木製のコップに水を入れ、しばらくベッドの様子を見る。
 ウィルフレドは少し放心したのち、起き上がったかと思えば両手を動かしてわたしを探し始める。

「イズミ様、どこですか? イズミ様?」
「お水飲んでるよー。ウィルも飲む?」
「あ、はい、いただきます」

 ちょっと離れるだけで不安になるものなんだろうか。目が見えない、って、不安だらけなんだなぁ。だからと言って、つけ入る理由にはならないんだよ、悪い大人たち。
 水を口に含んだまま、ウィルフレドにキスをする。驚く夫の口内に水を流し込むと、彼は素直に飲み込む。可愛い。笑ったから、ちょっと水が落ちちゃった。

「イズミ様、申し訳ございません。あなたが達するより先にボクが達してしまいました」
「いいよ。ウィルが気持ち良かったならそれでいいんだよ」
「今から続きをさせてください、お願いします」

 ベッドの上で泣き出しそうなウィルフレドを抱きしめ、その額に、瞼に、キスをする。夫の体は震えている。かわいそうに。どれだけ酷い目に遭わされてきたの。
 そんなことしなくても大丈夫なのに。あなたはあなたのままでいいのに。どうすれば伝わるだろう。わたしにはわからない。

「続きはまた今度。次に会うときにしましょ」
「でも」
「時間はたっぷりあるんだし、今度の楽しみが増えたね。さて、寝よう、寝よう」

 抱きついたまま、夫を押し倒す。細いウィルフレドはすぐに倒れてしまう。痩せ過ぎだよ、ウィルフレド。わたしより軽いんじゃないの?

「ウィルの体は隅々まで舐めちゃったから、汚いところなんてないね。ぜんぶ綺麗だね」
「本当に? ボク、穢れていませんか?」
「全然。それに、穢れていたとしても、わたしは気にしないよ。変わらず、好きよ。ウィルフレドはわたしの大事な夫なんだもん。大丈夫。わたしはここにずっといるし、あなたもずっとここにいていいの」
「あぁ、イズミ様」

 ウィルフレドが震えながらわたしを抱きしめる。ほんと、かわいそうな美少年。彼をこんなふうにしたのが本当に聖職者なら、紫の国の七聖教、めちゃくちゃ腐ってんじゃないの? 告発することってできるんだろうか?
 でも、ラルスに聞いても教えてくれないだろうな。だって彼も紫の国出身なんだもの。故郷の人間を守るだろうな、きっと。

「ボクは、ずっと、ここにいてもいいのですか?」
「ずっとわたしのそばにいて、ウィルフレド」

 そう。ずっとそばにいてくれればいい。そばにいれば、少しは守ることができると思うもの。

「この邸には聖職者も簡単には入れないようになっているの。大丈夫。あなたを守ってあげるから」

 とは言っても、わたしにできることなんて限られているから、うまく守ることができるかは疑問だけどね。別に武術をやっていたわけじゃないから非力だし、頭も良くないからうまく立ち回れるとも思えないし。
 でも、夫は守りたい。
 ウィルフレドだけじゃなく、できるなら夫全員が安らげる場所を作ってあげたい。
 その気持ちに、嘘も、揺らぎも、ない。

「あなたはまさしく聖女様です、イズミ様。ボクはあなたを妻に迎えることができて、本当に良かった」
「そんな褒めても何もあげられないよ」
「十分、いただきましたよ」

 ウィルフレドの唇が重なる。唇の形を確かめるようにペロリと舐められると、下腹部が疼く。
 うぅ、今ディープなのをしちゃうと、イキたくなっちゃうんだよなぁ。まぁ、我慢すればいいか。明日、オーウェンの巨根で突いてもらえればいいもんなぁ。

「イズミ様、愛しています」

 ありがと。聖女様で良かったわ。美少年からそんな言葉をもらえるなんて。聖女冥利に尽きるわぁ。
 大丈夫、勘違いはしていないから。「聖女様」への言葉だとわかっているからね。だって、たった一夜で愛が芽生えるなんて、ありえない。大丈夫、わかっているから。

「……ふふ、ありがと」

 でもね、何だろう、その言葉をずっとずっと待っていたのかもしれない。ずっとずっと求めていたのかもしれない。わたしの知らないうちに。
 ウィルフレドの綺麗な顔が、歪んで、ぼやけて、見えない。夫が盲目で良かった。こんな情けない涙、誰にも見せられない。
 愛されないと知りながら、それでも愛を求めているだなんて、わたしは本当に、惨めで滑稽なんだなぁ。


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