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第一章 帰還と波乱
第十九話 ザックリ
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金髪に緑の瞳を持つ、少し疲れた表情をした国王陛下。ライル・ラ・リーリスと、その息子にして、イリアスがイルトであった頃の兄、アルト・ラ・リーリス。ちなみに、アルト殿下は国王陛下と同じ髪と瞳の色を持っているが、その頭には白い獣の耳がある。
この世界で獣つきと呼ばれる身体能力、及び魔法に優れた証とされるそれを持つアルト殿下は、ふわふわとした茶髪に青いクリッとした瞳を持つ女性、ミーシャ・ラ・リーリスをエスコートしながらこちらへ微笑みかける。
「改めて、よくぞ無事で戻った。しかし、胃や心臓に悪いことは勘弁してほしい」
「イルト、ユミリア嬢。私もミーシャも、一応は覚悟を決めておいたけど、お手柔らかに頼むよ」
「……気絶しないように頑張りますねっ!」
何やら悲壮な覚悟を決めてきたとでも言うような彼らの様子に、私は首をかしげながらもうなずいておく。きっと、三人が恐れるようなことは何もないと思うので、問題などないはずだ。
「「………………」」
そして、黒いチビドラゴン姿なスペースドラゴンのスーちゃんと、白いトカゲ姿な聖竜、マルディックまたの名をマーちゃんの二体は、ジーッと私を眺めて、ただただひたすらに沈黙を貫く。
「ねぇ、ユレイラをそんなに見つめるなんて……シニタイノ?」
「「「ひぃっ!!」」」
何か言葉をかけてくれるのだろうかと待っていたのだが、イリアスはじっと私を見つめる二体が気に入らなかった模様で、威圧して、ついでに二体はミーシャの肩に乗っていたため、ミーシャまでもが悲鳴をあげる。
「大丈夫だよ。イリアス。きっと、何を話そうか迷ってるだけだったろうから、ね?」
そう告げると、コクコクコクコクと高速で首を縦に振るスーちゃんマーちゃんコンビ。
とりあえず、これで全員が揃ったとのことだったので、私達は、この世界を離れて何をしていたのか、順番に話していくことにした。
「まず、異世界に旅立った私達は、イリアスとルクレチアの破壊装置としての役割が、異世界では機能しないことを確認して、そこに住みながら破壊装置そのものをどうにかできないか調べることにしました」
イリアスとルクレチアには、創世神様よりも上位の神によって植えつけられた、世界の破壊装置としての役割があった。破壊の理由は、その神々の決定によって様々であり、二人は、破壊装置として、神界を滅ぼし、世界を滅ぼし、自滅する運命にあった。しかし、私がイリアスを見捨てるなんてことはあり得ないので、とりあえず、それが発動しないようにしようと、異世界へと避難したのだ。
「それで、最初の十年くらいは全く手がかりが掴めず、次の十年くらいで、ちょっと希望が見えまして、その次の十年で、検証の半分が終わりました。四十年目くらいで、やっと方向性が決まって、五十年目くらいで失敗が積み重なり、七十年目くらいで成功が見られるようになり、フィオナを授かったりもしました。そして現在、確実に成功したと判断して、子育ても一段落したので、フィオナを連れて戻ってきたところです」
そうザックリ説明すると、その場には、沈黙が落ちた。
この世界で獣つきと呼ばれる身体能力、及び魔法に優れた証とされるそれを持つアルト殿下は、ふわふわとした茶髪に青いクリッとした瞳を持つ女性、ミーシャ・ラ・リーリスをエスコートしながらこちらへ微笑みかける。
「改めて、よくぞ無事で戻った。しかし、胃や心臓に悪いことは勘弁してほしい」
「イルト、ユミリア嬢。私もミーシャも、一応は覚悟を決めておいたけど、お手柔らかに頼むよ」
「……気絶しないように頑張りますねっ!」
何やら悲壮な覚悟を決めてきたとでも言うような彼らの様子に、私は首をかしげながらもうなずいておく。きっと、三人が恐れるようなことは何もないと思うので、問題などないはずだ。
「「………………」」
そして、黒いチビドラゴン姿なスペースドラゴンのスーちゃんと、白いトカゲ姿な聖竜、マルディックまたの名をマーちゃんの二体は、ジーッと私を眺めて、ただただひたすらに沈黙を貫く。
「ねぇ、ユレイラをそんなに見つめるなんて……シニタイノ?」
「「「ひぃっ!!」」」
何か言葉をかけてくれるのだろうかと待っていたのだが、イリアスはじっと私を見つめる二体が気に入らなかった模様で、威圧して、ついでに二体はミーシャの肩に乗っていたため、ミーシャまでもが悲鳴をあげる。
「大丈夫だよ。イリアス。きっと、何を話そうか迷ってるだけだったろうから、ね?」
そう告げると、コクコクコクコクと高速で首を縦に振るスーちゃんマーちゃんコンビ。
とりあえず、これで全員が揃ったとのことだったので、私達は、この世界を離れて何をしていたのか、順番に話していくことにした。
「まず、異世界に旅立った私達は、イリアスとルクレチアの破壊装置としての役割が、異世界では機能しないことを確認して、そこに住みながら破壊装置そのものをどうにかできないか調べることにしました」
イリアスとルクレチアには、創世神様よりも上位の神によって植えつけられた、世界の破壊装置としての役割があった。破壊の理由は、その神々の決定によって様々であり、二人は、破壊装置として、神界を滅ぼし、世界を滅ぼし、自滅する運命にあった。しかし、私がイリアスを見捨てるなんてことはあり得ないので、とりあえず、それが発動しないようにしようと、異世界へと避難したのだ。
「それで、最初の十年くらいは全く手がかりが掴めず、次の十年くらいで、ちょっと希望が見えまして、その次の十年で、検証の半分が終わりました。四十年目くらいで、やっと方向性が決まって、五十年目くらいで失敗が積み重なり、七十年目くらいで成功が見られるようになり、フィオナを授かったりもしました。そして現在、確実に成功したと判断して、子育ても一段落したので、フィオナを連れて戻ってきたところです」
そうザックリ説明すると、その場には、沈黙が落ちた。
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