悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第一章 帰還と波乱

第三十五話 神界でのお話1(三人称視点)

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 神界。そこへ行くためには、神力を持ち、なおかつ許可を得た者がともに居るか、もしくは、神界から呼び寄せてもらうかの二通りしかない。そんな場所にセイは、前者の方法で、人目につかない場所を選んで突入する。


「うむ、待っておったぞ」

「創世神様。お久しぶりです」


 セイが創世神様と呼ぶのは、長く真っ白なヒゲをたくわえたご老人。今の世界を作りたもうた高尚なる神々の頂点……と思っていたのは昔のこと。今は、創世神という役職は、創世神より上位に位置する神々が、世界の管理者として据えたのみだということをユレイラに関係する神々(フィオナやラルフは不明だが)は知っている。


「ユレイラ達のことと、フィオナ達の滞在に関してじゃな?」


 淡いクリーム色の壁を背景に、シンプルな丸テーブルと紅茶のセットが、何もなかった真っ白な空間に現れる。


「っ、ユレイラ達に何があったのか、ご存知なのですか??」

「まぁ、座りなさい」


 ユレイラ達のことを知っているような口ぶりに、セイは必死に創世神へと問いかける。しかし、創世神は、落ち着いたそぶりで、セイに椅子を勧める。


(もしかして、大したことはない、の……?)


 創世神の態度に、そんな予測をするセイは、大人しく椅子へと腰掛ける。


「まずは、じゃ。フィオナ達の滞在許可に関して話すとしようか」


 セイ同様に、椅子へと腰掛けた創世神は、ティーポットからお茶をカップへ注ぎながら、その話題を振る。


「分かりました。お願いします」


 セイとしても、フィオナ達の滞在許可に関しては早めに何とかしたいところではあった。


「まず、お主らが考えている保護者だけで、フィオナ達の滞在を許可できるかと問われれば、否じゃ」

「っ、それは、フィオナちゃんが、それだけ強いってことですか?」

「うむ、フィオナはもちろんじゃが、ラルフはフィオナ以上じゃな。あちらの世界で、ラルフは異端とされるほどに、異常な力を持っておったのじゃから」

「なっ、ラルフ君が、ですか……?」


 人間界に関する常識こそなかったものの、神としては平凡そうだったラルフ。そんなラルフが、大切な親友であるユレイラの娘よりも強いと知って、セイは絶句する。


「うむ、ユレイラ、イリアス、ルクレチアの三人で、ようやく、ラルフを止められるといった具合じゃからのぉ」

「……は……?」


 信じられない、といった様子のセイに、創世神は、言葉を重ねる。


「ただ、二人が一度に暴走することは、まずあり得ぬ。フィオナであれば、ユレイラとイリアスの二人も居れば完全に抑え込めることもあって、ワシは、二人の人間界滞在を許可していたのじゃ」


 しかし、状況は変わった。現在、その二人の側には、ユレイラも、イリアスも、ルクレチアも居なくなってしまったのだから……。
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