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第一章 帰還と波乱
第四十六話 全力で目を逸らします!(ミーシャ視点)
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不用意に近づくことはできない。保護すべき邪神は、保護しようとしていたはずのセイ達に殺されかけている。ついでに、邪神の能力の範囲が分からないため、どこまで近づけるのかが分からない。
(……詰んでないですかね? これ……)
私にできることなんて、罠を張るか、浄化をするかのどちらかしかない。しかも、浄化は人としての能力の範囲内であるために、神に対抗しようとすれば罠くらいしか使えない。そして、そんな罠も、この状況で使えるものは限られてくる。
(時限式の拘束の罠? でも、セイ達なら反応しかねないし、邪神の能力を無効化でもしない限り、邪神の逃げ場を奪うだけになりかねない……)
そう思いながらも、自分の亜空間収納の中を探していると、一つ、面白い組み合わせを見つける。
(……要するに、全員を無効化しちゃえばいいってことですよね? それに、私の天使なら、もしかしたら邪神の能力に引っかからずにいけるかもしれない……)
邪神の能力は、妄想の力。その力は、一見、様々なものに使えるように見えるが、もしかしたら、脇役とか、モブとかいう存在には使えないかもしれないのだ。何せ、物語に出てくるキャラクターなんて、個性があってなんぼ。その点、無個性で存在感もなくて、ただ罠を張ることにのみ特化した舞台の黒子的存在。千偽隊の一人なんて存在は、もしかしたら、妄想のために使える存在にはならないかもしれない。
(聞く限り、邪神は妄想を楽しんでいる。となれば、楽しめる要素が微塵も存在しないであろう私の天使なら、どうにかなるかもしれない!!)
「アメリア、フィオナちゃん。作戦があるから、ちょっと聞いてもらっても良いですか?」
どうせなら、アメリアの力は借りたいし、フィオナちゃんには、下手な暴走をしてもらわないように側に居てもらいたい。しかし、そこでふと気づく。
「……そういえば、ラルフ君は?」
常に二人セットだと思っていたのに、ラルフ君が居ない。その事実が、やけに気になった。
「ラルフですか? ラルフなら、他の男に引っかかりそうだったので、私の方で拘束していますよ?」
途端に、ハイライトを消した目で告げたフィオナちゃんに、ミーシャは話題を変えることにする。よく見れば、フィオナちゃんの背後には、ちょいちょい赤い何かが付着している鎖の塊があることに気づいて、それがちょうど、人がグルグル巻にされたのと同じ感じに見えて、モゾモゾと蠢いたように見えたのは、全部無視する。
「それじゃあ、作戦を説明しますね?」
背中を伝う汗が妙に冷たいが、今は、それに目を向ける余裕はない。全力で目を逸らす。それが、私の心の平安を守るために必要なことだったのだ。
(……詰んでないですかね? これ……)
私にできることなんて、罠を張るか、浄化をするかのどちらかしかない。しかも、浄化は人としての能力の範囲内であるために、神に対抗しようとすれば罠くらいしか使えない。そして、そんな罠も、この状況で使えるものは限られてくる。
(時限式の拘束の罠? でも、セイ達なら反応しかねないし、邪神の能力を無効化でもしない限り、邪神の逃げ場を奪うだけになりかねない……)
そう思いながらも、自分の亜空間収納の中を探していると、一つ、面白い組み合わせを見つける。
(……要するに、全員を無効化しちゃえばいいってことですよね? それに、私の天使なら、もしかしたら邪神の能力に引っかからずにいけるかもしれない……)
邪神の能力は、妄想の力。その力は、一見、様々なものに使えるように見えるが、もしかしたら、脇役とか、モブとかいう存在には使えないかもしれないのだ。何せ、物語に出てくるキャラクターなんて、個性があってなんぼ。その点、無個性で存在感もなくて、ただ罠を張ることにのみ特化した舞台の黒子的存在。千偽隊の一人なんて存在は、もしかしたら、妄想のために使える存在にはならないかもしれない。
(聞く限り、邪神は妄想を楽しんでいる。となれば、楽しめる要素が微塵も存在しないであろう私の天使なら、どうにかなるかもしれない!!)
「アメリア、フィオナちゃん。作戦があるから、ちょっと聞いてもらっても良いですか?」
どうせなら、アメリアの力は借りたいし、フィオナちゃんには、下手な暴走をしてもらわないように側に居てもらいたい。しかし、そこでふと気づく。
「……そういえば、ラルフ君は?」
常に二人セットだと思っていたのに、ラルフ君が居ない。その事実が、やけに気になった。
「ラルフですか? ラルフなら、他の男に引っかかりそうだったので、私の方で拘束していますよ?」
途端に、ハイライトを消した目で告げたフィオナちゃんに、ミーシャは話題を変えることにする。よく見れば、フィオナちゃんの背後には、ちょいちょい赤い何かが付着している鎖の塊があることに気づいて、それがちょうど、人がグルグル巻にされたのと同じ感じに見えて、モゾモゾと蠢いたように見えたのは、全部無視する。
「それじゃあ、作戦を説明しますね?」
背中を伝う汗が妙に冷たいが、今は、それに目を向ける余裕はない。全力で目を逸らす。それが、私の心の平安を守るために必要なことだったのだ。
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