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第二章 異質な神界
第九十二話 ラルフとフィオナ
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レレアが慈愛の女神のごとく(実際には嗜虐の女神)接した結果……デクノボウは、レレアに懐きました。そして、言葉巧みに、『ツラかったですね。もう大丈夫ですよ』と慰めながら、『犯人を捕まえるために、全能の神に協力していただきたいのですが、無理、ですよねぇ』とか、『無理はしなくて良いのですよ? 私はそんなに強くありませんが、頑張りますので』とか誘導して、ちゃっかり全能の神をデクノボウが説得するように仕向けていました。
「レレア、見事でした」
「うふふ、虐げるには、希望を持たせることも騙すことも、どちらも必要ですからね?」
手慣れた様子のレレアは、やはり、その神格に起因する力で対処していたようです。保健室に彼を送って、戻ってきたレレアは、とても上機嫌でした。
「全能の神が居れば、ある程度のことは問題なくできるはずですが……上位の神々に通じるかどうか、ですね……」
「……フィーは、僕が守るから、大丈夫」
「っ、ありがとう、ございますっ」
唐突なラルフの言葉に、頬をポッと赤くしてしまいましたが、これは、仕方のないことだと思います。
「ところで、全く関係のないことではありますが、一つだけ、聞いてもいいです?」
ラルフの言葉だけで幸せに包まれていると、レレアから遠慮がちに問いかけられます。
「……何ですか?」
ちょっとだけ、面白くないと思いながらも、これからも付き合いのあるパートナーに応えないわけにもいきません。しかし……。
「フィーちゃんは……その……性転換をして、いますよね?」
その質問は、あまり答えたくない質問でした。
「……それが、いったい何なのですか?」
自然と、口調はトゲトゲしいものになってしまいます。
そう、レレアの言うとおり、私は、性転換をしていました。男にしか惹かれないラルフ。そして、親から女を娶ることを義務づけられたラルフ。ラルフの神格に反することであれば、ラルフも抵抗ができました。しかし、ラルフの神格は純真。そのため、ラルフの両親は、男が好きであっても、女を毛嫌いすることはあってはならないと、そんな義務を課したのです。そして、当時、ラルフと相思相愛だった私……いえ、俺は、ラルフのために、性転換をして、俺から私に変わりました。
ただし、ラルフが女性嫌いになったのには、ちゃんと理由があります。だから、私は、私になってしまったことを嘆くラルフを必死に説得して、私という存在に慣れてもらうべく、今まで行動してきたのです。
「いえ、あまりにもデリケートなことを聞いてしまいましたね。忘れてもらって良いですよ」
さすがのレレアも、私が言いたくないことを悟ってくれて、とりあえず、この話は落ち着きました。すぐ隣で、ラルフが思い悩む様子を見せていることも知らずに……。
「レレア、見事でした」
「うふふ、虐げるには、希望を持たせることも騙すことも、どちらも必要ですからね?」
手慣れた様子のレレアは、やはり、その神格に起因する力で対処していたようです。保健室に彼を送って、戻ってきたレレアは、とても上機嫌でした。
「全能の神が居れば、ある程度のことは問題なくできるはずですが……上位の神々に通じるかどうか、ですね……」
「……フィーは、僕が守るから、大丈夫」
「っ、ありがとう、ございますっ」
唐突なラルフの言葉に、頬をポッと赤くしてしまいましたが、これは、仕方のないことだと思います。
「ところで、全く関係のないことではありますが、一つだけ、聞いてもいいです?」
ラルフの言葉だけで幸せに包まれていると、レレアから遠慮がちに問いかけられます。
「……何ですか?」
ちょっとだけ、面白くないと思いながらも、これからも付き合いのあるパートナーに応えないわけにもいきません。しかし……。
「フィーちゃんは……その……性転換をして、いますよね?」
その質問は、あまり答えたくない質問でした。
「……それが、いったい何なのですか?」
自然と、口調はトゲトゲしいものになってしまいます。
そう、レレアの言うとおり、私は、性転換をしていました。男にしか惹かれないラルフ。そして、親から女を娶ることを義務づけられたラルフ。ラルフの神格に反することであれば、ラルフも抵抗ができました。しかし、ラルフの神格は純真。そのため、ラルフの両親は、男が好きであっても、女を毛嫌いすることはあってはならないと、そんな義務を課したのです。そして、当時、ラルフと相思相愛だった私……いえ、俺は、ラルフのために、性転換をして、俺から私に変わりました。
ただし、ラルフが女性嫌いになったのには、ちゃんと理由があります。だから、私は、私になってしまったことを嘆くラルフを必死に説得して、私という存在に慣れてもらうべく、今まで行動してきたのです。
「いえ、あまりにもデリケートなことを聞いてしまいましたね。忘れてもらって良いですよ」
さすがのレレアも、私が言いたくないことを悟ってくれて、とりあえず、この話は落ち着きました。すぐ隣で、ラルフが思い悩む様子を見せていることも知らずに……。
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