悪役令嬢の神様ライフ

星宮歌

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第二章 異質な神界

第百十一話 強敵過ぎる神(ピンク頭視点)

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 その後……? いや、その後なんて、思い出したくもない。ゾンビと化した神々に追い回され、廃墟となった世界を必死で走り抜け、時にはゾンビとなった神を排除しようとするものの、なぜか驚異的なスピードで再生するのを目の当たりにして、聖の神がゾンビ達に食われて、ゾンビの仲間入りをして、私も足場を崩されて全身を齧られて……。


「いやぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」

「うわっ! ビックリしたぁ……」


 ゾンビの恐怖に悲鳴をあげれば、なぜか、誰かの声が聞こえる。……いや、誰か、ではない。これは、聖の神の声だ。


「え? ぁ?」

「大丈夫?? 毒は……多分、どうにか抜けたと思うけど」

「ど、く……? ゾンビ、は……?」

「ゾンビ? あぁ、悪夢を見たのかぁ。ゾンビってことは、パニックホラーとか?」


 聖の神が何を言っているのかは分からない。ただ分かるのは、ここにはゾンビは居ない、ということ。


「私、死んだ、の……?」

「いや、死んでないよ? 俺、ちゃんと解毒したんだからね!?」


 聖の神の話が、どうにも見えない。そして、聖の神も、それに気づいたのか、一から説明を始める。


「まず、あのヘドロみたいな物体を浴びたことは覚えてる?」


 そんな質問に、とりあえずうなずく。よく見れば、ここは校舎の一角だということに気づいて、学校が崩壊していない事実に混乱しそうになる。


「それで、俺と話をした翌日、登校中にぶっ倒れたのは覚えてる?」

「倒れた……?」


 聖の神のその内容に、心当たりはない。


「あー、やっぱりそこかぁ……。あのヘドロにはさ、色々な毒も含まれてたんだけど、その中に、巧妙に隠された毒があってさぁ……単純に、ナイトメアって名前の毒だけど、それがちょうど、登校中に効力を発揮したらしいんだよね」


 ナイトメアという毒は、その毒の作成主がやろうと思って実現可能な悪夢のような悲劇を対象に見せる、なんていうものらしい。


「……もしかして、あの悪夢をこの薬の作り手は再現できるってこと?」

「いや、だからそうだって言ってるじゃん。でも、俺達を相手にそんなに強烈な悪夢はあり得ないと思うんだけど……。何だろう? 普通に恐怖を煽るようなものだった、とか?」


 夢の内容を知らない聖の神は、そんな楽観的な意見を言ってくるものの、私としては、とても楽観的にはなれなかった。だって、この薬の作り手は……。


「ね、ぇ……この世界の神々を一瞬にして滅ぼして、ゾンビとして操って、私達を殺せるような薬の作り手って居るの……?」

「え゛っ?」

「しかも、あんたの話が事実なら、今すぐにでも、それを行えるだけの神が、この世界に居るってこと……?」


 そう問い正せば、聖の神は、慌てて私の夢の内容を聞き出してきた。
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