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第二章 第二フロア
シセンヲコエテ
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「勝っ……た?」
呆然としながら、俺はそう呟く。鶏もどきが消えた後に残ったのは、サッカーボールほどもある黒く、大きな卵。おそらく、これが鶏もどきのドロップアイテムだ。
俺はゆっくり、その卵に近づくと、剣を鞘に戻し、じっと観察する。
「大きさは凄いが……卵、だよな?」
まさか、これからあの鶏もどきが生まれるのか?
そんな、とてつもなく嫌な想像をしてしまい、俺はブンブンと首を振る。もしもそんなことになれば、俺はしばらく鶏の夢にうなされそうだ。
ともかくこれを持ち帰って、冒険の書を調べよう!
俺はリュックを背中から下ろすと、その中に卵を入れようとする。が、卵に触れた瞬間、その生暖かい感触に、思わず手を引っ込める。まるで体温を持っているかのような卵に、俺は不安を口にする。
「本当に、コレから生まれないよな?」
リュックに入れて持ち歩いている最中に、あの耳障りな声で叫ばれたら……今度こそ、心臓が止まるかもしれない。
冒険の書を、たかだか精神的なダメージを忘れたいがために置いてきたのは失敗だった。強い後悔が心に渦巻く。
しかし、それでも、俺にはこれを持ち帰らないという選択肢はない。だから、せいぜい後ろで叫ばれても正気を保てるように、卵を入れたら、しっかりとリュックのチャックを閉めるのだった。
安全地帯に戻った俺は、すぐに、できるだけリュックを部屋の隅へと置いて、ベッドの下に隠していた冒険の書を手に取る。早く、あの鶏もどきの落としたものと、鶏もどき自身のことが知りたかった。
『アイテム図鑑
食糧編
3 ウルフの肉
ウルフのドロップアイテム
歯が欠けそうなほど固いけど、頑張れっ!
きっと飲み込めるっ!
4 乾パン(金平糖入り)
スケルトンソルジャーのドロップアイテム
甘味増量中!
ふ・と・れ!
5 乾パン(岩塩入り)
スケルトンタンクのドロップアイテム
滅茶苦茶しょっぱい岩塩を使用
目指せっ!
喉の渇きマックス!
6 しょっぱい水
スケルトンタンクのレアドロップアイテム
スケルトンタンクの汗と涙のけっしょゲフンゲフン
大丈夫、やっぱりこれも、健康に問題はない!
9 黒卵
クックドラゴンのドロップアイテム
ふっ、これを手に入れたお前は漢の中の漢だっ!
さぁ喰らうがいい
三日の腹持ちを保証しよう!』
先にアイテム図鑑を開いた俺は、このフロアでのドロップアイテムを眺めながら、それを見つける。相変わらず突っ込みどころ満載で、ふざけているとしか思えない文章だが、収穫はあった。この卵から、あの鶏もどき……クックドラゴンが生まれることはないということだ。しかも……。
「あれが、食料……」
食料不足の現在、味は分からなくとも、食料は貴重だった。じっと、隅に置いたリュックを見つめながら、俺はゴクリと喉を鳴らす。
クックドラゴンとの激闘(?)によって、俺の腹の虫は悲しく鳴いている。一応、『乾パン(岩塩入り)』は残っているし、『濁った水』も一本ある。しかし、それだけだ。それだけしか、今は残っていない。
『乾パン(岩塩入り)』は、十中八九、水が必要となる食べ物だろう。だから、迂闊に手を出せば、水がなくなって苦しむことになる。それに比べ、この『黒卵』には腹持ちすること以外、食べたらどうなるのかの記述がない。試しに食べる価値はあった。
食べることに思考が傾きつつある中、俺はどうにかそれを自制する。もう少し、冒険の書を確認してからでも遅くはない。
アイテム図鑑は見た。そして、『黒卵』から妙なものが生まれる可能性は消えた。だから、日記のようになっているページや、モンスター図鑑を見る余裕もある。
そこで、まずはクックドラゴンとの戦闘について書かれたページを見ることにする。
『第二フロア 地帯区分B
柿村啓はB地帯へ進行
これより危険地帯
クックドラゴンが現れた
クックドラゴンは突進した
柿村啓は攻撃をかわした
クックドラゴンは突進した
柿村啓は攻撃をかわした
――――――
クックドラゴンを斬った
クックドラゴンを倒した
ドロップアイテム 黒卵』
そこには、クックドラゴンの突進と、それをかわしたことが何度も、繰り返し書かれた後に、ようやくクックドラゴンを倒したことが書かれていた。そのページを見て、俺は随分とクックドラゴンに振り回されていたことを再確認する。おそらく次のページには、俺が安全地帯に戻ったところが書かれているのだろうと思いながら、それでもついつい次のページを捲る。
『第二フロア 地帯区分A
柿村啓はA地帯へ退却
これより安全地帯
一定の条件クリアのため、帯剣ベルトを付与
安全地帯にて確認を推奨』
予想とは違い、少しだけ多い文章。それを見た途端、俺は顔を上げ、ザッと辺りを見渡す。そして、それはすぐに見つかった。
床から生えた石の腕が、チャンピオンベルトのごとく、その帯剣ベルトらしきものを掲げていた。
いつの間に!?
と、驚く間もなく、その腕はそのまま音もなくスーッとベッドに腰かける俺の前まで来る。そして、膝の上で開きっぱなしの冒険の書の上に、帯剣ベルトが置かれる。
とりあえず、何がなんだか分からなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
個人的には、『乾パン(金平糖入り)』の説明が呪いのようで恐ろしいっ。
いや、『しょっぱい水』も嫌ですけどね?
皆さんは、どれが一番怖いと思うんですかねぇ?
それでは、また!
呆然としながら、俺はそう呟く。鶏もどきが消えた後に残ったのは、サッカーボールほどもある黒く、大きな卵。おそらく、これが鶏もどきのドロップアイテムだ。
俺はゆっくり、その卵に近づくと、剣を鞘に戻し、じっと観察する。
「大きさは凄いが……卵、だよな?」
まさか、これからあの鶏もどきが生まれるのか?
そんな、とてつもなく嫌な想像をしてしまい、俺はブンブンと首を振る。もしもそんなことになれば、俺はしばらく鶏の夢にうなされそうだ。
ともかくこれを持ち帰って、冒険の書を調べよう!
俺はリュックを背中から下ろすと、その中に卵を入れようとする。が、卵に触れた瞬間、その生暖かい感触に、思わず手を引っ込める。まるで体温を持っているかのような卵に、俺は不安を口にする。
「本当に、コレから生まれないよな?」
リュックに入れて持ち歩いている最中に、あの耳障りな声で叫ばれたら……今度こそ、心臓が止まるかもしれない。
冒険の書を、たかだか精神的なダメージを忘れたいがために置いてきたのは失敗だった。強い後悔が心に渦巻く。
しかし、それでも、俺にはこれを持ち帰らないという選択肢はない。だから、せいぜい後ろで叫ばれても正気を保てるように、卵を入れたら、しっかりとリュックのチャックを閉めるのだった。
安全地帯に戻った俺は、すぐに、できるだけリュックを部屋の隅へと置いて、ベッドの下に隠していた冒険の書を手に取る。早く、あの鶏もどきの落としたものと、鶏もどき自身のことが知りたかった。
『アイテム図鑑
食糧編
3 ウルフの肉
ウルフのドロップアイテム
歯が欠けそうなほど固いけど、頑張れっ!
きっと飲み込めるっ!
4 乾パン(金平糖入り)
スケルトンソルジャーのドロップアイテム
甘味増量中!
ふ・と・れ!
5 乾パン(岩塩入り)
スケルトンタンクのドロップアイテム
滅茶苦茶しょっぱい岩塩を使用
目指せっ!
喉の渇きマックス!
6 しょっぱい水
スケルトンタンクのレアドロップアイテム
スケルトンタンクの汗と涙のけっしょゲフンゲフン
大丈夫、やっぱりこれも、健康に問題はない!
9 黒卵
クックドラゴンのドロップアイテム
ふっ、これを手に入れたお前は漢の中の漢だっ!
さぁ喰らうがいい
三日の腹持ちを保証しよう!』
先にアイテム図鑑を開いた俺は、このフロアでのドロップアイテムを眺めながら、それを見つける。相変わらず突っ込みどころ満載で、ふざけているとしか思えない文章だが、収穫はあった。この卵から、あの鶏もどき……クックドラゴンが生まれることはないということだ。しかも……。
「あれが、食料……」
食料不足の現在、味は分からなくとも、食料は貴重だった。じっと、隅に置いたリュックを見つめながら、俺はゴクリと喉を鳴らす。
クックドラゴンとの激闘(?)によって、俺の腹の虫は悲しく鳴いている。一応、『乾パン(岩塩入り)』は残っているし、『濁った水』も一本ある。しかし、それだけだ。それだけしか、今は残っていない。
『乾パン(岩塩入り)』は、十中八九、水が必要となる食べ物だろう。だから、迂闊に手を出せば、水がなくなって苦しむことになる。それに比べ、この『黒卵』には腹持ちすること以外、食べたらどうなるのかの記述がない。試しに食べる価値はあった。
食べることに思考が傾きつつある中、俺はどうにかそれを自制する。もう少し、冒険の書を確認してからでも遅くはない。
アイテム図鑑は見た。そして、『黒卵』から妙なものが生まれる可能性は消えた。だから、日記のようになっているページや、モンスター図鑑を見る余裕もある。
そこで、まずはクックドラゴンとの戦闘について書かれたページを見ることにする。
『第二フロア 地帯区分B
柿村啓はB地帯へ進行
これより危険地帯
クックドラゴンが現れた
クックドラゴンは突進した
柿村啓は攻撃をかわした
クックドラゴンは突進した
柿村啓は攻撃をかわした
――――――
クックドラゴンを斬った
クックドラゴンを倒した
ドロップアイテム 黒卵』
そこには、クックドラゴンの突進と、それをかわしたことが何度も、繰り返し書かれた後に、ようやくクックドラゴンを倒したことが書かれていた。そのページを見て、俺は随分とクックドラゴンに振り回されていたことを再確認する。おそらく次のページには、俺が安全地帯に戻ったところが書かれているのだろうと思いながら、それでもついつい次のページを捲る。
『第二フロア 地帯区分A
柿村啓はA地帯へ退却
これより安全地帯
一定の条件クリアのため、帯剣ベルトを付与
安全地帯にて確認を推奨』
予想とは違い、少しだけ多い文章。それを見た途端、俺は顔を上げ、ザッと辺りを見渡す。そして、それはすぐに見つかった。
床から生えた石の腕が、チャンピオンベルトのごとく、その帯剣ベルトらしきものを掲げていた。
いつの間に!?
と、驚く間もなく、その腕はそのまま音もなくスーッとベッドに腰かける俺の前まで来る。そして、膝の上で開きっぱなしの冒険の書の上に、帯剣ベルトが置かれる。
とりあえず、何がなんだか分からなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
個人的には、『乾パン(金平糖入り)』の説明が呪いのようで恐ろしいっ。
いや、『しょっぱい水』も嫌ですけどね?
皆さんは、どれが一番怖いと思うんですかねぇ?
それでは、また!
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