悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第二十七話 わけあり

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 なぜ、男の子が気絶したのか、私は一瞬理解できなかったものの、そういえば、ここは魔境だったと辺りを見渡すことで思い出した。つまりは、この男の子は魔力不足で倒れたのだ。


「こう、わちゃしちょいっちょに、こにょこをにょしぇちぇほちいにょっ(鋼、私と一緒に、この子を乗せてほしいのっ)」


 力の面でいうならば、装備で強化されている以上、問題はない。そして、魔法で浮かせて運ぶという手段もある。しかし、恐らくは今の鋼は、私よりも速く走れる。そう考えると、一刻も早くこの魔境から脱出するためには、鋼の力が必要だ。


「……ユミリアが、望むなら」


 渋々といった様子で引き受けた鋼に、私は頭をわしゃわしゃと撫でてお礼を告げて、鋼の上に乗る。


「僕は並走するよ」

「よろちくっ(よろしくっ)」


 セイはセイで、魔法の練度が上がっている。今の鋼についていくのは容易いことだろう。そうして、私は二人に連れられて魔境から脱出する。
 男の子は、さすがにすぐに目覚めるということにはならなかったため、一度屋敷に戻ろうと意見をまとめて、転移を発動させた。


「みゅっ、ちょりあえじゅ、かくれりゅにょ(みゅっ、とりあえず、隠れるの)」


 屋敷の自室に戻れば、ちょうど、メリーが部屋を訪ねてくる時間だったらしく、サーチ画面でメリーが近づいてきているのが分かる。


「分かった」

「承知」


 セイと鋼の返事が聞こえたかと思えば、次の瞬間、セイと鋼の姿は見えなくなった。ついでに、あの男の子の姿も、セイが隠してくれたらしい。
 その後、メリーと少し話をして、食事……は、色々と細工をして食べたフリで誤魔化してから、メリーが完全に立ち去るのを見送る。






「しょれで? あにゃちゃはなにもにょ? (それで? あなたは何者?)」


 メリーが立ち去った部屋で、姿を現したセイと鋼、そして、あの男の子。どうやら、私がメリーと会っている間に、目を覚ましたらしい。


「……本当に、知らないんだな」


 ポツリ、とそう言葉をもらした男の子は、セイと鋼に挟まれて居心地悪そうに身動ぐ。


「……だが、すまない。助けてもらったことには感謝しているが、これ以上巻き込みたくはない。いくら蒼月狼と星妖精が側に居ようとも、君は子供だ。これ以上知るのは危険だ」

「しょーげちゅろー? ほしよーちぇー? (そうげつろう? ほし妖精?)」


 何となく、その言葉が鋼とセイのことを指しているのだということは分かったが、だからといって話が繋がるわけでもない。


「なるほど、ぼく、蒼月狼に進化したのか」

「僕は、星妖精、ね。二人して伝説になったってわけだ」


 ただ、そんな鋼とセイの話で、何となく流れを理解する。


(つまりは、進化した先の種族名が『そうげつろう』とか『ほし妖精』ってわけか。そして、恐らくは二人ともかなり強い、と……)


 そうなってくると、この男の子は、自分に関われば物理的な危険があると警告していることになる。私とあまり変わらない年であろう男の子が、だ。


「だいじょーぶにゃにょ。わちゃしだっちぇ、ちかりゃににゃれりゅにょっ(大丈夫なの。私だって、力になれるのっ)」


 そうして先を促せば、男の子は話すのを渋っていたものの……鋼の唸りとセイの冷たい目に屈服する形で、ポツリ、ポツリと話始めるのだった。
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