悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第二十八話 ローランの人生

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「俺の名前は、ローラン・トーテス。かつて、勇者と呼ばれていた」


 男の子、ローランは、そう言って目を伏せると、ゆっくり口を開いていく。曰く、自分は竜人族で、昔から異常なほどに魔力を持っていたと。曰く、それに嫉妬した竜人達から、濡れ衣を着せられて国外追放されたと。

 しかし、その後からは、また話が変わってくる。当時、人間達を脅かしていた魔王と呼ばれる存在が居たのだという。力を持つ者達は、魔王に侵略されるのを良しとせず、果敢にも立ち向かい……散っていった。
 国外追放を受けて、人間の姿で冒険者となっていたローランは、そんな環境の中、国が行った勇者の募集に乗る。ローランは魔力があるだけでなく、竜人としての腕力もあったため、勇者として適任だった。瞬く間に、ローランは勇者として、仲間を集い、魔王討伐の旅へと出る。


「みゅうっ、しゅごいにょっ(みゅうっ、すごいのっ)」


 そこまで聞いていると、ローランは順風満帆のように聞こえる。


(もしかして、あの封印は魔王が?)


 倒されそうになった魔王が、最後の力を振り絞って勇者を封印したとかなら、何となくあり得そうだと思えた。しかし、その予想は大きく裏切られる。


「魔王は、何とか倒せた。ただ、魔王のその姿が問題だった」

「みゅ?」

「……俺と同じ、黒目黒髪だったんだ」


 たかが目と髪の色。しかし、その当時の人間達は、そうは考えなかったらしい。華々しい凱旋を行った数日後には、勇者は次の魔王になりかねないという噂が立っていたらしい。目も髪も同じ色で、しかも力を持っている。そんな存在を野放しにはできないと、人間達はローランに牙を剥いた。自分を受け入れてくれた人間達を大切に思っていたローランは、その裏切りに耐えられず逃げ出すも、追っ手はどこまでも、どこまでも迫り、とうとう、ローランの仲間だった魔導師がローランを封印したのだという。


「ふっ、みゅぅ……ぐずっ、うぅ……」

「って、何で、お前が泣くんだっ!?」


 ローランの話を聞き終えた私は、いつの間にかポロポロと涙をこぼしていた。その様子に、ローランはアワアワとしている。


「苦労したんだな」

「……す、少しは、認めてやるっ」


 鋼とセイも、ローランの話には思うところがあったらしく、態度がかなり軟化している。


「い、いや、最後の方は、もう、殺されても良いや、くらいに思ってたし、封印されたのも諦めてるっていうか……」

「みゅうぅぅうっ!」

「わーっ、待て待て! 何でそこでさらに泣く!?」


 そんなことを言われても、涙は止まらない。結局、私が泣き止むのは、ローランが必死になだめ続け、最終的に途方に暮れた頃だった。
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