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第一章 幼少期編
第五十三話 もっと迫ります
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「あるてなこーしゃくけなら、みぶんにもんだいないぞ」
「そういうもんだいじゃ……」
「それに、あるてなこーしゃくれーじょーはかわいーぞ?」
「いや、それは、そう、だけど……」
「いるとなら、かのじょのすがたをきらうことはないだろ?」
「……うん」
ただいま、私はようやく硬直が解けて、アルト王子を問答無用で引っ張っていったイルト王子を眺めながら、ヒソヒソ声で交わされる会話を猫耳の聴力で完璧に聞いている。
盗聴? いえ、これは、私に聞こえる距離で話をしている二人が悪いのだ。
(うぅっ、可愛いって、可愛いって! それに、私の姿を嫌うことはない!? あぁっ、もう、嬉しすぎてどうにかなりそうっ)
熱くなった頬に手を当てて身悶えていると、しばらくして、二人の話が終わり、こちらに戻ってくる。アルト王子はニコニコと、イルト王子は顔を赤くしながら、潤んだ瞳でこちらを見つめている。
(みゅうぅぅぅうっ! か、可愛い! 大好き! 天使ぃぃいっ!)
もう、私の頭の中はピンクの花で満開だ。胸の動悸も全く治まる気配はない。
「あ、あるてな、こうしゃくれいじょう」
「ユミリアです」
「へっ? えっ?」
「ユミリアと呼んでください」
「あ、あぅ……」
「ユ・ミ・リ・ア」
「………………ゆ、ゆみ、り、あ、じょう?」
「はいっ! 何ですか? イルト様!」
名前呼びを成功させた私は、飛び上がらんばかりに弾む心を抑えることもせず、満面の笑みを浮かべる。すると、イルト王子の顔がボフンッと赤くなる。
「そ、その……ぼくが、だれか、とか、きかないのです、か?」
「みゅ? 予想はついていますよ? でも、お二人はお忍びで来たのでしょう?」
そう問えば、イルト王子は大きく目を見開き……アルト王子に至っては驚愕で口をあんぐりと開けてしまう。
「えっと……その、それは、もしかして、ぼくのみぶんも……」
そして、なぜかどことなく暗い表情を浮かべたイルト王子に、私は一瞬だけ考えを巡らせると、その原因になり得そうな事柄を話してみる。
「はい、でも、その身分が目的で告白したわけじゃないです。ただただ、純粋に一目惚れしましたっ」
「はうっ」
すると、イルト王子はしゃがみこんで、プルプルと震える。黒髪の合間から少しだけ見える耳は真っ赤だ。
「おぉー、いるとをたおすなんて、すごいっ」
アルト王子がパチパチと手を叩きながら何か変なことを言っているが、私はイルト王子を打倒するつもりなど微塵もない。ただただ、思いの丈をしっかり、がっつりぶつけたいだけなのだ。
「しんぞうが、もたない……」
「大丈夫ですっ。イルト様の心臓が止まったとしたら、私が全力で蘇生してみせますっ」
「ゆみりあじょうが、たくましすぎる」
「たくましい女はお嫌いですか?」
わざと泣きそうな声でそう問いかけると、イルト王子は慌てて立ち上がり、ブンブンと首を横に振る。
「みゅうっ。なら、よかったです」
安心して応えれば、イルト王子は今度は両手で顔を覆ってしまう。
「えーっと、あるてなこーしゃくれいじょー?」
「はい? 何ですか?」
イルト王子の可愛い可愛い姿に胸をキュンキュンさせていると、アルト王子がそっと声をかけてくる。
「その、そろそろかいじょーにもどらなきゃいけないのでは? それと、わたしたちもそろそろいかなきゃいけない」
「……そう、ですか」
会場に戻るのは、もっと後でも良い。しかし、二人が帰らなければならないというのであれば、私はイルト王子とさようならをしなければならない。もちろん、これで関係を終わらせるつもりはないが。
「では、イルト様、アルト様。お父上に私のことをよぉくお伝えくださいね? 主に、イルト様と結婚したいということについて」
「うぅ」
「はいっ!」
イルト王子には優しく。しかし、アルト王子には軽く威圧をして伝えれば、イルト王子はまたしてもしゃがみこみ、アルト王子は顔を青くしてハキハキと応える。
そうして、私達はとても、とっても、名残惜しいながらも、ひとまずは分かれて行動することにした。
「そういうもんだいじゃ……」
「それに、あるてなこーしゃくれーじょーはかわいーぞ?」
「いや、それは、そう、だけど……」
「いるとなら、かのじょのすがたをきらうことはないだろ?」
「……うん」
ただいま、私はようやく硬直が解けて、アルト王子を問答無用で引っ張っていったイルト王子を眺めながら、ヒソヒソ声で交わされる会話を猫耳の聴力で完璧に聞いている。
盗聴? いえ、これは、私に聞こえる距離で話をしている二人が悪いのだ。
(うぅっ、可愛いって、可愛いって! それに、私の姿を嫌うことはない!? あぁっ、もう、嬉しすぎてどうにかなりそうっ)
熱くなった頬に手を当てて身悶えていると、しばらくして、二人の話が終わり、こちらに戻ってくる。アルト王子はニコニコと、イルト王子は顔を赤くしながら、潤んだ瞳でこちらを見つめている。
(みゅうぅぅぅうっ! か、可愛い! 大好き! 天使ぃぃいっ!)
もう、私の頭の中はピンクの花で満開だ。胸の動悸も全く治まる気配はない。
「あ、あるてな、こうしゃくれいじょう」
「ユミリアです」
「へっ? えっ?」
「ユミリアと呼んでください」
「あ、あぅ……」
「ユ・ミ・リ・ア」
「………………ゆ、ゆみ、り、あ、じょう?」
「はいっ! 何ですか? イルト様!」
名前呼びを成功させた私は、飛び上がらんばかりに弾む心を抑えることもせず、満面の笑みを浮かべる。すると、イルト王子の顔がボフンッと赤くなる。
「そ、その……ぼくが、だれか、とか、きかないのです、か?」
「みゅ? 予想はついていますよ? でも、お二人はお忍びで来たのでしょう?」
そう問えば、イルト王子は大きく目を見開き……アルト王子に至っては驚愕で口をあんぐりと開けてしまう。
「えっと……その、それは、もしかして、ぼくのみぶんも……」
そして、なぜかどことなく暗い表情を浮かべたイルト王子に、私は一瞬だけ考えを巡らせると、その原因になり得そうな事柄を話してみる。
「はい、でも、その身分が目的で告白したわけじゃないです。ただただ、純粋に一目惚れしましたっ」
「はうっ」
すると、イルト王子はしゃがみこんで、プルプルと震える。黒髪の合間から少しだけ見える耳は真っ赤だ。
「おぉー、いるとをたおすなんて、すごいっ」
アルト王子がパチパチと手を叩きながら何か変なことを言っているが、私はイルト王子を打倒するつもりなど微塵もない。ただただ、思いの丈をしっかり、がっつりぶつけたいだけなのだ。
「しんぞうが、もたない……」
「大丈夫ですっ。イルト様の心臓が止まったとしたら、私が全力で蘇生してみせますっ」
「ゆみりあじょうが、たくましすぎる」
「たくましい女はお嫌いですか?」
わざと泣きそうな声でそう問いかけると、イルト王子は慌てて立ち上がり、ブンブンと首を横に振る。
「みゅうっ。なら、よかったです」
安心して応えれば、イルト王子は今度は両手で顔を覆ってしまう。
「えーっと、あるてなこーしゃくれいじょー?」
「はい? 何ですか?」
イルト王子の可愛い可愛い姿に胸をキュンキュンさせていると、アルト王子がそっと声をかけてくる。
「その、そろそろかいじょーにもどらなきゃいけないのでは? それと、わたしたちもそろそろいかなきゃいけない」
「……そう、ですか」
会場に戻るのは、もっと後でも良い。しかし、二人が帰らなければならないというのであれば、私はイルト王子とさようならをしなければならない。もちろん、これで関係を終わらせるつもりはないが。
「では、イルト様、アルト様。お父上に私のことをよぉくお伝えくださいね? 主に、イルト様と結婚したいということについて」
「うぅ」
「はいっ!」
イルト王子には優しく。しかし、アルト王子には軽く威圧をして伝えれば、イルト王子はまたしてもしゃがみこみ、アルト王子は顔を青くしてハキハキと応える。
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