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第一章 幼少期編
第五十六話 婚約者
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何はともあれ、イルト様と接点を持たなければならない。そんな結論が出てから一週間。私は度々お継母様の元へと訪れては、淑女教育を受けていた。もちろん、淑女教育とは名ばかりの『イルト様を落とそうの会』であるのは間違いない。
本来の淑女教育もまた存在するため、私はアネッサ先生の元で授業を受け、着々と淑女としての階段を上っていたのだが……その日は、珍しく授業が中断されることとなる。
「ユミリアお嬢様! 旦那様がお呼びです。急ぎ、執務室へ向かいましょう!」
マナーレッスンの途中に割り込んできたのは、どこか慌てた様子のメリー。瞬時に何か大変なことが起こったのだと判断して、私はアネッサ先生に中座する非礼を詫びて、走らない程度の急ぎ足でメリーの背についていく。
「失礼します。ユミリアお嬢様をお連れしました」
「入れ」
どこか元気のないお父様の声に、私は不安になる。しかし、それを表に出すわけにはいかないと、どうにか冷静さを取り繕って、メリーを置いて一人、入室する。
「ユミリア……」
「何が、あったんですか?」
力なく呟くお父様に、私は思いきって尋ねる。すると……。
「ユミリアの、婚約者が決まった」
(えっ? ……コンヤクシャ?)
一瞬、お父様が何を言っているのか理解できなかった。しかし、理解が進むにつれ、最悪の想定が頭を掠める。
「っ、ユミリア!? ち、違うっ。ユミリアにとっては悪い話ではないっ!」
理解が進めば、当然、私の顔色はかなり悪くなっていたのだろう。それに慌てたお父様が声をあげるものの、私にとって、イルト様と婚約できないのであれば、誰でも同じだ。
「違うっ、ユミリア、誤解だ! 婚約者は、イルト・ラ・リーリス殿下だっ」
その言葉を聞いた途端、私は別の意味でまた理解が遅れて固まる。
(イルト・ラ・リーリス殿下……イルト、様?)
理解ができてしまえば、喜びが溢れて止まらなくなる。
「イルト様が、本当に?」
「あぁ、王命だ……まだ、ユミリアはこんなに小さいというのに……」
どうやら、イルト様との婚約は、本当に本当のことらしいと知り、私はもう、天にも昇る気持ちだ。
お父様は、まだ何かブツブツ言ってはいたが、そろそろ文通を行うべく動き出そうとしていたところでのこの朗報。もう、すぐにでもお継母様に知らせて祝いたいところだった。
「急ではあるが、顔合わせは、明後日になる。メリーに言って、色々と準備をしておくように。マナーレッスンの方は、今日と明日は休みにしよう」
「はいっ、お父様っ」
ウキウキした気持ちのままで応えれば、お父様は苦笑をして、メリーのところへ行くよう告げる。私は、スキップでもしそうな心を抑えて、淑女らしく退出すると、すぐさまメリーを部屋へ招いて、準備を始めるのだった。
本来の淑女教育もまた存在するため、私はアネッサ先生の元で授業を受け、着々と淑女としての階段を上っていたのだが……その日は、珍しく授業が中断されることとなる。
「ユミリアお嬢様! 旦那様がお呼びです。急ぎ、執務室へ向かいましょう!」
マナーレッスンの途中に割り込んできたのは、どこか慌てた様子のメリー。瞬時に何か大変なことが起こったのだと判断して、私はアネッサ先生に中座する非礼を詫びて、走らない程度の急ぎ足でメリーの背についていく。
「失礼します。ユミリアお嬢様をお連れしました」
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「ユミリア……」
「何が、あったんですか?」
力なく呟くお父様に、私は思いきって尋ねる。すると……。
「ユミリアの、婚約者が決まった」
(えっ? ……コンヤクシャ?)
一瞬、お父様が何を言っているのか理解できなかった。しかし、理解が進むにつれ、最悪の想定が頭を掠める。
「っ、ユミリア!? ち、違うっ。ユミリアにとっては悪い話ではないっ!」
理解が進めば、当然、私の顔色はかなり悪くなっていたのだろう。それに慌てたお父様が声をあげるものの、私にとって、イルト様と婚約できないのであれば、誰でも同じだ。
「違うっ、ユミリア、誤解だ! 婚約者は、イルト・ラ・リーリス殿下だっ」
その言葉を聞いた途端、私は別の意味でまた理解が遅れて固まる。
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ウキウキした気持ちのままで応えれば、お父様は苦笑をして、メリーのところへ行くよう告げる。私は、スキップでもしそうな心を抑えて、淑女らしく退出すると、すぐさまメリーを部屋へ招いて、準備を始めるのだった。
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