悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第八十六話 蹂躙

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 王妃様主催の安全なはずのお茶会。そこに現れたのは、不審者としか言えない黒ずくめ達。そして、奴らはあろうことか、私の大切な初のお友達を拘束して、脅している。


(え? 何これ? 血祭りに上げても良いってことかな?)


 護衛騎士は何をしていたのだ、だとか、奴らの目的は何だろう、だとか、気になることはある。しかし、それ以前に、怒りで振り切れそうな状態だった。


「こいつらを助けてほしくば、王妃を出せ!」


 そう言って、奴らは見せつけるように、レイア嬢の首筋へ刃物を近づける。
 貴族の娘として、緊急時に取り乱すな、とでも教育されているのだろうが、そんなレイア嬢でも涙目だ。リリアナ嬢は青い顔だし、ナターシャ嬢は震えている。いくら教養を積もうと、平気なはずがないのだ。


「む、無駄よっ。王妃様は、私達よりもよほど高貴なお方っ。あんた達の前に現れるわけないじゃないっ」


 涙目になりながらも、必死に強気な態度を取るレイア嬢。しかし、その態度は、時に事態を最悪な方向に展開させる。


「ほう? なら試してみようか? 三人も居るんだ。一人ずつ、じっくりとこの場でなぶってやろう」


 黒ずくめ達は、下卑た表情で、レイア嬢達を嗤う。


(……うん、やっぱり、殺ろう)


 さすがに、我慢の限界だと思って、ストレージから凶悪な兵器の数々を取り出そうとしたところで……。


「待ちなさい。彼女達に危害を加えることは許しません」


 そこに居たのは、怒りを瞳に湛えた王妃様だった。


「おぉ、なら、俺らに従うんだな。ほらっ、さっさとこっちに来いっ」

「その前に、あなた方は、どこの手の者です?」

「はっ、そんなこと、教えるわけがねぇだろっ。さぁ、早く「うざい」ぐぎゃっ」


 ……一応、我慢すべきだと思って、頑張りはした。頑張った……のだが、話が加熱するに従って、レイア嬢の首筋にしっかりと刃が当たり始めて、しかも、それでうっすらと血が滲んだのを確認した瞬間、私の理性は逃亡した。
 魔法ではなく、科学の叡知を結集させて作り上げた焼却装置。私の手のサイズに合わせた手袋型のそれで、私は黒ずくめの腕を掴み、一瞬にしてその部分を炭化させる。


「なっ」

「沈んで」


 次に狙ったのは、リリアナを捕らえている黒ずくめ。そいつには、魔法の叡知を結集させて作り上げた潜水魔法によって、地面に沈んでもらう。これは、魔法が解けた瞬間、体が沈んだ部分が水なり地面なりと結合する魔法であり……まぁ、考えるまでもなく致死性の高い魔法となる。


「黒!?」

「飛んでみよっか?」


 私を色だけで認識したナターシャ嬢を捕らえる黒ずくめには、別に叡知を結集させてもいない、ただの装備の力プラス身体強化魔法でアッパーを行い、空に打ち上げてみせる。
 周囲には、他にも黒ずくめ達が居たものの、ほぼ一瞬にして事態が動いたことに、誰も反応できていないようだった。だから、私は……。


「ねぇ、私の友達をいじめて、無事にすむと思った?」


 そう宣言して、蹂躙を開始するのだった。
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