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第一章 幼少期編
第九十八話 レッツ、パーティー!1
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無事に『王家の守り人』として、正式に就任した私は、貴族達から向けられる嫉妬、憎悪の視線をものともせずに、にこりと笑っておいた。それによって、射殺さんばかりの視線がさらに強くなったのは言うまでもないが、覚悟を決め、計画を進めている私にとっては、むしろ心地良いくらいのものだった。
計画発動は、この就任式の翌日。本来は、アルト王子とイルト王子の五歳を迎えたことへのお祝いとなるパーティーで起こす。
(まぁ、起こす、というか、相手の方が仕掛けてくるっていうのが正解なんだろうけどね?)
本来は、私が『王家の守り人』なんていう大役を任せられることはなかったはずであり、敵側も、その事実は予想外だったことだろう。しかし、同時に、『だからどうした』となってしまうのも必然。何しろ、私はまだ五歳の幼女だ。たとえ、お茶会での出来事を報告されていたとしても、私に協力者が居て、そのおかげで私が功績をあげたように見えたくらいに思われていそうだ。
(そのまま侮ってくれたらありがたい、かな?)
本日の武装は、小動物柄の金の刺繍が散りばめられた黒のドレス。背中には、黒い大きなリボンがアクセントになっており、なかなかに可愛らしい。このドレスの効果は、とても隠密に向いたもので、太ももには小さなナイフも隠し持てる仕様だ。
「ユミリアお嬢様。とても可愛らしいですよ」
「みゅっ、ありがとう。メリー」
メリーはもちろん、このドレスの意味を分かっている。それでもなお、メリーは私を可愛いと褒めて、笑みを浮かべる。
「それじゃあ、いざ、戦場へ、かな?」
「えぇ、ご武運を」
王家主催のパーティーに臨むにしては、いささか物騒な会話を交わした私達は、イルト王子がエスコートのために到着するのを待って、動き出す。
「ゆみりあじょう。きょうは、いちだんとかわいい」
「あ、ありがとうございますっ」
能力のみならず、可愛さも追求したドレス。それを褒められて、嬉しくないはずがない。ただ、気になるのは……。
「み、みゅ?」
「ごめん。ゆみりあじょうがかわいすぎて、ずっとみてた」
「っ!?」
やけに熱烈な視線を感じると思えば、殺しにきているとしか思えない一言に、私は一瞬、心臓が止まりかける。
(う、うぅぅっ、こ、これ、私、パーティーが終わるまで、もつの?)
ドッキンドッキンと高鳴る心臓。私は、このパーティーの会場に待ち受けるものが敵なのだと知りながら、もて余すほどの幸福感で頬を緩ませる。
「いわれたとおり、ちゃんと、ゆびわはみにつけているからね?」
「はい。絶対に、私から離れないでくださいね?」
「もちろん、ずっと、はなさない」
万が一攻撃されても、イルト王子に渡した指輪が、結界を張ってくれる。悪意を探知する伊達眼鏡は、今回、出番がなさそうなのでイヤリングの収納に放置。イヤリングは、一応身につけてもらっているようで、恐らくは、やはり出番のなさそうな甕もその中に入っていることだろう。
「あと、ろーぷとてじょうとくびわ、あしかせもよういしてあるからね?」
「……は、はい」
ニコニコと笑顔を浮かべるイルト王子に、私は、それがどんな目的で用意されたものなのか、聞くことができなかった。
(き、きっと、犯人を捕まえるためのもの、だよね?)
いくつかおかしなものが混じっていたのは、とりあえず聞かなかったことにしよう。
そうして、イルト王子のエスコートを受けながら、私達は、パーティー会場へと足を踏み入れた。
計画発動は、この就任式の翌日。本来は、アルト王子とイルト王子の五歳を迎えたことへのお祝いとなるパーティーで起こす。
(まぁ、起こす、というか、相手の方が仕掛けてくるっていうのが正解なんだろうけどね?)
本来は、私が『王家の守り人』なんていう大役を任せられることはなかったはずであり、敵側も、その事実は予想外だったことだろう。しかし、同時に、『だからどうした』となってしまうのも必然。何しろ、私はまだ五歳の幼女だ。たとえ、お茶会での出来事を報告されていたとしても、私に協力者が居て、そのおかげで私が功績をあげたように見えたくらいに思われていそうだ。
(そのまま侮ってくれたらありがたい、かな?)
本日の武装は、小動物柄の金の刺繍が散りばめられた黒のドレス。背中には、黒い大きなリボンがアクセントになっており、なかなかに可愛らしい。このドレスの効果は、とても隠密に向いたもので、太ももには小さなナイフも隠し持てる仕様だ。
「ユミリアお嬢様。とても可愛らしいですよ」
「みゅっ、ありがとう。メリー」
メリーはもちろん、このドレスの意味を分かっている。それでもなお、メリーは私を可愛いと褒めて、笑みを浮かべる。
「それじゃあ、いざ、戦場へ、かな?」
「えぇ、ご武運を」
王家主催のパーティーに臨むにしては、いささか物騒な会話を交わした私達は、イルト王子がエスコートのために到着するのを待って、動き出す。
「ゆみりあじょう。きょうは、いちだんとかわいい」
「あ、ありがとうございますっ」
能力のみならず、可愛さも追求したドレス。それを褒められて、嬉しくないはずがない。ただ、気になるのは……。
「み、みゅ?」
「ごめん。ゆみりあじょうがかわいすぎて、ずっとみてた」
「っ!?」
やけに熱烈な視線を感じると思えば、殺しにきているとしか思えない一言に、私は一瞬、心臓が止まりかける。
(う、うぅぅっ、こ、これ、私、パーティーが終わるまで、もつの?)
ドッキンドッキンと高鳴る心臓。私は、このパーティーの会場に待ち受けるものが敵なのだと知りながら、もて余すほどの幸福感で頬を緩ませる。
「いわれたとおり、ちゃんと、ゆびわはみにつけているからね?」
「はい。絶対に、私から離れないでくださいね?」
「もちろん、ずっと、はなさない」
万が一攻撃されても、イルト王子に渡した指輪が、結界を張ってくれる。悪意を探知する伊達眼鏡は、今回、出番がなさそうなのでイヤリングの収納に放置。イヤリングは、一応身につけてもらっているようで、恐らくは、やはり出番のなさそうな甕もその中に入っていることだろう。
「あと、ろーぷとてじょうとくびわ、あしかせもよういしてあるからね?」
「……は、はい」
ニコニコと笑顔を浮かべるイルト王子に、私は、それがどんな目的で用意されたものなのか、聞くことができなかった。
(き、きっと、犯人を捕まえるためのもの、だよね?)
いくつかおかしなものが混じっていたのは、とりあえず聞かなかったことにしよう。
そうして、イルト王子のエスコートを受けながら、私達は、パーティー会場へと足を踏み入れた。
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