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第二章 少女期 瘴気編
第百七十二話 移動中(ミーシャ視点)
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王家の紋章が彫られた馬車。それに私は、もう一人とともに乗り込んでいた。しかし……。
「あのぉ、アルト様?」
「うん? 何かな? ミーシャ嬢」
あの時、たった一人で連れ去られるはずだった私の前に現れたのは、この国の第一王子にして、今では同学年の学友として、さらには、互いに大好きな人のことを語り尽くしたい同志として、スクスクと成長してくれたアルト王子だった。
「いえ、その、どうして、助けてくれたのかと思いまして」
「大切な友の危機に駆けつけてはおかしいかな?」
「そこですっ。どうして、私が危機だと分かったんです?」
実際のところ、アルト様の登場は、ケイン側としても予想外だったらしく、ケインからじっとりと『何をした?』と問い詰めるような視線にさらされるはめになった。もちろん、私は何もしていない。そのため、私はその視線に耐え続けることしかできなかったのだ。
「うん? だって、ミーシャ嬢の気配が近づいてきたと思っていたのに、途中で離れていったのだよ? この学園で、ミーシャ嬢は私達以外の者から敵視される傾向が強い。それを考えると、危機感を抱いて捜しても不思議ではないでしょう?」
私の接近を気配だけで探知していたという事実には驚いたものの、獣つきならば、それも可能だということに思い至る。それと同時に、私は随分とアルト様から目にかけてもらっていたらしいことにも気づき、頭が下がる思いだった。
「ありがとうございます。本当に、助かりました」
「いや、構わないよ。それに、もしかしたら、ミーシャ嬢が呼ばれたのは、ユミリア嬢に何かあったからかもしれないしね」
「えっ……?」
真剣な表情で告げられたその内容を、私は一瞬、理解できなかった。
「詳しくはまだ話せないけど、もしそうだった場合は、ミーシャ嬢の浄化魔法が頼りになるのかもしれない。申し訳ないけど、その時は、協力してほしい」
どうやら、お姉様に何かがあって、浄化魔法が必要な案件が出てきたせいで私が呼ばれている、というのが濃厚だと判断したらしいアルト様。
(いったい何が……いや、でも、アルト様が話さないってことは、話すべきかどうかの判断が難しいものかもしれないし……お姉様……)
何があったか分からない以上、下手な行動はできない。
「大丈夫。私が責任をもって、ミーシャ嬢のことをサポートしよう」
柔らかく微笑むアルト様。それと同時に馬車は停まり、私は、覚悟を決めて城を見据えた。
「あのぉ、アルト様?」
「うん? 何かな? ミーシャ嬢」
あの時、たった一人で連れ去られるはずだった私の前に現れたのは、この国の第一王子にして、今では同学年の学友として、さらには、互いに大好きな人のことを語り尽くしたい同志として、スクスクと成長してくれたアルト王子だった。
「いえ、その、どうして、助けてくれたのかと思いまして」
「大切な友の危機に駆けつけてはおかしいかな?」
「そこですっ。どうして、私が危機だと分かったんです?」
実際のところ、アルト様の登場は、ケイン側としても予想外だったらしく、ケインからじっとりと『何をした?』と問い詰めるような視線にさらされるはめになった。もちろん、私は何もしていない。そのため、私はその視線に耐え続けることしかできなかったのだ。
「うん? だって、ミーシャ嬢の気配が近づいてきたと思っていたのに、途中で離れていったのだよ? この学園で、ミーシャ嬢は私達以外の者から敵視される傾向が強い。それを考えると、危機感を抱いて捜しても不思議ではないでしょう?」
私の接近を気配だけで探知していたという事実には驚いたものの、獣つきならば、それも可能だということに思い至る。それと同時に、私は随分とアルト様から目にかけてもらっていたらしいことにも気づき、頭が下がる思いだった。
「ありがとうございます。本当に、助かりました」
「いや、構わないよ。それに、もしかしたら、ミーシャ嬢が呼ばれたのは、ユミリア嬢に何かあったからかもしれないしね」
「えっ……?」
真剣な表情で告げられたその内容を、私は一瞬、理解できなかった。
「詳しくはまだ話せないけど、もしそうだった場合は、ミーシャ嬢の浄化魔法が頼りになるのかもしれない。申し訳ないけど、その時は、協力してほしい」
どうやら、お姉様に何かがあって、浄化魔法が必要な案件が出てきたせいで私が呼ばれている、というのが濃厚だと判断したらしいアルト様。
(いったい何が……いや、でも、アルト様が話さないってことは、話すべきかどうかの判断が難しいものかもしれないし……お姉様……)
何があったか分からない以上、下手な行動はできない。
「大丈夫。私が責任をもって、ミーシャ嬢のことをサポートしよう」
柔らかく微笑むアルト様。それと同時に馬車は停まり、私は、覚悟を決めて城を見据えた。
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