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第二章 少女期 瘴気編
第百七十三話 えまーじぇんしーっ(アルト視点)
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ミーシャ嬢にああは言ったものの、実際のところ、私とて、ユミリア嬢の現状は知らなかった。ただ、ユミリア嬢に何かがあって、イルトが城にも帰らず、アルテナ公爵家に一泊したということしか分からない。父上ならば、詳しいことも知っていそうだが、私はまだ、それを教えられていなかった。ミーシャ嬢が教室に入らずに引き返したことを心配したのは確かだが、ミーシャ嬢とともに城へ訪れたことによって、何か詳しい事情が聞けるかもしれないと考えてもいた。
(酷い状況でなければいいが……)
万が一、ユミリア嬢がイルトと喧嘩した末に家出でもすれば、イルトがどんな暴れ方をするか、考えるだけで寒気がする。
(そんなことになっていたら、ユミリア嬢、絶対監禁されるなっ)
その後のことは、きっと考えない方が良いに違いない。
セイトリー公爵家の次男である、ケインの背に、私とミーシャ嬢の二人でついていく中、私はミーシャ嬢が緊張していないかと視線をチラリと向けて……。
「ミーシャ嬢!? どうした!?」
「殿下? っ、ミーシャ嬢!?」
なぜ気づかなかったのか、ミーシャ嬢は、顔を真っ青にして、ブルブルと震えていた。そして、私が声をかけた瞬間に、膝から崩れ落ちたため、私は慌ててミーシャ嬢を両腕で抱き止める。
「殿下、彼女は、何か持病でもお持ちですか?」
「い、いや、そんな話は聞いていない」
ミーシャ嬢の体調の悪さは、ケインにも良く伝わっており、即座にそんな質問を投げ掛けてくる。
「とにかく、医務室へ「ダメ、です……」ミーシャ嬢?」
ケインが、自分が支えるからと視線で促すのを見て、腕の温もりを手放すべきか迷っていると、ミーシャ嬢の、普段の元気からはかけ離れたか細い声が届く。
「早く、行かなきゃ……取り返しが、つかないことに……」
「どういう意味です? いえ、それよりも、やはり医務室へお連れしましょ「だからっ、ダメです!」しかし……」
「待て、ケイン。まずは、ミーシャ嬢の話を聞いてからだ」
「はっ」
強引にでも連れていこうとするケインに、私は少しだけ、ミーシャ嬢の話に耳を傾けてほしいと提案する。きっと、ここでミーシャ嬢の話を聞かなければ後悔する。そんな直感が働いたのも確かだった。
「この先、ずっと、黒いもやで覆われてて……」
「っ、それは、まさか……」
「殿下?」
ミーシャ嬢の言葉で、私はすぐに事態を理解し、同時に、困惑状態のケインへと王族の一人として命令を下す。
「すぐに動ける騎士を全員召集しろ! 緊急事態だ!」
「多分、セイさん達も、居る……」
「……すまない、少し変更する。すぐさま、騎士達にこの城から他の者が避難できるよう、誘導させよ!」
「はっ? えっ? いえ、しかし……」
「き・ん・きゅ・う・じ・た・い・だっ!」
「は、ははっ、ただちに!」
黒いもやの正体は、瘴気。そして、ミーシャ嬢の言葉通りだとするなら、あの戦闘能力がもはや桁違いとしか言えないような二人プラス一匹のうちの誰か……いや、最悪の場合、全員が瘴気に取り込まれているということだ。状況の予想ができない以上、国が滅ぶくらいの想定をして動かなければならない。
「ミーシャ嬢、浄化は可能か?」
「時間をかければ、必ず」
「なら、少し我慢していてくれ」
ケインが任務遂行のために走り去り、しんと静まり返った廊下で、私は、まだ足に力が入らないらしいミーシャ嬢を抱きかかえた。
(酷い状況でなければいいが……)
万が一、ユミリア嬢がイルトと喧嘩した末に家出でもすれば、イルトがどんな暴れ方をするか、考えるだけで寒気がする。
(そんなことになっていたら、ユミリア嬢、絶対監禁されるなっ)
その後のことは、きっと考えない方が良いに違いない。
セイトリー公爵家の次男である、ケインの背に、私とミーシャ嬢の二人でついていく中、私はミーシャ嬢が緊張していないかと視線をチラリと向けて……。
「ミーシャ嬢!? どうした!?」
「殿下? っ、ミーシャ嬢!?」
なぜ気づかなかったのか、ミーシャ嬢は、顔を真っ青にして、ブルブルと震えていた。そして、私が声をかけた瞬間に、膝から崩れ落ちたため、私は慌ててミーシャ嬢を両腕で抱き止める。
「殿下、彼女は、何か持病でもお持ちですか?」
「い、いや、そんな話は聞いていない」
ミーシャ嬢の体調の悪さは、ケインにも良く伝わっており、即座にそんな質問を投げ掛けてくる。
「とにかく、医務室へ「ダメ、です……」ミーシャ嬢?」
ケインが、自分が支えるからと視線で促すのを見て、腕の温もりを手放すべきか迷っていると、ミーシャ嬢の、普段の元気からはかけ離れたか細い声が届く。
「早く、行かなきゃ……取り返しが、つかないことに……」
「どういう意味です? いえ、それよりも、やはり医務室へお連れしましょ「だからっ、ダメです!」しかし……」
「待て、ケイン。まずは、ミーシャ嬢の話を聞いてからだ」
「はっ」
強引にでも連れていこうとするケインに、私は少しだけ、ミーシャ嬢の話に耳を傾けてほしいと提案する。きっと、ここでミーシャ嬢の話を聞かなければ後悔する。そんな直感が働いたのも確かだった。
「この先、ずっと、黒いもやで覆われてて……」
「っ、それは、まさか……」
「殿下?」
ミーシャ嬢の言葉で、私はすぐに事態を理解し、同時に、困惑状態のケインへと王族の一人として命令を下す。
「すぐに動ける騎士を全員召集しろ! 緊急事態だ!」
「多分、セイさん達も、居る……」
「……すまない、少し変更する。すぐさま、騎士達にこの城から他の者が避難できるよう、誘導させよ!」
「はっ? えっ? いえ、しかし……」
「き・ん・きゅ・う・じ・た・い・だっ!」
「は、ははっ、ただちに!」
黒いもやの正体は、瘴気。そして、ミーシャ嬢の言葉通りだとするなら、あの戦闘能力がもはや桁違いとしか言えないような二人プラス一匹のうちの誰か……いや、最悪の場合、全員が瘴気に取り込まれているということだ。状況の予想ができない以上、国が滅ぶくらいの想定をして動かなければならない。
「ミーシャ嬢、浄化は可能か?」
「時間をかければ、必ず」
「なら、少し我慢していてくれ」
ケインが任務遂行のために走り去り、しんと静まり返った廊下で、私は、まだ足に力が入らないらしいミーシャ嬢を抱きかかえた。
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