悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第二章 少女期 瘴気編

第二百二十三話 久々の登城

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 イルト様とともに馬車に乗り込んで、しばらくすれば、城へと到着した。いつも通り、イルト様の手を借りて馬車から降りた私は、久々に見る白いお城を懐かしく思いながらイルト様に微笑んで……なぜか、周囲がザワリとしたのを感じる。


「みゅ?」

「どうしたの? ユミリア?」


 いつも、お城の使用人は好意的な視線を向けてくれる人がほとんどだったが、今、わずかながらにも向けられるその視線は、今までに感じたことのないタイプの視線だった。


(まぁ、害はなさそうだけど……)


 どこか熱いその視線に戸惑うものの、次の瞬間には一気にその気配が消えて、気のせいだったかと首をかしげる。


「さぁ、行こう。ユミリア」

「はいっ」


 チラリと見えた使用人の一人が顔を青くしているのを見つけたが、他の使用人がすぐ側に居たので、私が声をかける必要はないだろうと判断し、イルト様のエスコートで城内を進む。


「……あの、イルト様、謁見の間はこちらではなかったと記憶しているのですが……」

「うん? 謁見の間に何か用事でもあった?」

「えっ? いえ、その、陛下にご挨拶をと思いまして」


 エスコートされるがままについていくと、なぜか、謁見の間に向かうのとは違う道をイルト様は進んでいく。


「ユミリア……ユミリアは帰ってきたばかりなんだから、今のユミリアの役割は、僕の側に居て、僕と一緒に休むことだと思わない?」

「えっ! えっとっ、あ、あの……」


 クルリとこちらへ顔を向けたイルト様は、とっても妖艶な表情で私の頬を撫でる。


(みゅうぅうっ!? イ、イルト様がっ、イルト様がっ、みにゃあぁぁぁあっ!!)


 イルト様の微笑みは、効果抜群だ。私は途端に大パニックに陥る。


(こ、こういう時は素数を数えて……素数って何だっけ!?)


 絶対に赤くなっているであろう私の頬へ、イルト様は片手を当てて、グッと顔を近づけてくる。


(あ、もう、ダメ……)

「っ、ユミリア!?」


 イルト様の色気にノックアウトされた私は、思わずフラリとよろめく。しかし、その瞬間、イルト様が私を抱き止めて、心配そうに顔を覗き込んでくるものだから、治まるものも治まらない。


「あ、うぅ……」

「ユミリア……それ、わざと?」


 イルト様が何を言っているのか分からないが、私はただ、顔を両手で覆っているだけだ。
 後から聞くと、その時の私は真っ赤で、猫耳をピクピクさせながら尻尾をイルト様の腕に絡みつかせていたらしい。……ちなみに、尻尾を絡みつかせるのは、私達獣つきの共通の求愛行動だったりする。

 お互いに真っ赤になって固まった私達は、後からやってきたアルト王子に声をかけられるまで、一ミリも動けなかった。
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