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第二章 少女期 瘴気編
第二百三十六話 倒れたギリア(イルト視点)
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「誰かっ! 誰かっ、来てくれっ!!」
倒れるギリアの下にどうにか滑り込むことに成功した僕は、声を張り上げて人を呼ぶ。
「何があったの!?」
すぐにやってきたのは、セイとコウ。恐らくは、すぐ側で護衛をしてくれていたのだろう。
「ギリアが、これを飲んで倒れたっ」
僕は、これがユミリアの作った未完成の薬であることや、ギリアの目的を全て話す。そして、その頃には、ユミリアの両親も駆けつけており、ギリアの行いに青ざめていた。
「すまない。僕も一緒に居たのに……止められなかった」
「殿下の責任ではありません。どうか、気を落とされないでください」
ギリアはひとまず、ベッドに運ばれ、医師の診察を受けることになったが、医師の対処でどうにかなるようなものだとは思えない。
「未完成ってことは、どんな副作用が出るのか分からないってことだよ。僕も確認してみたけど、情報がゴチャゴチャしてて、何も分からなかった」
セイは、自分も軽く診るくらいならできるからと、ギリアを診察してくれたものの、どうやら状況は悪いらしい。
「ギリア……」
ユミリアに続き、ギリアまでもが倒れ、ミリア夫人は今にも倒れそうなほどに白くなっている。
(僕は、僕はっ)
何一つ守れない自分に、自責の念ばかりが募る。そうして、一時間ほど、重苦しい空気が流れた後、ギリアの様子を確認していたメリーが、慌てた様子で扉を開け放つ。
「旦那様っ! ギリア様がっ!」
何かがあったということが分かり、僕達は、急いでギリアの元へと向かう。
「う、うぅ……」
「ギリア……?」
そこに横たわっていたのは、金色のフワフワとした髪を腰まで伸ばした青年。年齢は、僕よりも上に見える彼は、恐らく、ギリアで間違いないのだろう。
「う……母上……?」
少し掠れた声で、ミリア夫人を呼ぶギリアは、起き上がろうとして、その体の違和感に気づいたのか、動きを止める。
「これ……成長してる!? は、母上っ、今の僕は、いくつぐらいに見えますかっ!!」
「ギリア……? え、えぇっと、二十代くらいかしら?」
「本当に!? なら、僕にも浄化の力が使えるんじゃあっ。姉上のところに行ってきます!」
予想外に元気なギリアの様子に、僕達は全員呆気にとられて……。
「うわぁっ」
「危ないっ」
体に慣れないのか、急いでベッドから下りようとしたギリアは、バランスを崩して倒れ、どうにか、僕が支えることに成功する。
「っ、あ、ありがとうございます」
「いや」
びっくりしたように目を丸くしたギリアは、そこから頑張って立とうとするものの、やはり、まだ上手くはいかないらしい。
「……ギリア様は、私がお運びしましょう」
「メリー!?」
メリーの言葉に慌てて声をあげたガイアス様だったが、メリーの鋭いにらみで口を閉じる。
「お嬢様が目を覚ましてくだされば、ギリア様の副作用も何とかなるかもしれません。ならば、今のうちに、お嬢様を目覚めさせるよう行動すべきでしょうっ」
副作用が未だに分からないものの、ユミリアならば何とかできるという言葉には誰もが同意するしかない。
僕達は、改めて、ユミリアの元へと向かったのだった。
倒れるギリアの下にどうにか滑り込むことに成功した僕は、声を張り上げて人を呼ぶ。
「何があったの!?」
すぐにやってきたのは、セイとコウ。恐らくは、すぐ側で護衛をしてくれていたのだろう。
「ギリアが、これを飲んで倒れたっ」
僕は、これがユミリアの作った未完成の薬であることや、ギリアの目的を全て話す。そして、その頃には、ユミリアの両親も駆けつけており、ギリアの行いに青ざめていた。
「すまない。僕も一緒に居たのに……止められなかった」
「殿下の責任ではありません。どうか、気を落とされないでください」
ギリアはひとまず、ベッドに運ばれ、医師の診察を受けることになったが、医師の対処でどうにかなるようなものだとは思えない。
「未完成ってことは、どんな副作用が出るのか分からないってことだよ。僕も確認してみたけど、情報がゴチャゴチャしてて、何も分からなかった」
セイは、自分も軽く診るくらいならできるからと、ギリアを診察してくれたものの、どうやら状況は悪いらしい。
「ギリア……」
ユミリアに続き、ギリアまでもが倒れ、ミリア夫人は今にも倒れそうなほどに白くなっている。
(僕は、僕はっ)
何一つ守れない自分に、自責の念ばかりが募る。そうして、一時間ほど、重苦しい空気が流れた後、ギリアの様子を確認していたメリーが、慌てた様子で扉を開け放つ。
「旦那様っ! ギリア様がっ!」
何かがあったということが分かり、僕達は、急いでギリアの元へと向かう。
「う、うぅ……」
「ギリア……?」
そこに横たわっていたのは、金色のフワフワとした髪を腰まで伸ばした青年。年齢は、僕よりも上に見える彼は、恐らく、ギリアで間違いないのだろう。
「う……母上……?」
少し掠れた声で、ミリア夫人を呼ぶギリアは、起き上がろうとして、その体の違和感に気づいたのか、動きを止める。
「これ……成長してる!? は、母上っ、今の僕は、いくつぐらいに見えますかっ!!」
「ギリア……? え、えぇっと、二十代くらいかしら?」
「本当に!? なら、僕にも浄化の力が使えるんじゃあっ。姉上のところに行ってきます!」
予想外に元気なギリアの様子に、僕達は全員呆気にとられて……。
「うわぁっ」
「危ないっ」
体に慣れないのか、急いでベッドから下りようとしたギリアは、バランスを崩して倒れ、どうにか、僕が支えることに成功する。
「っ、あ、ありがとうございます」
「いや」
びっくりしたように目を丸くしたギリアは、そこから頑張って立とうとするものの、やはり、まだ上手くはいかないらしい。
「……ギリア様は、私がお運びしましょう」
「メリー!?」
メリーの言葉に慌てて声をあげたガイアス様だったが、メリーの鋭いにらみで口を閉じる。
「お嬢様が目を覚ましてくだされば、ギリア様の副作用も何とかなるかもしれません。ならば、今のうちに、お嬢様を目覚めさせるよう行動すべきでしょうっ」
副作用が未だに分からないものの、ユミリアならば何とかできるという言葉には誰もが同意するしかない。
僕達は、改めて、ユミリアの元へと向かったのだった。
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