悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第三章 少女期 女神編

第三百十二話 希望はあるっ

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「ミーシャ……」


 メリーから、大体の事情を聞いた私は、ショックを受けて動けないセイを放置したまま、アルト様のために秘密裏に医者の手配をして、マルディックやスペースドラゴンからは詳しい説明をしてもらう。

 そこに、ミーシャの肉体は確かに存在する。呼吸もしているし、心臓も動いている。しかし……大切なミーシャ自身の魂は、そこに存在しない。女神に魂を抜き取られたというミーシャの体は、このまま放置していれば、確実に死を迎える。


「とりあえず、ミーシャはこの中に入れるよ。セイ、ほら、起きて! まだ、ミーシャは死んでない! まだ、希望はあるからっ」

「……ユミ、リア?」

「さぁっ、このままじゃあ、本当に死んじゃうから、ミーシャをこの中に入れてあげて」


 ストレージから取り出したのは、巨大な棺のようなもの。と、いうか、よくSF映画で出てくる、コールドスリープのための装置だ。動力源は、魔力。内からも外からも操作できるように作っている途中ではあるものの、現状、外からの操作ならば何の問題もない状態だった。
 多少混乱しながらも、素直にミーシャを装置の中に運んでくれたセイは、私が処置を終える時を待って、口を開く。


「ミーシャは……どうなってるの?」

「そうだね……現状を簡単に纏めると、ミーシャは魂を奪われて、このままでは肉体が死んでしまうから、それを防ぐ処置を完了させたところかな?」

「魂を、奪われた……?」


 魂を奪う方法は、確かに存在するとされているが、実際に、それを成功させた者の話は聞かない。ただ……相手が女神であるならば、話は別だ。


「まだ、詳しいことは分からないけど、それは間違いないよ」


 そうして、私は聞きかじった知識を、全て、セイに伝える。


「女神……? 何で、そんな存在が、ミーシャを……?」

「分からない。ミーシャを転生させた神とやらが関わってくるのかもしれないけど、とにかく、こちらは情報不足なの」


 ようやく、ローランと竜神様の件が片付いたばかりなのに、新たに発生した問題。さすがに、情報不足状態になるのはしかたないだろう。


「とりあえず、竜神様と、もう一人の神には協力してもらう。それから、情報を集めることになると思うよ」

「僕は、何をすれば?」


 まだ、ミーシャは助かる。その希望の光を感じ取ったセイの切り替えは早かった。


「とりあえず、竜神様達に話を聞いてからにはなりそうだけど、情報収集が先になると思うよ。あぁ、でも、竜神様達の回復は、セイに頼むかも?」


 現在、味覚が崩壊した状態でグッタリしている竜神様。そして、箱詰めにして、ずっと悪夢を見せ続けた結果、恐らくは怯えきっているであろう山の神。彼らに問えば、いくらか、『神』というものが何か、分かるはずだった。


「回復……」

「ミーシャに関しては、この装置を破壊されでもしない限り大丈夫。とりあえずは、鋼に守ってもらうことにするね」


 そうして、私達は、何かを知っているかもしれない神達へ話を聞きに向かった。
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