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第三章 少女期 女神編
第三百五十七話 ネシス
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イルト様を見た瞬間、イルト様も、イリアスであった頃の記憶を思い出しているのだと直感した。かつてのイルト様にはなかった、どんな逆境にも負けないという意思の力が、そこには存在していた。
「ユレイラ、いや、ユミリア。僕は、もう、二度と、あなたを失うつもりはない」
「はい。イリアス。いえ、イルト様。私だって、二度と、あなたを失いたくなんてない」
想いは同じ。しかし、現状が危険であることに変わりはなかった。
「お嬢様!」
「イルトっ、ユミリア様っ!」
きっと、反逆者を名乗るネシス辺りが張ったのであろう結界が壊れたことを機に、メリーと竜神様がなだれ込むようして叫ぶ。
「問題ない」
「大丈夫だよ」
そう告げても、メリーは安心できないのか、私の額に手を乗せたり、脈を測ったりする。竜神様の方は、そこまでは頭が回らないのか、そういった確認はしないものの、それでもしつこいくらいにイルト様へ、何か違和感がないかの確認を行う。
「とりあえず、目標がまたできたね」
「うん、ただ、思い出したおかげで、ある程度の打開策だって浮かんだ」
私達を殺した邪神を倒す。それが、新たなる目標だ。そして……。
「メリー、竜神様、エイリーン、セイと鋼をお願い」
「僕達は、ちょっと、一人を迎えに行かないといけないから」
「お嬢様? 殿下?」
「いったい、何の話……っ!?」
「??」
呪いを解くことまではできない。しかし、限りなく、神であった頃の能力を解放することは可能だ。もちろん、そんな魂の変化に気づけるのは、竜神様ただ一人で、頬をピクピクと引つらせる姿が見える。
「じゃあ、ちょっとだけ、行ってきます」
そう告げて、私とイルト様は、魔石も魔法陣もなしに、クリスタルロード最深部へと転移した。
「ところで、ユミリア。ネシスの気配がすごく薄い気がするんだけど……何か、した?」
「あ、あはは……えっと……ガッツリ洗った?」
「洗う?」
私達が会おうとしているのは、神であった頃の仲間。そして、この場所で、敵対してきたあの影だ。ただ、あの時の様子を見る限り、きっと、今のネシスは、随分と壊れかけている。
「ネシス……」
扉を開けば、薄い影が、ユラユラと揺れている。
「イリアス、様……ユレイラ、様……?」
ぼんやりとした呟きで返してきたネシス。そうして、彼は、のっぺりとした影から、少しずつ、体を形作り……黒い短髪に、紫の瞳を持った、男の子の姿を取る。
「先ほどは、結界を張ってくれて、ありがとう」
「ごめんなさい。ネシス。記憶がないからって、私、酷いことを……」
そう、言葉を伝えるものの、ネシスは、私達の顔を見て、ポロポロと大粒の涙を流す。
「ずっと……ずっと……待って、ました…………」
そう言ったネシスは、滅多に見せない微笑みを、その顔に浮かべていた。
「ユレイラ、いや、ユミリア。僕は、もう、二度と、あなたを失うつもりはない」
「はい。イリアス。いえ、イルト様。私だって、二度と、あなたを失いたくなんてない」
想いは同じ。しかし、現状が危険であることに変わりはなかった。
「お嬢様!」
「イルトっ、ユミリア様っ!」
きっと、反逆者を名乗るネシス辺りが張ったのであろう結界が壊れたことを機に、メリーと竜神様がなだれ込むようして叫ぶ。
「問題ない」
「大丈夫だよ」
そう告げても、メリーは安心できないのか、私の額に手を乗せたり、脈を測ったりする。竜神様の方は、そこまでは頭が回らないのか、そういった確認はしないものの、それでもしつこいくらいにイルト様へ、何か違和感がないかの確認を行う。
「とりあえず、目標がまたできたね」
「うん、ただ、思い出したおかげで、ある程度の打開策だって浮かんだ」
私達を殺した邪神を倒す。それが、新たなる目標だ。そして……。
「メリー、竜神様、エイリーン、セイと鋼をお願い」
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「お嬢様? 殿下?」
「いったい、何の話……っ!?」
「??」
呪いを解くことまではできない。しかし、限りなく、神であった頃の能力を解放することは可能だ。もちろん、そんな魂の変化に気づけるのは、竜神様ただ一人で、頬をピクピクと引つらせる姿が見える。
「じゃあ、ちょっとだけ、行ってきます」
そう告げて、私とイルト様は、魔石も魔法陣もなしに、クリスタルロード最深部へと転移した。
「ところで、ユミリア。ネシスの気配がすごく薄い気がするんだけど……何か、した?」
「あ、あはは……えっと……ガッツリ洗った?」
「洗う?」
私達が会おうとしているのは、神であった頃の仲間。そして、この場所で、敵対してきたあの影だ。ただ、あの時の様子を見る限り、きっと、今のネシスは、随分と壊れかけている。
「ネシス……」
扉を開けば、薄い影が、ユラユラと揺れている。
「イリアス、様……ユレイラ、様……?」
ぼんやりとした呟きで返してきたネシス。そうして、彼は、のっぺりとした影から、少しずつ、体を形作り……黒い短髪に、紫の瞳を持った、男の子の姿を取る。
「先ほどは、結界を張ってくれて、ありがとう」
「ごめんなさい。ネシス。記憶がないからって、私、酷いことを……」
そう、言葉を伝えるものの、ネシスは、私達の顔を見て、ポロポロと大粒の涙を流す。
「ずっと……ずっと……待って、ました…………」
そう言ったネシスは、滅多に見せない微笑みを、その顔に浮かべていた。
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