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第三章 少女期 女神編
第四百七話 候補の世界
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送り出した創世神様は、三十分くらいで帰ってきた。白い服を纏っていた創世神様は、ところどころ煤けていたり、破れていたり、青い何かがついていたりはしたものの、本人は至って元気で、観測道具を返却してもらってから、どの世界が最適かを探る。
「……候補は二つですね」
「うむ」
「まぁ、それが妥当なんだろうけど、僕としたら、こっちの方が良いと思うよ?」
候補として残ったのは、超能力が主な力であるSFチックな世界と、科学が発展したビーとエルな世界。どちらも安全が確認され、高い確率でイルト様やルクレチアの中にある命令式を打ち消してくれるのではないかと思われる世界だった。そして、セイが勧めるのはもちろん、超能力な世界の方だ。私だって、そこの生物の特殊性にさえ目を向けなければ、その世界にしたに違いない。
「でも、こっちの、超能力が使える世界だと……私達って、捕食対象だよね?」
超能力が使える世界に飛んだとして、そこに、人型の生き物は居ない。何ともヌルヌルしてそうな触手生物が跋扈した世界であり、とある神が、刑罰のために生み出した世界。……まぁ、つまりは、捕まったら、どっちの意味でも十八禁な展開になる世界だったりする。そして、そこの生物の強さを考えると、私達は生きていけるかどうか、ちょっと微妙だったりもする。最悪、化け物のお嫁さんなんてことになりかねない。
「……分かってるよ。こっちの、男の世界の方が安全だって。でも……でも、さ? さすがに、これは同じ男の性別を持つ者としては、怖いんだよっ!!」
そう、セイが指し示すのは、この世界に入ることによって起こる肉体変容について書かれた文面。この、ビーとエルな世界に入った男性は、神だろうがなんだろうがお構いなしに、子供が産める体になるらしい。ちなみに、創世神様にも確認したところ、表情が抜け落ちたため、きっと……そういうことなのだろう。
「大丈夫。イルト様がどんな姿になっても、私はイルト様を愛してるからっ!」
「いやっ、そうかもしれないけどっ、でもっ、子供って……しかも、女性は、男性を妊娠させることができるようになるってあるしっ! 色々問題あるでしょっ!!」
「イルト様が私の子供を……それも、良いかも……?」
「……あれ? おかしいの僕!?」
「ワシは……ワシは、どうすればいいんじゃ……。止めるべきか、いや、しかし、息子達の命には代えられんし……ぐぬぅ」
どんなに議論をしようとも、結論が変わることはない。どうあっても、イルト様とルクレチアを助ける方法として、この世界が有効なのだ。
「邪神の討伐が終わったら、行ってくるね」
「え? 待って? もしかして、説明役、僕? せめて、ミーシャを……って、ダメだ。まだ、休ませないと」
ミーシャは、先程の戦いでの消耗が激しかったせいで、現在、スヤスヤと眠っているところだ。最後まで力になりたいのだと訴えてはいたものの、無理をさせたいわけじゃなかったので、ミーシャの力が必要になれば起こすからと説得し、即席のベッドの上で休んでもらっている。
となれば、セイが頼れるのはただ一人。
「創世神様……」
「う、うむ。協力しよう」
セイの縋るような瞳を前に、断れなかった創世神様。なので、私は、創世神様に一つの提案をする。
「どうせなら――――」
セイの反対はあった。創世神様も良い顔はしなかったが、それでも、その提案は受け入れられ、後は、邪神討伐が終わるのを待つのみとなっていた。
「……候補は二つですね」
「うむ」
「まぁ、それが妥当なんだろうけど、僕としたら、こっちの方が良いと思うよ?」
候補として残ったのは、超能力が主な力であるSFチックな世界と、科学が発展したビーとエルな世界。どちらも安全が確認され、高い確率でイルト様やルクレチアの中にある命令式を打ち消してくれるのではないかと思われる世界だった。そして、セイが勧めるのはもちろん、超能力な世界の方だ。私だって、そこの生物の特殊性にさえ目を向けなければ、その世界にしたに違いない。
「でも、こっちの、超能力が使える世界だと……私達って、捕食対象だよね?」
超能力が使える世界に飛んだとして、そこに、人型の生き物は居ない。何ともヌルヌルしてそうな触手生物が跋扈した世界であり、とある神が、刑罰のために生み出した世界。……まぁ、つまりは、捕まったら、どっちの意味でも十八禁な展開になる世界だったりする。そして、そこの生物の強さを考えると、私達は生きていけるかどうか、ちょっと微妙だったりもする。最悪、化け物のお嫁さんなんてことになりかねない。
「……分かってるよ。こっちの、男の世界の方が安全だって。でも……でも、さ? さすがに、これは同じ男の性別を持つ者としては、怖いんだよっ!!」
そう、セイが指し示すのは、この世界に入ることによって起こる肉体変容について書かれた文面。この、ビーとエルな世界に入った男性は、神だろうがなんだろうがお構いなしに、子供が産める体になるらしい。ちなみに、創世神様にも確認したところ、表情が抜け落ちたため、きっと……そういうことなのだろう。
「大丈夫。イルト様がどんな姿になっても、私はイルト様を愛してるからっ!」
「いやっ、そうかもしれないけどっ、でもっ、子供って……しかも、女性は、男性を妊娠させることができるようになるってあるしっ! 色々問題あるでしょっ!!」
「イルト様が私の子供を……それも、良いかも……?」
「……あれ? おかしいの僕!?」
「ワシは……ワシは、どうすればいいんじゃ……。止めるべきか、いや、しかし、息子達の命には代えられんし……ぐぬぅ」
どんなに議論をしようとも、結論が変わることはない。どうあっても、イルト様とルクレチアを助ける方法として、この世界が有効なのだ。
「邪神の討伐が終わったら、行ってくるね」
「え? 待って? もしかして、説明役、僕? せめて、ミーシャを……って、ダメだ。まだ、休ませないと」
ミーシャは、先程の戦いでの消耗が激しかったせいで、現在、スヤスヤと眠っているところだ。最後まで力になりたいのだと訴えてはいたものの、無理をさせたいわけじゃなかったので、ミーシャの力が必要になれば起こすからと説得し、即席のベッドの上で休んでもらっている。
となれば、セイが頼れるのはただ一人。
「創世神様……」
「う、うむ。協力しよう」
セイの縋るような瞳を前に、断れなかった創世神様。なので、私は、創世神様に一つの提案をする。
「どうせなら――――」
セイの反対はあった。創世神様も良い顔はしなかったが、それでも、その提案は受け入れられ、後は、邪神討伐が終わるのを待つのみとなっていた。
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