9 / 21
第一章 第一フロア
戦闘開始
しおりを挟む
お腹が空いている様子の琴音に、僕は自然と『水蔦』へと視線を移す。しかし、そうした瞬間、琴音がブンブンと首を横に振る様子が見えたので、勧めるのはやめておく。
「じゃあ、琴音の安全地帯に向かうついでに食料調達をしに、外に出てみる?」
「外……」
扉の方を指差して言ってみれば、琴音は眉根を寄せて嫌そうにする。
「モンスターは、僕が倒すから、行ってみない?」
今、琴音には、モンスターへの対抗手段がない。だから、そう提案して後押しをしてみる。すると……。
「……う、ん、分かった」
渋々といった様子ではあったものの、どうにか琴音をうなずかせることに成功する。
「よし、それじゃあ、行こうか」
そうと決まれば、即、行動だ。ダラダラして心変わりされては堪らない。僕は、すぐに扉へと向かい、その扉を下から上へとスライドさせて外に出るのだった。
気配を殺して、ゆっくりゆっくり、琴音の記憶を頼りに進む。所々記憶が覚束ないのか、進む方向に悩むこともあって、少しだけ不安はあるものの、着々と進んでいく。
ゥゥ。
と、そんな時だった。何かの、声らしきものが聞こえてきたのは。
っ、どこから!?
僕は、すぐに剣を手に取り、戦いの準備を整える。その姿に琴音は怯えているようではあったものの、自分達の身を守るためには仕方がない。
ウゥゥ。
声が少し大きくなった気がして、僕は、なおのこと、意識を張り詰める。
「琴音。絶対に僕の後ろから出るな」
「うん」
小声で応酬し、僕はできる限り自分の感覚を研ぎ澄ませる。
剣を持ったのは、ここに来た時が初めてだし、特に武術をやっていたわけでもない。精々、幼い頃にチャンバラごっこをやったくらいの記憶しかない僕が、モンスターを倒せるかどうかは分からない。しかし、琴音の前で、そんな弱音は吐けなかった。
やるしか、ない。
ひんやりとした汗が伝う中、僕はゆっくり、ゆっくり進み出す。
ウゥゥウ。
声がまた、大きくなった。どうやら、この先にそれは居るらしい。
相手が人間だった場合は、間違って斬りかからないようにしようと思っているものの、この緊張感の中、どこまで対処できるかは全く分からない。恐慌に駆られて、襲い掛かってしまわないとも限らない。
「ふぅっ」
「っ」
落ち着こうと思って息を吐けば、琴音がピクリと反応する。きっと、琴音も緊張しているのだろう。
ゆっくり、ゆっくり、亀のように歩を進める。警戒すべきはモンスター。『冒険の書』には、『人食い花』しか書かれていなかったものの、モンスターの種類が一つだけとは思えない。ここが異世界だとするなら、モンスターは色々なものがあってもおかしくない。そして……。
「っ!」
視線の先に、何かの影を捉えた僕は、剣を握り込み、構える。すると、ソレも……明らかに人間サイズではあり得ない小ささのソレも、僕達に気づいて四足歩行で走り出す。
「ヂュウゥゥゥウッ」
「っ、ネズミっ!?」
「ひっ!」
それは、成猫ほどのサイズのネズミだった。僕は、即座にソレをモンスターだと判断して剣を降り下ろす。しかし、ネズミは素早かった。
「ヂュッ」
「きゃあっ!?」
「琴音!」
ネズミは、僕の剣を軽々と避けて、琴音へと襲い掛かる。ただ……。
「いやぁあっ!!」
「ヂュッ!?」
琴音の足元まで来たネズミは、見事なまでの琴音の蹴りを受けて飛んでいく。
「はっ?」
そして、軽い音を立てて壁に叩きつけられたネズミは、頭でも打ったのか、フラフラと覚束ない足取りになる。
「お、お兄ちゃんっ、今だよっ!」
「あっ、うん」
思わぬ事態に少し呆然としたものの、今がチャンスであることに間違いはない。僕は、ネズミに向かって素早く剣を降り下ろすのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回の敵はネズミ。
えっ?
もう一つの作品に出してるネズミじゃないかって?
な、なんのことやら?
な、名前は変えるつもりだし?
『マウマウ』以外の名前にしますよ?
……多分。
そ、それでは、また!
「じゃあ、琴音の安全地帯に向かうついでに食料調達をしに、外に出てみる?」
「外……」
扉の方を指差して言ってみれば、琴音は眉根を寄せて嫌そうにする。
「モンスターは、僕が倒すから、行ってみない?」
今、琴音には、モンスターへの対抗手段がない。だから、そう提案して後押しをしてみる。すると……。
「……う、ん、分かった」
渋々といった様子ではあったものの、どうにか琴音をうなずかせることに成功する。
「よし、それじゃあ、行こうか」
そうと決まれば、即、行動だ。ダラダラして心変わりされては堪らない。僕は、すぐに扉へと向かい、その扉を下から上へとスライドさせて外に出るのだった。
気配を殺して、ゆっくりゆっくり、琴音の記憶を頼りに進む。所々記憶が覚束ないのか、進む方向に悩むこともあって、少しだけ不安はあるものの、着々と進んでいく。
ゥゥ。
と、そんな時だった。何かの、声らしきものが聞こえてきたのは。
っ、どこから!?
僕は、すぐに剣を手に取り、戦いの準備を整える。その姿に琴音は怯えているようではあったものの、自分達の身を守るためには仕方がない。
ウゥゥ。
声が少し大きくなった気がして、僕は、なおのこと、意識を張り詰める。
「琴音。絶対に僕の後ろから出るな」
「うん」
小声で応酬し、僕はできる限り自分の感覚を研ぎ澄ませる。
剣を持ったのは、ここに来た時が初めてだし、特に武術をやっていたわけでもない。精々、幼い頃にチャンバラごっこをやったくらいの記憶しかない僕が、モンスターを倒せるかどうかは分からない。しかし、琴音の前で、そんな弱音は吐けなかった。
やるしか、ない。
ひんやりとした汗が伝う中、僕はゆっくり、ゆっくり進み出す。
ウゥゥウ。
声がまた、大きくなった。どうやら、この先にそれは居るらしい。
相手が人間だった場合は、間違って斬りかからないようにしようと思っているものの、この緊張感の中、どこまで対処できるかは全く分からない。恐慌に駆られて、襲い掛かってしまわないとも限らない。
「ふぅっ」
「っ」
落ち着こうと思って息を吐けば、琴音がピクリと反応する。きっと、琴音も緊張しているのだろう。
ゆっくり、ゆっくり、亀のように歩を進める。警戒すべきはモンスター。『冒険の書』には、『人食い花』しか書かれていなかったものの、モンスターの種類が一つだけとは思えない。ここが異世界だとするなら、モンスターは色々なものがあってもおかしくない。そして……。
「っ!」
視線の先に、何かの影を捉えた僕は、剣を握り込み、構える。すると、ソレも……明らかに人間サイズではあり得ない小ささのソレも、僕達に気づいて四足歩行で走り出す。
「ヂュウゥゥゥウッ」
「っ、ネズミっ!?」
「ひっ!」
それは、成猫ほどのサイズのネズミだった。僕は、即座にソレをモンスターだと判断して剣を降り下ろす。しかし、ネズミは素早かった。
「ヂュッ」
「きゃあっ!?」
「琴音!」
ネズミは、僕の剣を軽々と避けて、琴音へと襲い掛かる。ただ……。
「いやぁあっ!!」
「ヂュッ!?」
琴音の足元まで来たネズミは、見事なまでの琴音の蹴りを受けて飛んでいく。
「はっ?」
そして、軽い音を立てて壁に叩きつけられたネズミは、頭でも打ったのか、フラフラと覚束ない足取りになる。
「お、お兄ちゃんっ、今だよっ!」
「あっ、うん」
思わぬ事態に少し呆然としたものの、今がチャンスであることに間違いはない。僕は、ネズミに向かって素早く剣を降り下ろすのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回の敵はネズミ。
えっ?
もう一つの作品に出してるネズミじゃないかって?
な、なんのことやら?
な、名前は変えるつもりだし?
『マウマウ』以外の名前にしますよ?
……多分。
そ、それでは、また!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる