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第三章 閉ざされた心
第三十八話 転生者達(ルティアス視点)
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「ところでルティ、同僚の方の片翼と会わせてくれるというお話はどうなったんですの?」
リリスと一緒にお茶を飲んでいると、ふいに、そんなことを聞かれる。リリスが言っているのは、カイトちゃんのことだろう。しかし、今は時期が悪すぎる。
「それが、今は向こうがゴタゴタしててね、ちょっとそれどころじゃないんだ」
カイトちゃんは、未だに心を壊したままらしい。ライナードは、最近食事こそ摂るようになったものの、憔悴しきっているようで、わりと頻繁に、かの屋敷の執事から連絡が来る。しかし、今の状態で僕にできることはあまりない。それはジェドも同じだろう。
「ゴタゴタ?」
「うん」
詳しく知りたそうにするリリスに、僕は少しだけ事情を説明する。ライナードの片翼であるカイトちゃん自身が、魔本の餌食となって、現在療養中だと。
「魔本、ですか……」
「うん、ライナードの家にあったのは、真実を写し出すとされている魔本なんだけどね、結構きついものだったみたい」
魔本は、いつ作られたのか、誰が作ったのかも不明な存在。現在確認されているだけで、『真実』『悪意』『虚無』の魔本があり、それぞれが名家で封印されている状態だ。本来ならば滅してしまいたいものではあるものの、魔本は頑丈で、火にくべようと、水に沈めようと、どんな魔法をぶつけようと、全くの無傷のまま存在し続ける。しかも、魔本には意思があると言われ、それぞれが対象とする相手が違うというのも報告されていた。
「それで、その片翼さんは今は苦しんでいる状態だということですの?」
「うん、そうなるね」
そう言いながら、僕はできればリリスをライナードの屋敷に連れて行きたくないなと考える。もちろん、カイトちゃんの状態がよろしくないから遠慮するというのもあるが、ジェドが封印してくれたとはいえ、あの魔本がリリスに牙を剥いたらと思うと、怖くて仕方がない。カイトちゃんの様子とリリスの様子を重ね合わせてしまえば、絶対に連れて行きたくないと思えた。
「……ならば、余計にわたくしは行くべきですわねっ」
「っ、ど、どうして?」
連れて行きたくないと思っているにもかかわらず、リリスのライナードの屋敷に行こうと意気込む様子に僕は困惑する。
「当然でしょう? もし、彼女がわたくしと同じ世界から来たのであれば、元の世界の話をすることで少しは落ち着くかもしれませんもの」
リリスの言うことには一理ある。もし、本当に、カイトちゃんが異世界から召喚されていて、リリスと同じ世界から来ているのだとすれば、今、心を壊してしまっているカイトちゃんにとって、良い刺激になるかもしれなかった。
「そ、れは……」
「ですので、しっかりと約束を取ってきてくださいましね!」
にっこりと微笑んでそう言われてしまえば、僕にはうなずく以外の選択肢がなくなる。この笑顔に、僕はとても弱かった。
「でも、僕から離れないことを約束してくれる?」
「? それは構いませんわよ?」
「うん、それじゃあ、許可をもらってくるよ」
と、いっても、きっと受付はライナードではなく、ドム爺となるだろう。そう思いながら僕はドム爺に面会の許可をもらって……翌日、なぜか、ジェドと、ジェドの片翼も一緒にライナードの屋敷へと向かうことになる。ただ、予想外だったのが……。
「うわぁっ! リリス・シャルティー様が居る! 本物!? 本物だぁっ!」
「えっ!? ちょっ、何ですの!?」
「『夢愛』の悪役令嬢がなんでここにいるのか知らないけどっ! きゃあぁっ! こんな美少女、犯罪よっ、犯罪!」
「『夢愛』? まさか、あなた、転生者ですの?」
「……えっ? もしかして、リリス様も?」
「……えぇ、そうですわ」
そんな会話が、リリスと、ジェドの片翼、萌木色の髪と紫の瞳、紫の角を持つローレルさんが出会った瞬間繰り広げられ、僕とジェドがオロオロしている間に、なぜか二人は意気投合してしまう。そして……。
「そういえば、『夢愛』の二作目は聖女召喚から始まるはずだし……もしかして、噂のライナードさんの片翼ってカイリちゃん?」
「そうなんですの?」
「いや、ライナードの片翼は、カイトちゃんだよ」
「えっ!? ……ま、まぁ、ゲームとは色々違うってことだよね?」
何かを知っているらしいローレルさんとともに、僕達は馬車に乗ってライナードの屋敷へと向かうのだった。
リリスと一緒にお茶を飲んでいると、ふいに、そんなことを聞かれる。リリスが言っているのは、カイトちゃんのことだろう。しかし、今は時期が悪すぎる。
「それが、今は向こうがゴタゴタしててね、ちょっとそれどころじゃないんだ」
カイトちゃんは、未だに心を壊したままらしい。ライナードは、最近食事こそ摂るようになったものの、憔悴しきっているようで、わりと頻繁に、かの屋敷の執事から連絡が来る。しかし、今の状態で僕にできることはあまりない。それはジェドも同じだろう。
「ゴタゴタ?」
「うん」
詳しく知りたそうにするリリスに、僕は少しだけ事情を説明する。ライナードの片翼であるカイトちゃん自身が、魔本の餌食となって、現在療養中だと。
「魔本、ですか……」
「うん、ライナードの家にあったのは、真実を写し出すとされている魔本なんだけどね、結構きついものだったみたい」
魔本は、いつ作られたのか、誰が作ったのかも不明な存在。現在確認されているだけで、『真実』『悪意』『虚無』の魔本があり、それぞれが名家で封印されている状態だ。本来ならば滅してしまいたいものではあるものの、魔本は頑丈で、火にくべようと、水に沈めようと、どんな魔法をぶつけようと、全くの無傷のまま存在し続ける。しかも、魔本には意思があると言われ、それぞれが対象とする相手が違うというのも報告されていた。
「それで、その片翼さんは今は苦しんでいる状態だということですの?」
「うん、そうなるね」
そう言いながら、僕はできればリリスをライナードの屋敷に連れて行きたくないなと考える。もちろん、カイトちゃんの状態がよろしくないから遠慮するというのもあるが、ジェドが封印してくれたとはいえ、あの魔本がリリスに牙を剥いたらと思うと、怖くて仕方がない。カイトちゃんの様子とリリスの様子を重ね合わせてしまえば、絶対に連れて行きたくないと思えた。
「……ならば、余計にわたくしは行くべきですわねっ」
「っ、ど、どうして?」
連れて行きたくないと思っているにもかかわらず、リリスのライナードの屋敷に行こうと意気込む様子に僕は困惑する。
「当然でしょう? もし、彼女がわたくしと同じ世界から来たのであれば、元の世界の話をすることで少しは落ち着くかもしれませんもの」
リリスの言うことには一理ある。もし、本当に、カイトちゃんが異世界から召喚されていて、リリスと同じ世界から来ているのだとすれば、今、心を壊してしまっているカイトちゃんにとって、良い刺激になるかもしれなかった。
「そ、れは……」
「ですので、しっかりと約束を取ってきてくださいましね!」
にっこりと微笑んでそう言われてしまえば、僕にはうなずく以外の選択肢がなくなる。この笑顔に、僕はとても弱かった。
「でも、僕から離れないことを約束してくれる?」
「? それは構いませんわよ?」
「うん、それじゃあ、許可をもらってくるよ」
と、いっても、きっと受付はライナードではなく、ドム爺となるだろう。そう思いながら僕はドム爺に面会の許可をもらって……翌日、なぜか、ジェドと、ジェドの片翼も一緒にライナードの屋敷へと向かうことになる。ただ、予想外だったのが……。
「うわぁっ! リリス・シャルティー様が居る! 本物!? 本物だぁっ!」
「えっ!? ちょっ、何ですの!?」
「『夢愛』の悪役令嬢がなんでここにいるのか知らないけどっ! きゃあぁっ! こんな美少女、犯罪よっ、犯罪!」
「『夢愛』? まさか、あなた、転生者ですの?」
「……えっ? もしかして、リリス様も?」
「……えぇ、そうですわ」
そんな会話が、リリスと、ジェドの片翼、萌木色の髪と紫の瞳、紫の角を持つローレルさんが出会った瞬間繰り広げられ、僕とジェドがオロオロしている間に、なぜか二人は意気投合してしまう。そして……。
「そういえば、『夢愛』の二作目は聖女召喚から始まるはずだし……もしかして、噂のライナードさんの片翼ってカイリちゃん?」
「そうなんですの?」
「いや、ライナードの片翼は、カイトちゃんだよ」
「えっ!? ……ま、まぁ、ゲームとは色々違うってことだよね?」
何かを知っているらしいローレルさんとともに、僕達は馬車に乗ってライナードの屋敷へと向かうのだった。
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