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第三章 セイクリア教国の歪み
第二百三十六話 捕縛作戦開始(二)
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大きな広間を前にして、聖騎士達は動く。
まずは、『防音結界』。広間とその先にある扉の奥の部屋を包み込むようにして張る。これは、これから起こることをマギウスに悟らせないためだ。
次に、結界内のものの補強。気休めでも、調度品の類いを壊したくないため、結界内のものは全て補強してしまう。そして、この段階で、グラハムは異常に気づく。
最後に、グラハムが逃げ出す前に強固な結界。バルディスと我輩を内に入れての結界は、聖騎士十人がかりで作り出すものだ。そうやすやすとは破れない。
「何事だ?」
大きな音を立てて扉から現れたグラハムは、すぐに眉間にしわを寄せて大剣を抜き放つ。
「曲者め、何をした?」
「そうだな。とりあえず、今は、聖騎士長殿を閉じ込めただけだな」
「にゃあ(さぁっ、お縄につくのだっ)」
「そう、かっ!」
急激に距離をつめて、大剣を降り下ろしてきたグラハムに、我輩とバルディスは互いに左右反対方向へと避ける。
「『炎弾』っ」
バルディスが発動した魔法は、的確にグラハムの胴体へと向かう。しかし、グラハムはそれらを大剣の一振りで蹴散らす。
「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリプラスっ!)」
バルディスの攻撃の合間を縫って、我輩、自慢の爪で顔面を引っ掻くつもりで攻撃する。
ガキンッ!
大剣と爪がかち合い、大きな音が響く。
「っ、使い魔、かっ!」
「にゃ(いや、違うのだ)」
なぜか使い魔として認識されてしまう我輩は、冷静に突っ込んで一先ず後退する。
「『炎槍』『炎弾』」
バルディスは『炎槍』を上から、『炎弾』を真正面から繰り出してグラハムを壁に追いやる。しかし……。
「ちっ、セイクリア神よ。お力をお貸しください。『破魔一閃』っ」
「おわっ」
「にゃー(すごいのだー)」
何かを呟いたかと思えば、グラハムの大剣の一振りで斬撃が白い光を放って飛んできた。ただ、対象はバルディスのみだったらしく、我輩にはかすりもしない。バルディスがそれをしゃがんで避けるのを確認しながら、我輩、斬撃を放ってがら空きとなったグラハムの腹へと飛び込む。
「にゃおーんっ! にゃおーんっ! にゃおーんっ! にゃーん(猫流奥義、クルクルアタックっ! クルクルアタックっ! クルクルアタックっ! 目が回るー)」
「ぐっ、おぉぉぉおっ!」
三回の手加減つきのクルクルアタックを行った我輩は、さすがに目を回してふらつく。攻撃自体は的確にグラハムへとダメージを与えたはずだが、まだ倒れる様子はない。
「『炎縛乱舞』」
目を回しながらも何とか後退した我輩が見たのは、炎の縄らしきものが地面から一斉に伸びて、グラハムへと襲いかかる光景だった。
「この、程度ぉっ!」
「にゃ(『軽量化』なのだ)」
炎の縄を大剣で次々に払っていくグラハム。その間に、我輩、次の攻撃の準備を済ませてしまう。
「にゃっ! (とうっ!)」
我輩、軽く助走をつけて飛び上がると、一気にグラハムの頭上へと移動する。
「にゃー。にゃおーんっ! (頭上注意なのだ。猫流奥義、ドッスンっ!)」
「ぐぉっ!?」
「タロっ!?」
的確に頭上へと落ちた我輩が最後に見たのは、ゆっくりと倒れていくグラハムと、我輩もろとも拘束しようとする炎の縄達だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はいはい、今回はタロが大活躍…………最後は、あれですけどね?
ところどころ、タロに突っ込み要素が入る回でした。
次回はいよいよ、グラハムの『操術』解除となります。
それでは、また!
まずは、『防音結界』。広間とその先にある扉の奥の部屋を包み込むようにして張る。これは、これから起こることをマギウスに悟らせないためだ。
次に、結界内のものの補強。気休めでも、調度品の類いを壊したくないため、結界内のものは全て補強してしまう。そして、この段階で、グラハムは異常に気づく。
最後に、グラハムが逃げ出す前に強固な結界。バルディスと我輩を内に入れての結界は、聖騎士十人がかりで作り出すものだ。そうやすやすとは破れない。
「何事だ?」
大きな音を立てて扉から現れたグラハムは、すぐに眉間にしわを寄せて大剣を抜き放つ。
「曲者め、何をした?」
「そうだな。とりあえず、今は、聖騎士長殿を閉じ込めただけだな」
「にゃあ(さぁっ、お縄につくのだっ)」
「そう、かっ!」
急激に距離をつめて、大剣を降り下ろしてきたグラハムに、我輩とバルディスは互いに左右反対方向へと避ける。
「『炎弾』っ」
バルディスが発動した魔法は、的確にグラハムの胴体へと向かう。しかし、グラハムはそれらを大剣の一振りで蹴散らす。
「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリプラスっ!)」
バルディスの攻撃の合間を縫って、我輩、自慢の爪で顔面を引っ掻くつもりで攻撃する。
ガキンッ!
大剣と爪がかち合い、大きな音が響く。
「っ、使い魔、かっ!」
「にゃ(いや、違うのだ)」
なぜか使い魔として認識されてしまう我輩は、冷静に突っ込んで一先ず後退する。
「『炎槍』『炎弾』」
バルディスは『炎槍』を上から、『炎弾』を真正面から繰り出してグラハムを壁に追いやる。しかし……。
「ちっ、セイクリア神よ。お力をお貸しください。『破魔一閃』っ」
「おわっ」
「にゃー(すごいのだー)」
何かを呟いたかと思えば、グラハムの大剣の一振りで斬撃が白い光を放って飛んできた。ただ、対象はバルディスのみだったらしく、我輩にはかすりもしない。バルディスがそれをしゃがんで避けるのを確認しながら、我輩、斬撃を放ってがら空きとなったグラハムの腹へと飛び込む。
「にゃおーんっ! にゃおーんっ! にゃおーんっ! にゃーん(猫流奥義、クルクルアタックっ! クルクルアタックっ! クルクルアタックっ! 目が回るー)」
「ぐっ、おぉぉぉおっ!」
三回の手加減つきのクルクルアタックを行った我輩は、さすがに目を回してふらつく。攻撃自体は的確にグラハムへとダメージを与えたはずだが、まだ倒れる様子はない。
「『炎縛乱舞』」
目を回しながらも何とか後退した我輩が見たのは、炎の縄らしきものが地面から一斉に伸びて、グラハムへと襲いかかる光景だった。
「この、程度ぉっ!」
「にゃ(『軽量化』なのだ)」
炎の縄を大剣で次々に払っていくグラハム。その間に、我輩、次の攻撃の準備を済ませてしまう。
「にゃっ! (とうっ!)」
我輩、軽く助走をつけて飛び上がると、一気にグラハムの頭上へと移動する。
「にゃー。にゃおーんっ! (頭上注意なのだ。猫流奥義、ドッスンっ!)」
「ぐぉっ!?」
「タロっ!?」
的確に頭上へと落ちた我輩が最後に見たのは、ゆっくりと倒れていくグラハムと、我輩もろとも拘束しようとする炎の縄達だった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はいはい、今回はタロが大活躍…………最後は、あれですけどね?
ところどころ、タロに突っ込み要素が入る回でした。
次回はいよいよ、グラハムの『操術』解除となります。
それでは、また!
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