我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百三十五話 捕縛作戦開始(一)

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 説得は、とても大変だった。バルディスは、我輩が猫に化けた竜だと説明し、自身はそれを御するだけの能力を持っていると説明しても、オルグとハッシュは納得しなかった。


 我輩、竜ではないのだがなぁ……。


 しかし、マルスという人物がこの話し合いの場に来て、マルスが『猫の方は分かりませんが、バル殿の方はかなりの実力者でしょう』と言ってくれたことによって、どうにかバルディスの案は通ることとなったのだった。


「後、教皇様についてですが、教皇様は不審者に操られたディルク様によって呪いをかけられています。可能であるならば、我々はディルク様にかけられた『操術』も解きましょう」

「なっ!? ……そうか、兄上が呪いを……」

「バル殿。どうか、ディルク様と我が兄を、よろしくお願いいたします」


 オルグは額に手をやり、大きくため息を吐く。そして、それを聞いていたマルスが何やらおかしなお願いの仕方をしてきたため、我輩、気になって『探索能力』でマルスを調べてみる。


『マルス・ヴェリー。

男。

二十一歳。

聖騎士第一番隊副隊長。

グラハム・ヴェリーの弟』


 ……うむ、マルスは、グラハムの弟なのだな。


 人間の顔の違いなどあまり分からない我輩では、判断できなかったが、もしかしたら似ているのかもしれない。

 それから、詳しく作戦を詰め、聖騎士達が完全にサポートに回ることを何となく確認した我輩は、少しウトウトとしながら頑張る。


「マルス。これからすぐに、グラハム捕縛に入る。兄上の方には、あの不審者が居ない場合に限って閉じ込めるのだぞ?」

「はっ!」

「ハッシュ。お前はバル殿の案内役だ。しかと勤めよ」

「はっ!」


 どうやら、作戦がそろそろ決行されるらしい。ラーミアとディアムは、自分の出番がないことを残念に思っているのかもしれないが、何も意見する様子はなかった。これはきっと、我輩とバルディスが信頼されている証しなのだ。


「これより、ディルク兄上、及び、聖騎士長の奪還作戦と、我々を混乱に陥れた不審者の捕縛作戦を開始するっ」

「「ははっ!」」

「承知した」

「私達は何の役割もありませんが、応援だけはしておきますわね」

「俺、万が一、備えて、待機」

「にゃあっ! (我輩、頑張るのだっ)」


 聖騎士長は、どうやらとても強いらしい。だから、我輩も気を引き締めてかからなければなるまい。……例え、今、どんなに眠くても。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


……前回、久々の更新でちょっと間違えてました。

バルディス、ここでは丁寧な話し方にしていたはずなのに、いつもの話し方に戻してしまってました。

少し前に修正をかけましたので、今は丁寧な話し方に戻っています。

早めに気づいてよかった……。

それでは、また!
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