我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第二百六十五話 竜の森(一)

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 セイクリア教国を去った我輩達は、北へ、北へと進んでいた。北東にはミルテナ帝国があるらしく、最初はそこへ向かうことも検討されたものの、今はファルシス魔国に向かうことが優先だということで、北のカレッタ小王国へ向かっていた。ただし……。


「グギャアァァアッ」

「ひぃぃぃいっ! た、助けてぇっ!!」


 そこは、商人達が行き交うような安全なルートではない。むしろ、危険すぎて、誰も寄り付かないようなルートだ。

「ゴォォォオッ」

「ひゃあっ!?」


 『竜の森』と呼ばれるそこは、確かに地図上ではカレッタ小王国へ向かう直線上に存在している。しかし、その名の通り、そこには竜が居る。


「にゃ……にゃあ(確かに、竜では……あるな)」


 我輩、この竜の森の名前を聞いて期待していたのは、かつて出会った白竜のリツのような者だった。もしかしたら、仲良くなれる竜が居るかもしれないと、危険な場所だと伝え聞きながらも楽しみにしていたのだ。しかし、その期待は裏切られることになった。


「死ぬっ。僕、死んじゃうっ」


 厳つい顔にゴツい体、バッチリメイクを施して、フリフリのゴシックロリータの衣装を身に纏った大男、マギウス・オルビリオの悲鳴を聞きながら、我輩、そやつへと視線を移す。


「にゃー(これは、どう見ても、竜なのだ)」


 そこには、かつて飼い主が教えてくれた、ティラノサウルスとやらが大口を開けて迫っていた。


「元四天王といっても、戦闘能力は高くないんだな」

「そのようですね。残念ですが」

「俺の方が、強い?」


 腰を抜かして叫ぶマギウスを、我輩達は全員で観賞しながら、危険な敵を排除していく。
 この森に入ることを最後まで反対していたマギウスは、もはや涙に濡れて顔が恐ろしいことになっているのだが、そこに突っ込む者はここには居ない。我輩以外の全員は、器用にマギウスへ視線を向けないようにしながら、襲い来る恐竜達を倒していた。


「『火槍かそう』」

「『影弓かげゆみ』」

「『大滝おおだき』」

「ひぃっ、ひいぃぃっ」


 マギウスの叫びに釣られるのか、それとも、別の原因があるのかは分からないものの、とにかくこの森の恐竜達は積極的だった。積極的に、我輩達へと襲いかかり……肉の塊になっていた。


「にゃおーんっ! (猫流奥義、ガリガリプラスっ!)」


 我輩達は、そうやって食料を生み出しながら、森をちゃくちゃくと進んで行くのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


スマホ、機種変更しました。

結局、故障していたらしく、随分と長く使い続けていたこともあっての変更です。

ちょっとだけ、まだ慣れませんが、そのうち慣れて簡単に書けるようになると思います。

それでは、また!
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