我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百四十六話 ロギーの記憶(一)

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「俺は、魔王様や他の四天王達と、かつて瘴気溜まりがあった場所に調査のため赴いていた。そして、そこで襲撃に遭い、我々は全員敗れ、気がつけば邪神教徒として、各地に瘴気を発生させる儀式を行っていた」

「瘴気、か……それで、具体的にどうやって瘴気を発生させたんだ?」

「ううむ、それ、なのだが……覚えているのは、巨大な魔法陣の上に、様々な生き物の遺体を積み上げていたことだ。時には、遺体の調達のために人間を殺すこともあった。今考えると、何ともおぞましいことだが、その時は、それが正義だと疑ってもおらんだった」


 とりあえず、敵対の意思はないとのことで、鎖を解いて対話をしている我輩達は、サナフ教国とセイクリア教国で見た異常な場所のことをそれぞれ思い浮かべる。


 あれが、最終的に『邪神の眼』となるはずであったのか……。


 知っていれば、我輩はあの場所に何人たりとも立ち入れないように封鎖くらいしていたかもしれないが、あれがどんなものなのかを知ったのは今だ。過去に戻ることは到底できない。


「サナフ教国とセイクリア教国にその儀式の場所があることは知っているか?」

「ぬっ、確かに、それらの国にも儀式の場所はあったが……見たのか?」

「あぁ、具体的に何かは分からなかったが、神の類いを召喚するための魔法陣ではないかという予測だけはしている」

「そう、か……俺が知っているのは、サナフ教国、セイクリア教国、カレッタ小王国、ルビーナ商国、ボスティア海国、あとは、ミルテナ帝国に五ヶ所と、ファルシス魔国に三ヶ所、その儀式の場所があるということくらいか」

「そんなにあるのか!?」

「にゃ……(にゃんと……)」


 あまりの多さに絶句していると、ロギーはガシガシと頭を掻いて告げる。


「うむ、詳しくは知らぬが、生け贄を捧げれば捧げるほど、邪神の復活は早まるとか言っていたような気がする」

「それは、誰が言っていたのか分かりますか?」

「誰……? ううむ、すまぬ。誰だったかまでは覚えておらぬらしい」


 すまなそうに眉を下げるロギーは、偽っているようには見えない。本当に覚えてはいないのだろう。


「お前以外の四天王がどうなったのかは分かるか?」

「すまぬが、それも分からぬ。もしかすると、マギウスのようにおぞましい姿に変えられていて覚えておらぬだけかもしれぬが……四天王のことも、魔王様のことも、呪いを受けた後は全く分からぬのだ」


 ……マギウスの姿が呪いのせいだと思われているのは心外なのだが……ここは、突っ込んでも良いところなのだろうか?


 見れば、マギウスは四つん這いでうなだれて、『おぞましい……ははっ、そう、だよね。うん……』とブツブツ呟いている。こういう時は無視に限るという経験則で、我輩は無視を決め込み、再びロギーの話に耳を傾けた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


マギウスが若干誤解されておりますが……ま、まぁ、何とかなるでしょうっ。

次回も、ロギーの説明回になります。

それでは、また!
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