351 / 574
第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百五十話 次なる目標
しおりを挟む
「ふむ、これで良かろう」
気絶から回復したマギウスは、目の前に移る自分の新たな姿に、頬を引きつらせる。
「諦めろ。マギウス。まだ、今の方がまともだ」
「そうです。ここで反論しても良いことなど何もありませんわ」
「諦め、大事」
バルディス、ラーミア、ディアムの言葉に、新生マギウスはがっくりとうなだれる。
「にゃ(うむ、似合っているのだ)」
「これは……いや、マギウスは男、マギウスは男……」
我輩の賛辞とともに、ロギーは頬を赤く染めて、ブツブツと呟き続ける。
む? マギウスが男なのは匂いで分かるに決まっているのだが……ロギーはどうしたのだ?
ロギーの様子を不審に思いながら眺めていると、飼い主は満足げに宣言する。
「これぞ、男の娘であるな」
「どこが男の子に見えるんだよぉっ!!」
プルプルと震えたかと思えば、急に吠えたマギウス。その姿は、金髪碧眼の少女……にしか見えない男。ちゃんと喉仏は出ているし、声は……元々マギウスの声自体が中性的だったため、違和感はない。美しいというよりも、可愛らしいと称せるマギウスは、白地に桜を散らした軍服らしきもので華奢な体を包み込んでいる。何とも庇護欲がそそられそうなその姿で、マギウスは地面に手をついて嘆く。
「こんな、こんな姿……でも、今までより、よっぽどかマシとか……」
「ま、まぁ、元気を出せ。マギウス」
赤い顔で優しくポンポンと肩を叩くロギーに、マギウスはそのままガクリと頭を垂れた。
「にゃあ? (ところで、これからどうするのだ?)」
ひとまず、『邪神の眼』は塞いだし、邪神教徒の問題もある程度解決しつつある。もちろん、他のアジトを探し出して潰す必要はあるのだろうが、ロギーはその情報をあまり持っていなかったため、ほとんどはしらみ潰しになりそうだ。ただ、他にも『邪神の眼』があるという情報を得た以上、ゆっくりはしていられない。
「それなのだが、俺は奴隷市を潰す必要があるかもしれぬと思っておる」
「奴隷市?」
ロギーの言葉に反応したバルディス。そんなバルディスを見て、ロギーは大きくうなずく。
「違法な奴隷市だ。そこで、俺は生け贄を格安で買っていた記憶がある。もしかしたら、邪神教と何か繋がりがあるかもしれぬ」
「……なら、ひとまずはそれを目標にするか」
「にゃっ(分かったのだっ)」
次なる目標を奴隷市と定めて、我輩は巨大化し、全員を背に乗せてルトへ向けて駆け出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さぁ、カレッタ小王国に引き返すタロ達。
奴隷市ではどんな出会いがあるのかっ!?
やっと、国の中心の話に入っていけそうです。
それでは、また!
気絶から回復したマギウスは、目の前に移る自分の新たな姿に、頬を引きつらせる。
「諦めろ。マギウス。まだ、今の方がまともだ」
「そうです。ここで反論しても良いことなど何もありませんわ」
「諦め、大事」
バルディス、ラーミア、ディアムの言葉に、新生マギウスはがっくりとうなだれる。
「にゃ(うむ、似合っているのだ)」
「これは……いや、マギウスは男、マギウスは男……」
我輩の賛辞とともに、ロギーは頬を赤く染めて、ブツブツと呟き続ける。
む? マギウスが男なのは匂いで分かるに決まっているのだが……ロギーはどうしたのだ?
ロギーの様子を不審に思いながら眺めていると、飼い主は満足げに宣言する。
「これぞ、男の娘であるな」
「どこが男の子に見えるんだよぉっ!!」
プルプルと震えたかと思えば、急に吠えたマギウス。その姿は、金髪碧眼の少女……にしか見えない男。ちゃんと喉仏は出ているし、声は……元々マギウスの声自体が中性的だったため、違和感はない。美しいというよりも、可愛らしいと称せるマギウスは、白地に桜を散らした軍服らしきもので華奢な体を包み込んでいる。何とも庇護欲がそそられそうなその姿で、マギウスは地面に手をついて嘆く。
「こんな、こんな姿……でも、今までより、よっぽどかマシとか……」
「ま、まぁ、元気を出せ。マギウス」
赤い顔で優しくポンポンと肩を叩くロギーに、マギウスはそのままガクリと頭を垂れた。
「にゃあ? (ところで、これからどうするのだ?)」
ひとまず、『邪神の眼』は塞いだし、邪神教徒の問題もある程度解決しつつある。もちろん、他のアジトを探し出して潰す必要はあるのだろうが、ロギーはその情報をあまり持っていなかったため、ほとんどはしらみ潰しになりそうだ。ただ、他にも『邪神の眼』があるという情報を得た以上、ゆっくりはしていられない。
「それなのだが、俺は奴隷市を潰す必要があるかもしれぬと思っておる」
「奴隷市?」
ロギーの言葉に反応したバルディス。そんなバルディスを見て、ロギーは大きくうなずく。
「違法な奴隷市だ。そこで、俺は生け贄を格安で買っていた記憶がある。もしかしたら、邪神教と何か繋がりがあるかもしれぬ」
「……なら、ひとまずはそれを目標にするか」
「にゃっ(分かったのだっ)」
次なる目標を奴隷市と定めて、我輩は巨大化し、全員を背に乗せてルトへ向けて駆け出すのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さぁ、カレッタ小王国に引き返すタロ達。
奴隷市ではどんな出会いがあるのかっ!?
やっと、国の中心の話に入っていけそうです。
それでは、また!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
325
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる