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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百五十話 次なる目標

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「ふむ、これで良かろう」


 気絶から回復したマギウスは、目の前に移る自分の新たな姿に、頬を引きつらせる。


「諦めろ。マギウス。まだ、今の方がまともだ」

「そうです。ここで反論しても良いことなど何もありませんわ」

「諦め、大事」


 バルディス、ラーミア、ディアムの言葉に、新生マギウスはがっくりとうなだれる。


「にゃ(うむ、似合っているのだ)」

「これは……いや、マギウスは男、マギウスは男……」


 我輩の賛辞とともに、ロギーは頬を赤く染めて、ブツブツと呟き続ける。


 む? マギウスが男なのは匂いで分かるに決まっているのだが……ロギーはどうしたのだ?


 ロギーの様子を不審に思いながら眺めていると、飼い主は満足げに宣言する。


「これぞ、男の娘であるな」

「どこが男の子に見えるんだよぉっ!!」


 プルプルと震えたかと思えば、急に吠えたマギウス。その姿は、金髪碧眼の少女……にしか見えない男。ちゃんと喉仏は出ているし、声は……元々マギウスの声自体が中性的だったため、違和感はない。美しいというよりも、可愛らしいと称せるマギウスは、白地に桜を散らした軍服らしきもので華奢な体を包み込んでいる。何とも庇護欲がそそられそうなその姿で、マギウスは地面に手をついて嘆く。


「こんな、こんな姿……でも、今までより、よっぽどかマシとか……」

「ま、まぁ、元気を出せ。マギウス」


 赤い顔で優しくポンポンと肩を叩くロギーに、マギウスはそのままガクリと頭を垂れた。


「にゃあ? (ところで、これからどうするのだ?)」


 ひとまず、『邪神の眼』は塞いだし、邪神教徒の問題もある程度解決しつつある。もちろん、他のアジトを探し出して潰す必要はあるのだろうが、ロギーはその情報をあまり持っていなかったため、ほとんどはしらみ潰しになりそうだ。ただ、他にも『邪神の眼』があるという情報を得た以上、ゆっくりはしていられない。


「それなのだが、俺は奴隷市を潰す必要があるかもしれぬと思っておる」

「奴隷市?」


 ロギーの言葉に反応したバルディス。そんなバルディスを見て、ロギーは大きくうなずく。


「違法な奴隷市だ。そこで、俺は生け贄を格安で買っていた記憶がある。もしかしたら、邪神教と何か繋がりがあるかもしれぬ」

「……なら、ひとまずはそれを目標にするか」

「にゃっ(分かったのだっ)」


 次なる目標を奴隷市と定めて、我輩は巨大化し、全員を背に乗せてルトへ向けて駆け出すのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さぁ、カレッタ小王国に引き返すタロ達。

奴隷市ではどんな出会いがあるのかっ!?

やっと、国の中心の話に入っていけそうです。

それでは、また!
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