我輩は紳士である（猫なのに、異世界召喚されたのだが）

第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百九十九話 一人ぼっちで

「にゃあ……（解析……）」


　様々な情報を仕入れた飼い主は、我輩を城に残してバルディス達のところへと向かってしまった。そう、我輩、置いてきぼりにされたのだ。


「にゃあ……（飼い主……）」


　もちろん、目的は分かっている。我輩なら、猫嫌いでもない限り、この城の者達に可愛がってもらえるし、その間に解析を行うことが可能だからだ。後は、城中に仕掛けられたという魔法具の回収も、我輩なら怪しまれずに行えるというのもあった。


「にゃ（それでも寂しいのだ）」


　テクテクと歩いて、我輩を可愛がってくれたレディ……メイドというらしい彼女についていき、解析を続けた我輩は、しばらくすると解析を終え、彼女から離れる。
　我輩、城歩きを誰にも邪魔されないですむようにと、ルーデルから特殊な首輪をもらって、今はそれを嵌めているのだ。飼い主は、『首の肉に埋もれて、意味がないのではないだろうか？』とルーデルに問いかけていたが、どうやらこの首輪、その意匠はもちろんのこと、込められている魔力の方も重要らしく、首輪が多少見えずとも、魔力さえ感知すれば、この城の者なら我輩の好きなように行動させてくれるとのことだった。この首輪は、動物の身分証のようなものらしい。
　飼い主に見せてもらった、植物の蔦が絡まり合ったような形状の金色の首輪を思い浮かべながら、我輩、次のターゲットを探すべく、フラフラと歩き回る。


「にゃっ。にゃあっ（魔法具を見つけたのだっ。『収納』なのだっ）」

《残り魔法具は五十一個です》

「……にゃー（……多いのだ）」


　魔法具の回収は、タマにも手伝ってもらっている。具体的には、魔法具の残りを教えてもらっているのだ。


「にゃ（あっちに行くのだ）」


　代わり映えのしない廊下を歩いていると、ふいに、綺麗な庭が曲がり角の先に映り、我輩、迷うことなくそちらへと進む。その庭には、一人の男が寝転がっているようだったから、きっと日向ぼっこに最適な場所なのだろう。


「にゃー（『探索』なのだ）」


　それは、何気ない呟きで、能力を発動させるつもりなどさらさらなかった。しかし……。


『ジャン・ドレイク

三十九歳

男

庭師

現在、襲撃者に襲われ、瀕死の重症を負っており、このままだと十分後に死亡確定』


「にゃあっ！？　（にゃんとっ！？）」


　その結果を見て、我輩、大慌てで彼に駆け寄るのだった。


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バルディス達に続いて、タロも新たな出会いがある予感？

それでは、また！