我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第四百八話 帰るのだ

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 んむむむむ……。


「にゃっ! (ささみっ!)」


 ガバッと身を起こした我輩は、その直後、はっきりと目を覚まして、辺りを見渡す。


「にゃ(騎士舎なのだ)」


 武骨な造りの建物を見て、我輩、すぐに結論を出す。どうやら、解析と『心術補助魔法具』の回収に動き回っている間に、疲れて眠ってしまっていたらしい。


「ふっ、くくっ、ささみって……ふふふっ」


 ついでに、頭の上から降ってきた言葉に振り向いてみると、そこにはロックが……と、いうより、我輩、ロックの膝の上で眠っていたようなのだ。


「にゃー(おはようなのだ)」

「おはよう。と、いっても、もう夜だけどな」


 そう言って、我輩の体を持ち上げて窓の外を見せてくれる。


 ふむ? 夜?


「……にゃーっ! (……帰らなければなのだっ!)」


 さすがに、こんなに遅くまで行動をしていれば、飼い主が心配するはずだ。……心配、してくれるはずだ。
 昔、日本で外で遊び回って、迷子になった時。飼い主は『よく戻ってこれたな』と言って抱き締めてくれたのだ。それがどこか、笑いを含んでいたような気がするのは、きっと、きっと、気のせいなのだ。


「ん? 帰るのか? なら、城まで送ろう」

「にゃ(ありがとうなのだ)」


 城に行けば、飼い主はそこに滞在しているはずだからきっと会える。バルディスだって、夜になった今、城の方に戻ってきてくれていることだろう。

 ジャンやロックが、大柄な騎士に何かを話している間、我輩、ささっと身嗜みを整えて準備をしておく。そして……。


「では、俺達は一度戻らせてもらいます」

「あぁ、とりあえず、騎士を一人つけるから、道中気をつけてな」

「はい」


 ジャンが騎士とそんな会話をした直後、我輩はロックに抱き上げられて運ばれる。


「タロ、時間があるなら、家で何か食べて帰るか?」

「にゃっ……にゃあ(ぜひっ……い、いや、止めておくのだ)」


 一瞬食べ物に釣られそうになったものの、今は帰らなければならないという考えを優先させる。きっと、道草をくっていたら、飼い主に怒られるのだ。


「そうか……じゃあ、また今度な」

「にゃっ! (分かったのだっ!)」


 そう約束して、我輩、何か忘れているような気がしながらも、城で解放してもらうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


結局、どんな相手に襲われたのかとか、その他諸々を聞けてないタロ。

……飼い主からお説教になるかな?

それでは、また!
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