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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第四百五十一話 突進攻撃!

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「にゃあぁぁあっ! (バルディスぅぅうっ!)」

「タロ!?」


 宿屋の近くでウロウロしていたマフィア姿のバルディスを見つけた我輩は、一直線にバルディスの元へと走っていき、その腹へダイブする。

 ドゴォッ。


「ぐふっ」


 勢い余って、バルディスは我輩を受け止めた体勢で尻餅をついてしまったものの、我輩、そんなことに構ってはいられない。


「にゃあっ、にゃあぁっ(同胞がっ、同胞がぁっ)」


 必死に叫ぶ我輩を前に、バルディスは、『ぐっ、いっ……ちょ、待て、タロ』と言いながら、ちゃんと話を聞いてくれない。


「にゃあぁぁっ(同胞がぁぁっ)」

「ええいっ、落ち着けっ、タロ!」


 ペシンと頭を叩かれて、我輩、ようやく、背後に追っ手が居ないことに気づく。


「にゃ……(居ない……)」

「バル? すごい勢いでしたが……大丈夫ですか?」

「音、すごかった」

「大丈夫じゃない。しばらく動けそうにない」


 何やら魔法少女的姿なラーミアと戦隊ものの赤いヒーローなディアムの言葉に不思議な答えを返していたバルディスだったが、どうにか落ち着いた我輩をバルディスは持ち上げる。


「それで? 何があったんだ?」


 そう言われた我輩は、先ほどの恐怖を思い出してブルリと震える。


「にゃにゃあ(同胞達が、おかしくなったのだ)」


 そう言って、我輩、先ほど起こった出来事を細かくバルディスに説明していく。


「魚、ですか?」

「魚?」


 今気づいたが、ここにはバルディスとラーミア、ディアムは居るものの、ロギーとマギウスの姿がない。バルディスの通訳によって、事態を把握した二人は、首をかしげて考え込む。


「タロが何か気に入らないことを言ってしまったという可能性はないんだな?」

「にゃあ(多分)」


 おすすめの魚を聞いただけで、あんな目に遭うのは納得がいかない。ただ、さすがにバルディス達にもなぜそんなことが起こったか分からない様子だった。


「……もう一度、その猫達に会いに行くというのは?」

「にゃっ(無理なのだっ)」


 そもそも、あれは話が通じる状態ではなかったと我輩は思うのだ。だから、恐らく行っても意味がない。


「……なら、俺が一人で行って確かめてこようか?」

「バル? そんなことに時間を割くよりも、今はさっさと進むべきでは?」

「だがなぁ。今まで、タロが関わった事件は大事に発展しているような気がするんだよな……」

「俺、バル、賛成」

「反対は私だけですか……良いでしょう。バルが確認してきてください。私達はその間に情報を集めつつ、旅の物資を補給しておきますわ」

「分かった」


 どんどん進んでいく話に、我輩、不安になって声を上げる。


「に、にゃあっ(き、危険なのだっ)」

「大丈夫だ、タロ。猫を相手に後れを取ることは……相手がタロでもない限りあり得ない」


 そう言って、バルディスは我輩をラーミア達に預けると、我輩が走ってきた方向へと歩き出すのだった。……ちょっとお腹を押さえながら。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勇者タロの突進攻撃。

魔王バルディスは、1000のダメージを受けた。

なーんて。

まぁ、でもそれなりに強い攻撃ではあったみたいですね。

それでは、また!
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