我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第四百九十五話 あんみつこうどう?

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 虫の鳴き声も聞こえなくなるほどの夜中。……いや、ここは海の中なので、そもそも虫が居ないのだが……。とにかく、それだけ暗くなったところで、我輩は動き出すことにする。


 赤のレディ。すまないのだ。


 ピンクの石……いや、珊瑚で作られ、何やら綺麗な青や緑の玉がついたおしゃれな檻の中で、我輩、目をキランッと光らせる。


「にゃぉーん(猫流奥義、ガリガリプラス)」


 小声で必殺技を唱えて、我輩、檻を破壊する。
 バキッという音とともに、檻は容易く壊れ、我輩が軽く通れるだけのスペースができる。
 ここは、赤のレディの寝室らしく、側では赤のレディが安らかな寝息を立てている。音がした瞬間は、少し寝返りを打ったようだったが、どうやら、音で起こすことはなかったらしい。


「にゃ(『闇化』なのだ)」


 暗闇に包まれた今なら、『闇化』での移動が容易になる。我輩、闇の中にトプンと落ちると、ディアムに教えてもらった『おんみつこうどう』、いや、『あんみつこうどう』であっただろうか? とにかく、それを開始する。


 まずは、部屋の外に出るのだ。


 闇の中で、スーッと一直線に進み、我輩、ヒラヒラとした布の向こうに行く。


 もう一部屋……。


 寝室に繋がっていた別の部屋。テーブルやら椅子やらが置かれた、その部屋を通り過ぎ、我輩、ようやく廊下へと出る。


 あの一瞬では、あのレディから情報を引き出せて居ないから、また、会いに行くのだ。


 ミルフィーユという名前のレディは、きっとバルディス達を捕まえているのだ。だから、我輩はミルフィーユと会って、詳しくバルディス達が居る場所を確認して、バルディス達を解放しなければならないのだ。


 そうと決まれば……。


「にゃあ(『探知』なのだ)」


 ミルフィーユの魔力は覚えている。そして、我輩、昼間はそのミルフィーユが離れていく方向をしっかり確認済みだ。


 むぅ、やはり、離れているせいか、場所が分からないのだ。


 そうとなれば、とにかくミルフィーユが離れた方向へと走ってみるしかあるまい。走りながら『探知』をかければ、もしかしたら見つかるかもしれない。


 闇夜の中、我輩は走り出す。警備をしていると思われる下半身が魚な者達がいくらか見られたが、それらに気づかれることなく、しっかりと走り続ける。そして……。


 っ、見つけたのだ!


 廊下を出て、外らしき場所に出て、建物が建ち並ぶそこを駆け抜けていると、我輩、ようやくミルフィーユの反応を見つける。


 待っているのだ、バルディス!


 必ず助け出してみせる。そう決意しながら、我輩、やたらと大きな建物の中に、警備の目をすり抜けて入り込むのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さぁ、そろそろディアム達と接触するタロ。

……明日は、ディアム達の視点にしようかと迷っております。

それでは、また!
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