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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第四百九十八話 タロの要求
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タロから腕輪を借り受け、俺はすぐに俺達の腕輪や装備一色が保管されている場所を突き止め、それらを回収する。
タロは、バル達の居場所を知っているのだろうか?
残念ながら、俺達にはタロの言葉は分からない。そのため、一度は『人化』してもらわなければ、情報の統合などできそうになかった。
もし、バルディス達の情報を知っているのであれば、話は早いのに、と思いながら、俺はタロ達が居る牢の前まで急ぐ。すると……。
「ど、どうしましょう。猫ちゃん、随分と震えてますけど」
「ぬぅ、寒い、のか? 少し、火を灯した方が良いだろうか?」
「いえ、体は暖かいんですけど……」
小さくコソコソと話すそんな声に、俺は急いで彼らの前に現れる。
「戻った」
「きゃっ」
「ぬっ……心臓に悪い」
二人に悲鳴を上げられたものの、俺はごく普通に戻ってきたはずだ。そんなに悲鳴を上げられたり、心臓に悪いと言われたりする謂われはない。
「……タロ、どうした?」
「みにゃあっ」
しかし、今はタロのことだと思って、ヨナの腕に抱かれているもっちりボディを見てみれば、タロは、何やらすがるような目でこちらを見てくる。
「……」
「にゃあっ、にゃーっ」
「……」
「にゃにゃあっ」
懸命に何かを伝えようとするタロ。その姿に、俺ははたと閃く。
「すまない。食料、あまりない」
「ふにゃあっ!」
しかし、これはどうやら違ったらしく、タロは毛を逆立ててしまう。
「……分からない」
「にゃっ、にゃっ」
俺に内容が通じていないと分かったタロは、今度は何やら短い前足で自分のもう片方の前足をテシテシと叩く。
「……」
「にゃっ、にゃっ」
そんなタロの様子に、俺はしばらく考え込んで……回収してきた腕輪のことを思い出す。
「腕輪?」
「にゃあっ!」
パアッと顔を明るくしたタロに、どうやらこれは正解だと気づく。
そういえば、タロは水が苦手だったな……。
もしかしたら、腕輪がないことで心許ない思いをさせてしまったのかもしれない。
俺はおもむろに腕輪を取り出すと、タロにそれをつけてやる。
「にゃっ!」
すると、タロは安心したかのように息を吐いて、震えを収めるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回はディアム視点で、タロの言いたいことを当てる回。
タロ、ようやく腕輪をゲットして、水の恐怖が少し和らいだ模様。
それでは、また!
タロは、バル達の居場所を知っているのだろうか?
残念ながら、俺達にはタロの言葉は分からない。そのため、一度は『人化』してもらわなければ、情報の統合などできそうになかった。
もし、バルディス達の情報を知っているのであれば、話は早いのに、と思いながら、俺はタロ達が居る牢の前まで急ぐ。すると……。
「ど、どうしましょう。猫ちゃん、随分と震えてますけど」
「ぬぅ、寒い、のか? 少し、火を灯した方が良いだろうか?」
「いえ、体は暖かいんですけど……」
小さくコソコソと話すそんな声に、俺は急いで彼らの前に現れる。
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「きゃっ」
「ぬっ……心臓に悪い」
二人に悲鳴を上げられたものの、俺はごく普通に戻ってきたはずだ。そんなに悲鳴を上げられたり、心臓に悪いと言われたりする謂われはない。
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「みにゃあっ」
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「……」
「にゃあっ、にゃーっ」
「……」
「にゃにゃあっ」
懸命に何かを伝えようとするタロ。その姿に、俺ははたと閃く。
「すまない。食料、あまりない」
「ふにゃあっ!」
しかし、これはどうやら違ったらしく、タロは毛を逆立ててしまう。
「……分からない」
「にゃっ、にゃっ」
俺に内容が通じていないと分かったタロは、今度は何やら短い前足で自分のもう片方の前足をテシテシと叩く。
「……」
「にゃっ、にゃっ」
そんなタロの様子に、俺はしばらく考え込んで……回収してきた腕輪のことを思い出す。
「腕輪?」
「にゃあっ!」
パアッと顔を明るくしたタロに、どうやらこれは正解だと気づく。
そういえば、タロは水が苦手だったな……。
もしかしたら、腕輪がないことで心許ない思いをさせてしまったのかもしれない。
俺はおもむろに腕輪を取り出すと、タロにそれをつけてやる。
「にゃっ!」
すると、タロは安心したかのように息を吐いて、震えを収めるのだった。
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今回はディアム視点で、タロの言いたいことを当てる回。
タロ、ようやく腕輪をゲットして、水の恐怖が少し和らいだ模様。
それでは、また!
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